マーダーミステリー・オンラインセッション! -15ページ目

マーダーミステリー・オンラインセッション!

 最近流行り始めている『マーダーミステリー』をDiscordを使ってオンラインで遊ぶやり方などについて紹介しています。
「マーダーミステリーってなに?」「Discordってなに?」「イケメンさんすてき抱いて!」などの疑問にお答えできるようがんばります

 いやっほぅ!! こんにちはこんばんは子猫ちゃん、キミのイケメンだよッ!!

 いまねーアーマードコア6で「全ミッションSランククリア」っていう、完全にやる必要ない苦行に挑んでるんだけどね! どんだけやってもS取れなかった一番の難関、『BAWS第二工廠』をやっとクリアできたんだよ―! 褒めてくれて良いんだよ?

 いや絶対あの面だけ評価基準オカシイって! そのあとスコスコ一発でS取れてるから!

 

 さて先日のpost、あのしちめんどくせぇ話に意外に反響あってね! あぁやっとイケメンの話聞いてもらえるようになったんだなあって感無量だわよw 言ってる事自体はマダミ始めた頃からなんも変わってないんだけどね! そう考えると進歩ねぇな!!

 

 そんなわけで今回も『シリーズ:マーダーミステリー作るのって難しいよね』の第三回。

 前回まででようやく話の前提が終われたので、このへんから「そうそうそういうとこなー」みたいな具体的なお話をしてこうと思うよ。前二つの言語化が難しかっただけで書きたいこと自体はヤマモリあるんよ。

 今回もマーダーミステリーのシナリオを作ってみたいっていう子猫ちゃん、今作ってるよっていう子猫ちゃん、たくさん作ったよっていう子猫ちゃんに向けてのお話です。

「マーダーミステリーってなんだろ?」と思って見に来たのにTOPがそれ? っていう人は、この一番古い記事から順番に遡って見てみてね!

 

「オッケー分かった! めんどくさい話ね、読むよ!」ってなってくれた子猫ちゃん、前のpostをまだ読んでなかったらそっちから見てもらったほうが良いかも!

 

 

 それじゃー今日もげんきに学級会いってみよー!
 今日はマーダーミステリーのシナリオを書く上でいっちばん基礎の工程のおはなしだよ! チェッケラー!!

 

「テーマ」を言語化せよ

 マーダーミステリーの大規模サーバーをやってたり、イベントなんかを企画したりする立場上、シナリオのテストプレイに声をかけてもらう機会が多い。テストプレイよりもぜんぜん以前の、詰まってる部分の相談だとか、アイディアの段階の話も聞かせてもらうことが多い。

 これについては大歓迎なのでどんどん使ってやって欲しい。いつも言っているが、「マーダーミステリーなんて一人で作るもんじゃない」と思ってる。これは「一人で作るべきじゃない」とまで本当は思ってる。

「でも、テストプレイ前に話しちゃうと、テストプレイに参加してもらえなくなっちゃう…」と思わなくても大丈夫だ。世の中には「面白いシナリオがあったらプレイよりもGMがしたい」と考える変態タイプの人間が一定数存在している。プレイする機会を失うことよりも、世の中に面白いシナリオが増えることのほうが遥かに大切なのだ。

 そして、そういう変態タイプの友人を複数持てると、シナリオのアイディア出しのパートも、ブラッシュアップのパートも、一気に楽になる。ゲハゲハとバカバカしく雑談している中からもつまらないシナリオを遊んだ愚痴からも、面白いシナリオは生まれるものなのだ。

 だからこれからシナリオを作ろうとして詰まってる人、これ本当に面白いのかなってなってる(これはなる、絶対になる)人は、気軽にイケメンを使って欲しい。

 

 さて。

 テストプレイに参加してプレイ終了、はいここから感想戦、つまりフィードバックの時間ですとなった時に、真っ先に僕が発しがちな質問がある。

このシナリオの面白いところって、一言で言うとなに?

 言われた側はさぞ胃が痛かろうと思う。思うが、聞かずにいられない事が少なくない。それが見えなかったから聞いているのだ。

 正直に言えば、返答の内容というより、この時に作者が即答できるかどうかをまず見ている。それによってどの程度具体的なフィードバックが出来るかが違うからだ。

 

 この時に聞いているのがつまり、そのシナリオの「テーマ」だ。

 自分が作ったシナリオの面白い部分、楽しんで欲しい部分を作者がどの程度「具体的に」認識できているか。自覚できているか。つまり、言語化出来ているかどうかだ。

(マーダーミステリーは言語コミュニケーションのゲームであり、作者としてプレイヤーに届けられるものも大部分が言語だ。マーダーミステリーを作ろううとするなら、言語化から逃げてはいけない)

 だから作者が即答できなかった場合、こう質問を続ける。

「じゃあ、このシナリオを通して楽しんで欲しい点を簡潔に、多くても三つまで挙げてみて」

 こう聞いてはいるが、この時にテーマが三つ出てくるようなら、まだ練りが甘いと思う。おそらくプレイ感がとっちらかった印象になっているだろう。

 できれば一言で、一項目だけに絞って、テーマを明確に言語化しておくべきだ。

 

 では、何故テーマを明確に言語化しておくべきなのか。

 これはマーダーミステリーに限らず、すべての創作において必要な考え方になる。

 

 これについては偉人の言葉を引用させていただこう。

 僕が数十年前から肝に銘じている金言を紹介させてもらいたい。

 

完璧が遂に達成されるのは、何も加えるものがなくなった時ではなく、何も削るものがなくなった時である

――アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ

 

 何度見ても、身が引き締まるを通り越して、胃に激痛を感じる言葉であるw

 

 完成というものを目指すのであれば、必要な要素は不足なく加え、必要でない要素は極限まで削り落とす事が求められる。「やりたいこと全部盛り込みすぎ」ってのは、どのジャンルの創作でも初心者が陥りがちな罠だ。

 君が君の作ったシナリオでプレイヤーを楽しませたいのなら。面白いと感じさせたいのなら。君のシナリオに存在する要素のすべては、そのテーマのために存在せねばならないのである。

 

 お分かりだろうか?

 そのために必要なのが、「テーマ」だ。

 君が楽しませたい要素を楽しませるために、いま何が必要なのか。つまり、現状では何が不足しているのか。

 君が楽しませたい要素を楽しませるために、いま何が不要なのか。つまり、現状では何が邪魔をしているのか。

 この時君の判断基準になるのが「テーマ」なのだ。

 制作の過程において、都度都度振り返るべき指標。自省のための基準。それがテーマだ。

 加えるべきものに、削るべきものに迷った時。その指標は、基準は、物差しは、明確に言語化されていなければ役に立たない。テーマがふんわりしていれば、この判断基準がふんわりする。だから客観的に自作を見、ブラッシュアップするのが不可能になるのだ。何をしたら完成なのかがわからなくなって、「とりあえず遊べる状態」をゴールにしてしまうのだ。

 

「テーマ」とはつまり、君の作品の基礎であり、大樹に例えるなら根に当たる。

 どれだけ楽しい要素を詰め込もううと、面白いアイディアをふんだんに入れようと、根がしっかりと張っていないのならば、基礎がしっかりできていなければ…それは言葉通りの砂上の楼閣だ。楼閣が、枝葉ばかりが重いなら、あっという間に倒れ、崩れ、瓦解するだろう。

 

 今、君がシナリオを書いているのなら。あるいは既にシナリオを作ったことがあるのなら。

 君は、君の作品の「テーマ」を即答できるだろうか?
 もしもできないのなら、改めて言語化してみると良い。テーマを言語化してから自作を見直した時、「完成」のために必要な(必要だった)工程が見えて来る筈だ。

 

 君がテーマを言語化せぬまま作品を完成させた時。

 君の作品の受け手の印象は、テーマ同様にぼやけていることだろう。

 

テーマとアイディアの違い

 さて、テーマの言語化の重要性は伝わっただろうか。

 言語化してみた時に、まずテーマそのものをよく見直して欲しい。

 実はテーマには、あるべきテーマとそうでないテーマとがある。

 何も倫理観の話だとか、商業論の話をしたいわけではない。実際に前述のように聞いた時の返答でありがちな、悪いテーマの例から列記してみよう。

  • 「◯◯が舞台のマーダーミステリーを作りたくて」
  • 「(ジャンル名)もののマーダーミステリーを作りたくて」
  • 「すごいトリックを思いついたから」
  • 「面白いギミックを思いついたから」
  • 「こういうマーダーミステリーって無いと思って」

 これらはすべて実際に(しかも頻繁に)聞く、テーマの設定の悪い例である。

 どんな点を「悪い」と断言しているか。客観的に見れば分かる人も多いのではないだろうか。

 

 これら悪い例はすべて共通して「プレイヤーの方を向いていない」のだ。

 作者の「やりたい」「やらせたい」しか言っていない。プレイヤーのことを考えていない。

 これが「悪い」と断言する理由である。(特に最後のは論外レベルで思慮が足りていないことが多い。無いには無いなりの理由ってものがあるものだ)

 

 プレイヤーの方を向いていない「テーマ」を作品の価値基準に置いたらどうなるか。

 先程言ったように、君のシナリオのすべての要素は、全てテーマのために存在しなければいけない。その全てがプレイヤーの方を向いていない代物が出来上がる。

 こういったものを、僕は「ゲームになっていない」「ゲームとして成立していない」と言う。

 

 前回のpostで長文を使って話したように、マーダーミステリーとはゲームだ。

 そしてゲームとは、プレイした者を楽しませるために存在する。

 だから、根幹である「テーマ」は、君がプレイヤーを楽しませたい部分でなければならない。 そうでないのなら。プレイヤーを楽しませるために作られていないのなら。君のシナリオに存在価値など無いと思って欲しい。

 

 とは言っても、だ。

 上記で「悪いテーマの例」として挙げたが、実はこれを全否定するものでは、ない。

 それをテーマに据えるのは間違っているよ、と言っているのだ。

 

 前項ではテーマを建物の基礎や大樹の根に例えたが、作品づくりは必ずしもテーマの設定から始まるわけではない。アマチュア作家ならむしろ、テーマから始めるべきではない。

 ほとんどの創作はアイディアありきであり、アイディアから始まるものなのだ。(プロになるとそうも言ってられなくなってくるが)

 

 つまり、上で「悪い例」として挙げられたものは実は「テーマ」ではなく「アイディア」なのである。

 いきなり「テーマis何」と問われた作者が、何故この作品を作り始めたのかのきっかけを思い出し、膨らます前の原型を「テーマ」だと勘違いして回答した内容なのだ。

 だから実は、そこからが大切なのだ。

 いかに「アイディア」を「テーマ」に変えていくのか。

 つまりそれは、君のアイディアを「ゲーム」にしていくために必要な工程なのである。

 そして「ゲーム」とは「プレイした者が楽しむために存在する」ものだ。だから、君のアイディアを形にしたなら、それを受け取った人にどんな点を楽しんでほしいのか。何を楽しんでほしいのか。

 まずはそこから明確にすべき、なのだ。

 そうして初めて自作に足りないものや余分なものを探すことが出来るようになる。

 

※これは煽りになるけどね。「面白いトリック」とか「面白いギミック」とかは、それだけでは「トリック面白いね」「ギミック新しいね」という感想にしかならない。それは決して「楽しい」ではないよ。思いついたトリックやギミックを使って「プレイヤーをどう楽しませたいのか」が必要って話!

 

 まず、テーマを明確に言語化する。アイディアからテーマを設定する。

 そして次に、そのテーマが「本当にプレイヤーを楽しませるためにあるのか」を考える。

 ここで少しでもふんわりするようなら先に進んでも無駄骨を折るだけだ。(無駄骨を折ることが必要な場合も多々あるが)

 この姿勢が、ゲーム作りの根幹である。

 

 参考のために、最後に「テーマの言語化のためのトレーニング」の一例を紹介する。試してみて欲しい。

 

詰まるのはアイディアよりも突破口

 ここまではアイディアとテーマの違いについて、アイディアを利用してどのように「楽しい」を生み出すのかを考えなきゃならない、という話をした。

 ここで多くのシナリオ作家志望者はこう考えているだろう。「じゃあそのアイディアってどうやって出すの?」

 創作論におけるアイディア出しのノウハウについては、調べれば無数に出てくるのでここでは一旦割愛する。

 しかしマーダーミステリー制作ならではの考え方をせねばならない点が出てくる。僕は、それを「突破口」と呼んでいる。

 実際に詰まるのは、アイディア出しより、この突破口が見つからない時なのだ。

 

 マーダーミステリーに慣れた連中で雑談してる時「こういうシナリオあったら面白くない?」みたいな話になることは少なくない。しかし、そういう作品がこれまでに無いのには、それなりの理由があったりする。

 

 例を挙げよう。思考実験だ。

「PC全員犯人のマーダーミステリー面白くない?」

 これはめちゃくちゃよく聞くアイディアだ。めちゃくちゃよく聞くということは、つまり誰でも一度は思いついたことのあるネタだということだ。そんな誰でも思いつくアイディアが、しかし完成品のシナリオに多くないのはどういう事だろうか?

 僕はそんな思い付きにこう返す。

「いいね。じゃあ目標はどうする?」

 誰でも思い付くようなアイディアを使った完成品が少ない理由は一つ。

 面白く仕上げることが非常に困難だからだ

 理由が二つある。シンプルに考えてみよう。
 

 まずひとつめ。PCの全員が犯人であり、それを自覚しているとする。

 この場合、PCの全員が「自身が犯人として最多票にならない」といった目標を持つことになる。ということは「犯人を最多票にする」という目標を誰も持たないことになる。

 全員が「自身を最多票にしない」目標のゲームは、単に票を集めやすいところに集めるゲームになる。事件のことは一切関係ない。つまり、事件に意味がなくなり、これはこれで別の難しさが生じる。

 では逆に、全員が「犯人として最多票を集めたい」目標ならどうだろう。

 シチュエーションとしては「PC全員が殺し屋。一人の目標に対して複数の殺し屋が雇われた。報酬を受け取るためには自身が犯人であることを証明しなくてはいけない」なんて感じだろうか。この場合、「何でそれを投票で決めるの?」という疑問が生じるので、更にその理由を生やさねばならない。

 そして何より、投票で自身以外に投票したくない。ので絶対に割れる。誰かが自身の目的を諦めない限り最多票が生まれない。諦めた人は当然楽しくない。「自身に投票できないルールにしてはどうか」と考えても、そもそも何故自身に投票出来ないのかが分からない。プレイヤーは当然自身に投票したいのだから、相当な納得力を必要とする。この場合はいわゆる警官ありタイプの一種、「投票ではなくある一人が犯人を指名する」タイプのゲームにする手はある。上の例なら依頼人やボスだろうか。

 そのゲームの中で、依頼人を除くPCの中に、真犯人がいて良いものだろうか? それぞれが自身が犯人であると主張したいのだから、証拠をでっちあげたり、証拠を超解釈して、依頼人の目を自身に向けるゲームにしたほうが面白かろう。とすると、PCの中に真犯人はいないほうが面白そうで…その場合、じゃあ真犯人は誰なら面白い? という話になる。

 更に言うと、その場合、依頼人のプレイヤーは何が面白いんだコレ、という話にもなる。「真犯人を指名」しなければいけない理由が何もない。つまり、正解がない。更に言えば、依頼人ならPCの中から犯人を指名しないほうが報酬を払わなくて済むというメリットが生じてしまう。

 と、色々考えても、面白くする方向性が見つからない。

 

 もうひとつは、前提を最初に戻して「全員が犯人」という状況を成立させるとして、一体どういう状況ならそれは成立するのか、という話だ。

 例えば毒殺。全員が何かしらに毒を盛っている。これは全員自分が犯人だと「思っている」状況は作れる。しかし、いわゆる三刀両毒のシチュエーションと同じで、決定打になった人、つまり本当の意味での犯人は一人だけ、という状況になる。この場合「全員犯人!」というオモシロシチュエーションが嘘になってしまうため、売り文句としては使えない、ということになる。

 となると、プレイヤーのプレイ後、あるいはプレイ途中での「な~んだ、私が犯人だと思って緊張してたら、全員犯人だったのね~w」という感情を楽しいポイントに設定する必要が生じるため、「どういったシチュエーションならそれが楽しいか/面白いか」を考えていく必要があるだろう。

 何より、全員が犯人だと思っている死に方というのは、殺害方法が難しく、バリエーションに限界がある。どういう事態になるかと言うと、少しマーダーミステリーをやったプレイヤーなら「あっこれ進研ゼミでやったところだ!」が発生し、なんならハンドアウトを読む前に状況が予測できてしまうのだ。

 予測されがちなシチュエーションを「ビックリのオモシロ」に仕立て上げることは出来ない。よって、そこからどんな展開が生めるかのほうが遥かに重要になる。むしろ、そこまではプレイヤーに読み切らせる努力をしなくてはいけないだろう。

 

 いかがだろうか。

 アイディアを「楽しい」に仕上げていく事を考えて行く中で、様々な困難が予測される。という思考を例として挙げてみた。

 要するに、「思いつきは面白いけど、実際にプレイしたらそれ楽しいか?」という疑念を、自身の思い付きに対してどれだけぶつけられるか、という話だ。(そして一人でこれを完結するのが困難だから一人で作んないほうが良いよ、という話でもある)

 面白いアイディア、思い付きを活かすため、じゃあどういうゲームになればそれが楽しいのか。

 ここに第二のアイディア、アイディアを発展/実現させるためのアイディアが必要になる。

 この第二のアイディアのことを、僕は「突破口」と呼んでいるのだ。

 そして実は多くの場合、この突破口を思い付く方が難しい

 

 どのくらい難しいかと言うと、その突破口が見つからないから塩漬けになっているシナリオが僕にも無数にあるw 結局アイディアの話なので、うんうん唸ったところで降っては来てくれないのだ。降ってくるのを待つしか無い。なので、プロットの状態だったり、何ならHO、TL、エンディングまで書いておいて塩漬けにしている物もある。

 ちなみに、この突破口が見付かるだけで一気に形になる場合も少なくない。僕自身の経験で言うと、オリジナル作品の処女作『蠱毒死病棟』は、雑談の中で不意に突破口を思い付き、そこから一週間程度で書き上げた。『名探偵みなを集めて"さて"と言い』は、以前からずっと何とか扱えないものかとふんわり考えていたテーマに対し、突然突破口が降ってきたので一気に形になった。プロットを書き始める前に大枠がほぼ出来上がっていた。

 

 突破口を見つけるのはたしかに難しい。

 しかし、本当に大切なのは、突破口が必要であると気付くことの方である。

 

 色々なシナリオを読んでみて、あるいはプレイしてみて、「このシナリオはワンアイディア型だなあ」と思うものがある。一つのアイディア、思い付きの面白さだけで、全てを走り切ろうとするスタイルのことだ。

 このスタイルの場合、突破口の面白さが最も重要になる。だが残念ながら、多くの場合、恐らく作者が突破口を思い付かないまま完成させたか、もっと悪いのは、突破口の必要性すら認識しないまま仕上げられている。ので、当然つまらない。

 最悪なのはその面白いアイディアがフックに使われている、つまりシナリオを遊ぶ前から見られる公開情報に全部存在している場合だ。(そして、PC全員◯◯系のシナリオにそれが多い)

 フック、公開情報というのは、遊ぶ前のプレイヤーに「これ遊んだら面白そうだな、楽しそうだな」と思ってもらいたい部分だ。もっと言うと、シナリオに興味を持ってもらうためにある部分だ。興味を持つから、プレイヤーは「実際に遊んだらこんな感じかな、こんなところが楽しいんだろうな」と予測する。

 こうしたプレイヤーが予測できる楽しみというには、プレイ中に与えられなければならない。肩透かしになってしまう。だが、そのプレイヤーの想像の範囲に収まっていた場合、「楽しかった」にならない。どこかでプレイヤーの想定範囲を飛び越えなければならないのだ。

 映画を見終わった後、「結局面白いところ全部予告編でやってたな」なんて思ったことはないだろうか。予告編を見て想像できる楽しみを、映画本編が与える楽しみが超えられないとそういう事が起こる。

 上で「最悪」と言ったのはそういうことだ。

 僕はこういうシナリオを「出オチシナリオ」と呼んでいる。

 楽しさのピークがBOOTHにあるなら、そのシナリオを遊んだ時間が無駄に感じられる。

 君の考えているシナリオは「出オチ」になっていないだろうか?

 

 念の為言っておくが、上記の思考実験で挙げたような「PC全員犯人のシナリオ」といったアイディアの派生形で、上手い突破口を見つけて形にされたものはいくつか実在している(ネタバレなので言わないが)。

 マーダーミステリーのシナリオ制作とはつまり、この突破口を探す旅なのだ。

 今日も どこかで誰かが突破口が見つからずに唸っている。マーダーミステリーを作るのって本当に難しい。

 

テーマとアイディアと突破口と酒と泪と男と女

 マーダーミステリーに限らず、全ての創作のスタートはアイディアである。

 そしてマーダーミステリーの場合、そのアイディアを活かし、いかにプレイヤーを楽しませるかを考えなくてはならない。だから、そのための難点を見付け、その突破口を探さなければならない。

 突破口が見付かった時、「このゲームのどこを楽しんで欲しいのか」「このゲームのプレイを通してどう感じて欲しいのか」が整理できる。これを言語化したものが「テーマ」だ。

 この話をするために「マーダーミステリーはゲームである」という結論が必要だったのはお分かり頂けただろうか。

 もちろん、アイディアとテーマはどちらが先でも良い。しかし、アイディアと「プレイした人が楽しめるようにする」ために突破口が必要になるのだから、大前提として「プレイした人が楽しむためにある」という姿勢は必要なのだ。だから。逆に突破口を開くためのガイドとしてテーマが役に立つこともある。

 

 君がマーダーミステリーの制作に躓いてた時、自身で設定したテーマを振り返るべきだ。

 まだならあらためてテーマを言語化してみよう。「しなくてはいけないこと」と「するべきでないこと」がハッキリ分かるようになる。

 

「テーマに対して真摯であること」。

「テーマの設定に真摯であること」。

 これはつまり、君のシナリオをプレイする人に対してどれだけ真摯でいられるか、という姿勢を問われている。

 

 楽しかったって言われたいじゃないか。面白かったって言われたいじゃないか。

 そのためには、プレイヤーを楽しませる、面白がらせることに対して、どこまで真剣でいられるかに全てがかかっている。

 その事を忘れないようにするためにも、テーマの言語化は絶対に必要だ。

 

 …最後に一つだけ。

 再三言っている「プレイする人」にはGMも含まれる。これは忘れてはならない。

 GMを含む全員を楽しませるためには何をすべきか。これを常に考えなければならないから、マーダーミステリーを作るのって本当に難しい。

 

相談してね

 最後に、まじで相談は受け付けてるので気軽に声をかけてやって欲しい。

 Discord等で2~3時間とっくり時間を使って、雑談ベースで会話するのが良いと思う。何ならテストプレイじゃなく、話すだけの方が良いかも知れない。

 

 こう常に言ってるけど、実際には「一旦テストプレイが出来るところまでやってから…」となることが多い。

 これに関しては、多分、相談者が創作慣れしてないからなんだと思う。

 自分から出力されるものの形を、自分自身で想像できない。だから一旦形にしてみないと、どんな形をしてるのか何もわからない、んじゃないかなぁと思っている。

 これについては、本当に創作慣れしていないんだったら、やめた方が良い。

 一旦形にしたものは、慣れていないと、愛着を感じてしまうからだ。愛着を感じると、削ったり、取り下げたりがしづらくなるからだ。

 実際にテストプレイを通し、テーマの設定の話を聞き、そのテーマの問題点や突破口の必要性が出てきてしまった場合。その修正量はとんでもないことになりやすい。根本の話だからだ。

 問題点は自覚できてしまったが、さりとて修正はし切れない。ということでお蔵に入ったシナリオを何本も見ているし、もっと悪いのは、そのまま制作を諦めてしまう事が多いのだ。

 漫画の持ち込みで言えば「ネームでくれ」という話になる。

 

 相談者は大きく二つに分かれる。

「作りたいと感じるものはあるがアイディアが浮かばない」タイプか、「自分で問題点は感じているがそれを自分で言語化出来ない」タイプだ。

 どっちにせよプロットの段階でおいで。その方がこっちも分かりやすいし話しやすいからさ。

 

 …しまった。ひょっとして「プロットの書き方」についてもまとめた方が良いんではなかろうか?w

 

テーマの言語化のトレーニング

 さて最後に、約束通り「テーマの言語化」のためのトレーニング方法を書いておこう。これは僕のオリジナルなので本には多分載ってないよ。真似してね。

 と言っても方法は至ってシンプルだ。

 

「最近観て面白かった映画」「最近観て面白かったアニメ」「最近読んで面白かった小説」「最近読んで面白かった漫画」「最近遊んで面白かったゲーム」、何でも良い。

 それを、友達に話す。

 どう面白かったのか、どこが面白かったのか。どう楽しかったのか、何故楽しいと感じたのか。それを、友達に話すのだ。

 君の話を聞いた友達が、その映画をアニメを、小説を漫画を、読みたくなったら君の勝ち。買わせたら優勝であるw

 要はプレゼンだ。布教と言っても良い。

 

 友達とマンツーマンではなく、複数人で集まっお互いに話した方が効果はより高い。

 ネタバレありなし、どちらでも良いが、レギュレーションは決めて話したほうが良いだろう。

 集まってるのが創作者たちなら更に捗るはずだ。

 

 こんな単純な話だが、色々と意味はある。

 

 まずこの行為は、「入力したものの消化」のトレーニングだ。

 世の中に溢れている完成品をエンターテインメントを君が取り込んだ時、いかに消化するか。いかに血肉に変えていくか。この訓練である。

 面白かったものを「面白かったなぁ」で終わらせるのは消費行為であって創作者の行為ではない。何が面白かったのか、何に自分は面白いと思わされたのか。受け手としての自分は、自分の中の何と照らし合わせて面白いと感じたのか。これを探る過程が、このトレーニングを行う上で絶対に必要になる。

 

 そして、それを他人に伝えるためには、言語化せねばならない

 君がどれだけ楽しそうに、嬉しそうにしていたところで、相手からは「(君は)面白かったんだねぇ」としか思われない。既知の間柄であれば、その反応から自分に向いていそうか否かを判断することは出来る。が、それはプレゼンの結果ではない。

 第三者に君の感動を、作品の尊さを、伝えるためには言語化が必要だ。「語彙が追い付かない」なんて擦り切れた慣用句に頼るべきではない。

 

 更に、他人に話すというところにも意味がある。聞いている者は反応するからだ。君の観た作品にではなく、君の言葉にだ。

 だから、反応を見ながら、突くべき点を変える必要が必ず出てくる。趣味趣向は人それぞれだからだ。これはストレートに「自分ではない他人が受け取った時どう感じるか」という思考のトレーニングになり得る。自分が面白いと感じたものを、他人に面白いと思わせるために何が必要なのか、常に考え続けなければならない。そして、それに合わせてアドリヴで言語化していかねばならない。

 この過程で、現代のエンターテインメントに重要な「無数に玉を投げる」という方法論が身に付く。受け手がどんな知識を前提として持ち、どんな趣向を持っているのかは分からない。そのためどこを突けば共感させられるのか分からない。だから、様々な玉を投げてみる。投げてみて反応があった点を攻めていく、というアドリヴが要求されるはずだ。

 受け手が何かを受け取って初めて作品は完成するのだ、という根幹に向き合うことになる。

 

 と、これが意外に難しい。

 実際にやってみてもらうと、大抵の場合、ただあらすじの紹介に終止する

 これは作品の大枠を「記憶しているだけ」であって、何も消化していないということになる。

 もちろんそれを責めるつもりはない。これは義務教育の敗北のひとつであり、君は犠牲者に過ぎないからだ。

 小中学校の宿題でやらされた読書感想文。本当は、この課題でこういった消化を、プレゼンを出来るようにせねばならないはずなのだ。しかしそれを指導できる教諭は存在しないし、指導要綱にもない。だから読書感想文の正しい書き方を誰も教わっていない。そのくせ、あらすじの要約みたいな読書感想文には低い点を付ける。間違いの基準だけは一丁前にあるからだ。

 

 ためしに、誰かを捕まえて、あるいは何人かで集まって、やってみると良い。十年来の友人よりも、ネットでよく遊ぶくらいの関係性の方が、予断が少ないので役に立ちやすいだろう。

 やってみると分かるが、これがなかなか難しい。

 難しいが、トレーニングであるから、必ず勝たなくてはいけないものではない。勝つために何をするか考えること、そのものがトレーニングになる。

 そしてこれは、すべての創作行為の基礎力を付けるトレーニングになる。騙されたと思ってやってみて欲しい。

 

 そうそう、書き忘れていたので追記。

 このトレーニングをしてもらおうとして、「最近なんか面白い映画とか漫画とかあった?」って聞いて、「いや、特に…」みたいになることがある。これは創作をする上で不味い状況だ。

 出力のための入力が足りていないか、もっと悪いのは、入力したものを消化していないかだ。そして残念なことに、大概後者である。

「面白い」を見つけられない者に、「面白い」を届けることは出来ない。肝に銘じて欲しい。

 

 最後に、お題にマーダーミステリーを含んでいないのは、シンプルに「ネタバレ抜きで言えることが少ないから」でもあるw

 それ以上に、ある分野の創作行為において、同じ分野からしか刺激を得られないのはマズい、という理由もある。マーダーミステリーを作るなら、マーダーミステリー以外のジャンルから刺激を得るべきだ。

 

っていうね、

 いっやーミスった! まさか前回以上に長くなると思わなかった! 具体例とか考えながら書くからこういうことになるんだよね!!

 こんなふうにね、文章は思い付くままにだらだら書くと際限なく長くなるからね! 書き出す前にまとめた考えも、適当に書いてると長くなるからね! やっぱりプロットは大事だよね!!

 

 でも今回からかなり具体的に踏み込んでるので、シナリオを書いてたり、これから書こうと思ってる子猫ちゃんには「それなー」ポイントが多かったんじゃないかなって期待してるよ!

 マーダーミステリー作るのって本当に難しいよね!!

 

 いくらなんでもここまで読んでくれた子猫ちゃんで、「いや作る話はどうでもいいんよ、それより遊ぶにはどうするのか教えろよ!」って子はいないと思うので、長くなったしサラッと行くね! それはここサ!!!


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 ココに来れば子猫ちゃんも今夜から仲間サ!

 はいレッツ・マーダー!!!

 ほんとに迷ってる人はブログの最初の方から読んでみてね! イケメンでしたッ!!

 

 

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