京王百貨店の「駅弁大会」は終了してしまったが、あと数回は続ける。

早速前回の続き。

 

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1/15(土)のこと。

後半がスタートした。

例によってチラシの画像を公式サイトより借用。

この日もインターネット予約を控えている。

欲張って8個も予約してしまったので、現地であまり追加はできないが、それでも

このイベントに来るとあれこれ足したくなってしまう。

しかも後半はこの日1日しか来ることができない。

 

そんなわけでこの日も開店少し前に着き、まずは4階「輸送駅弁」。その後7階へ回り、2階で予約品を受取るところまでは前の週と同じ。

今回はその後、できれば後半のみ来る大阪・玉出木村家のパンを求め、甘いものを追加するが、手荷物の加減次第になろう。

 

この日は「輸送駅弁」は数を思いきり絞り、3個のみ買おうと計画していたが、折角行列に耐えたのだから…という気持ちも手伝い、リピートしたものも含め、結局8個も購入してしまった。

もうこうなると大した量を追加することはできない。

その後7階で2品のみ弁当を買い、場内をざっと見回った後、10時半には早々と2階の引き取り列に並ぶ。

流石に30分も前だと、列は長くはなく、更に嬉しいことに11時よりも前に引き渡しが始まった。

 

先ほど7階から降りてくる時、例年なら11時半頃迄はじっと並ばされる玉出木村家が早くも販売を始めていたのに気づいたので、折返し2階から階段を上り、最後尾を探す。列は4階上まで伸びていた。

既に両手はマチの大きな紙袋いっぱいの弁当で塞がっている。

この状態で、果たしてトレーを受け取って、パンを乗せていくことができるのか?

いざとなったら店屋に頼んでその都度乗せてもらうしかない。

そう思っていたが、いざ自分の番が近づくと、到底そのようなことが頼める雰囲気ではないことに気がついた。

そこで、床がつるっとしているのを幸い、右手で提げていた紙袋を床に置き、右足でスルスルと動かしながら、パンをトレーに乗せていく。

例年、一番好きで楽しみにしている、“玉出木村家版シュトーレン”ともいうべき「雪山パン」が3人ほど前で完売してしまった。残念だが仕方がない。

高価なのでさほど売れないと思っていたが、美味さが浸透したのだろうか。

今回、珍しくピザパンが2種類出ている。

大荷物への更なる上乗せを極力避けようと、最初はスルーしようかとも思ったが、やはり試してみたくなって、大将に頼んでレジの番の寸前で取ってもらった。

2年ぶりで、マスクだが、顔を覚えられている。

大将からすれば、私でも「兄ちゃん」である。

 

玉出の列から漸く解放され、2度目の清泉寮ソフトクリーム。

それで漸く人心地がつき、向かいの今回初出店・笹屋昌園のわらび餅に並ぶ。

後半については碌に予習してこなかったが、先ほどパンに並んでいた時、向こう側

に宮崎・味のくらやのからいも団子の売店が見え、それで初めて出店を知った。

前半、同じ場所で実演販売していたあわまんじゅうを逃してしまったが、今回は見過ごせない。ほの甘い餡の味は同様だろうが、芋入り餅、きな粉と来れば、こちらのほうが好みなのは間違いない。

 

紙袋の取手がいつ千切れるか…という状況下でこれ以上持ち帰り品を増やすわけにはいかない。

パンに並んだ分、余計に時間を割いたと思ったが、前回同様、家に着いたのは昼の1時にもならない時間であった。

 

丁度お昼時である。

一仕事を終え、大荷物から漸く解放されたら、急に腹が減った。

 

以下は実食レポートである。

 

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海の彩り弁当 (旭川駅) (2,160円)

ご覧の通りの豪華海鮮弁当。

蟹のほぐし身をメインに、サーモン刺身、生ホタテ、イクラ、ウニ。

ウニが申し訳程度の2切れのみと淋しく、蟹のほぐし身だけだと地味な味だが、生ホタテとサーモン刺身がそれを補って余りある。

今回は特に肉系弁当で2,000円を平気で超えるものが続出している中、相対的に割安に感じられる辺り、金銭感覚の麻痺を寧ろ感じる。

 

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佐賀牛ランプとイチボの2種のステーキとすき焼き弁当 (武雄温泉駅) (1,998円)

毎回、カイロ堂の佐賀牛駅弁を食べている。

手を変え品を変え、毎度間違い探しのように、どこかしら内容を変え、それでも2,000円の大台を突破しないという意地を感じる。

ところが今回、この佐賀牛駅弁の世界にも、高級化、高額化の波が一挙に押し寄せた。

チラシ表にドーンと載せているのは、「佐賀牛サーロインのみで作った極みステーキ&すき焼き弁当」のほうで、こちらは何と3,780円。

美味いのは間違いないとは思うが、流石に弁当に4,000円近いカネを出すのは憚られる。出せない額ではないが、仕出し弁当でもないものにそれだけの額をはたくことに己の相場観がどうしてもGOサインを出さない。

 

さてこちらは例年同様の、庶民がちょっと奮発すれば買えないこともなく、又罪悪感を感じることもない、今回でいえば“並”のほうの駅弁である。

持ち帰りゆえすっかり冷めてしまったが、この弁当もまた、決してレンジで温めてはいけない弁当である。

温存した赤身牛肉は、冷めても十分に美味く、厚さも十分で食べ応えがある。

付け合わせのソースはおろし醤油味で、すき焼き肉の甘辛さと好対照をなす。

やはりステーキ肉が主役の、上で“並”と書いたが、こちらも十分上等の牛肉弁当である。

 

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飛騨牛ステーキ弁当 (高山駅) (2,160円)

飛騨高山も又、飛騨牛というブランド牛を擁する牛肉の名産地である。

上の佐賀牛よりもレア加減が強いステーキがびっしりと並び、下の白米には血が滴るほどだ。肉の厚さは佐賀牛よりも薄く、そのまま握り寿司のネタにしても通用しそうなくらい柔らかい。

付け合わせはいずれも煮野菜。椎茸、筍。それに山クラゲ漬。

山クラゲ漬は、前に別の肉系駅弁の付け合わせで食べた記憶があるが、それが何だったか思い出せない。

この駅弁は、竹久夢二調のハイカラ女性と汽車をあしらった素晴らしいデザインの掛け紙なので、特に写真を掲載したい。

但し、描かれているアメリカンなSLは、明治期に北海道で使用された7100形と思われ、実際米国産の輸入蒸機だが、高山へ来たわけではなさそうである。

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松阪牛三種盛り弁当 (名古屋駅) (2,484円)

現地で買い足した駅弁の一つ。

ご覧の通り、トレー中央に付け合わせの玉子焼と野菜を置き、左右にハンバーグ、ローストビーフを配した構成。

それぞれぽん酢とローストビーフソースが付いているが、ソースの量が多く、特にローストビーフの側は汁かけご飯になってしまった。

ローストビーフの側にはバランで仕切られた向こうに、玉ねぎと薄い牛肉を薄い甘辛味で煮たものが載っているが、これもなかなか美味かった。

とはいえこの弁当の主役はやはり圧倒的存在感を示すハンバーグ。

肉厚で身が詰まった厚手のハンバーグは食べ応え十分で、高値ゆえかさほど売れているようには見えなかったが、それだけのことはある。

 

しかしながら、上の2つがこれより安い値段で買えることを思うと、売れ行きが悪そうなのも仕方ないかな…という気にもなる。

 

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次回へ続く。

更に前回の続き。

 

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デコポンサンド(756円)

スカイベリーサンド(756円)

マンゴーサンド(1,026円)(以上、イマノフルーツファクトリー)

前半最終日に滑り込みで再訪。

最初ショーケース内はすっからかんになっており、てっきり完売したのかと思いきや、他の店を回った後、ソフトクリームを食べてふと向かいを見たら、商品が補充されているではないか!

それで思わず衝動買い。

残念ながら、気になっていた「安納芋」は売り切れということだったが、マンゴーもデコポンも手に入れた。

検索してみると、マンゴーはマンゴーでも宮崎マンゴーもあるらしいが、そちらはべらぼうに高く、2,000円超え。

こちらは確かメキシコ産。

苺も他に「とちおとめ」があったが、やはり値が張るので安い方の「スカイベリー」を選択。

それでも今回選んだどの味も、甘みと酸味が効いた実に素晴らしい味。やはりマーガリンベースのクリームだが、生クリームみたいに主張せず、満腹感を助長せず、これはこれで良い引き立て役なのかもしれない。

敢えて3つの中で「どれ?」と問われれば、この中からなら「デコポン」かなぁ…。

 

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近江牛大入飯(米原駅)(1,200円)

機会あるたびに食している近江牛は近江牛でも、こちらは米原の駅弁。

近江牛の玉ねぎ炒めの下は、珍しいカレー味のご飯。

このカレー味と牛肉炒めが実によく合う。

牛肉も他の牛肉弁当のように醤油味が強すぎたり、肉厚だったりせず、脂身が絡まったそこらの牛薄切肉といった感じなのだが、それが却って美味い。

器はやや小ぶりなれど、容器いっぱいに入ったカレーご飯と牛焼肉をかっ込む幸せ。

確かに「大入り」の看板に偽りなしだ。

 

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近江の鴨めし重(草津駅)(1,100円)

目にも色鮮やかな駅弁。

奥の茶色い付け合わせは椎茸かと思いきや、あんころ餅であった。

手前の白いものは大根。奥の赤いのは蒟蒻。

鴨肉3枚がメインだが、それを先に平らげてしまうと、ただの鶏ご飯になりそうなので、鴨は最後まで温存。独特の脂の味が美味い。

ご飯は多く詰まっており、なかなか手べごたえのある弁当。

 

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松阪名物黒毛和牛牛めし(松阪駅)(1,500円)

白米が全面に敷き詰められ、その上に牛肉ワイン煮がドーンと乗った気前のいい弁当。肉は大ぶりで食べ応えがある。

肉の上に乗った菜っ葉が余分なような気もするが…。

 

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萩の月 (菓匠三全) (5個入簡易包装:831円)

言わずと知れた超有名土産菓子。

全国に亜流があれど、やはりこの“本家”には及ばない。

玉子味が濃厚な、独特のザラッとした舌触りのカスタードクリームに、ふわふわのカステラがよく合う。

幼少期、カスタードクリームが嫌いであった。

大分前に流行った台湾のエッグタルトのような、ぼよんぼよんとしたカスタードが嫌いで、シュークリームは昔はパン屋でよく売られていた糊みたいな半透明のクリームが入ったものが好きであった。

食べやすいように生クリームが混ぜられたものが主流になったのは随分後のことだ。

ヒロタやヨネザワのエクレアをたまに貰うと、チョコレートのかかった皮だけ剥いで食べるような子供だった。


不覚にも大人になるまで、萩の月を食べたことはない。

もしかすると幼少期に出会っていたら、萩の月でさえ嫌いだったかもしれない。

大人になって味覚の幅が広がってから、出会ったのは寧ろ良かったかもしれない。


関西の出なので、昔から「赤福」は食べつけている。

いつしか旨い土産物を語る時、「東の萩の月、西の赤福」、そんな言葉が浮かぶようになった。

「赤福」は個別包装ではないので、人に配ることを考えれば、「萩の月」に軍配が上がる。

今回購入したのは簡易包装版だが、和服のお姉さんが佇む化粧箱入りだと、何とも言えない抒情性を感じ、より一層幸せ気分になれる。

 

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次回へ続く。

前回の続き。

 

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なにわホルモン焼肉弁当 (大阪駅)(1,200円)

如何にもよそ者がイメージする“ザ・大阪”というイメージのパッケージイラストが可笑しい。

「ナニワ金融道」を思わせる。

大阪でも鶴橋の韓国焼肉をイメージしたのだろう。

ピリ辛ダレの焼肉と、看板のホルモン焼が白飯の上に乗ったのがメイン。付け合わせもナムルで、味の統一がとれている。

この肝心のホルモンが、どう見ても「こてっちゃん」にしか見えず、大した量でもないのが減点で、どうせならホルモンで全部覆い尽くして見ぃ!と言いたくなるが、

食べ手を選ぶことになりそうなので、付け合わせ程度で良いのであろう。

 

“ホルモン料理”は“放(ほう)るもん”由来との俗説があるが、勿論ウソで、ホルモンバランスなどの医学用語である。臓物を食べると元気になると言われ、元来は今でいう“スタミナ料理”に近い意味だったらしい。

 

調製元は神戸の駅弁で名を馳せている淡路屋。

大阪地場の業者ではなく、それで余計に大阪っぽい演出がなされているのかもしれない。

以前食した「大阪トンテキ弁当」と同系列。

 

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中津風からあげ弁当 (大分駅)(880円)

大分県中津市は唐揚げの聖地だという。

それにあやかった弁当だが、あくまで“中津「風」”である。

白飯に刻み海苔が撒かれ、メイン食材の唐揚げと錦糸玉子が半々。煮玉子まで載る賑やかさ。

付け合わせは高菜漬けとしば漬けである。

煮玉子は駅弁によくある偽玉子ではなく、ちゃんと本物を使ってある。

唐揚げは冷めても美味しいおかずで、肉も硬くならず、敷き詰められたご飯共々食べ応えのある満足のいく駅弁であった。

 

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日が変わり、前半最終日のこと。

身体を空けて所要を済ませ、現地に着いたのは午後3時半過ぎ。

まずは4階に行く。

流石にこの時間になると列はなく、すんなり入れたが、この日は17時閉場ということもあってか、既に目ぼしい駅弁はあまり残っていなかった。

その中から3点ほど選び、7階へ行く。

7階の実演ブースも、この日は数を絞ったか、既に完売御礼となり、早くも売り上げの締めにかかっている業者も多数。

その中から幾つか弁当を買う。

現地に来れば、その熱気に当てられ、予定外の買い物をしてしまうのが常。

早くも重い荷物を抱え込み、疲れ果てたので、数少ないイートイン可能な2店で一休み。

 

清泉寮ソフトクリーム(清泉寮)(400円)

両手ふさがりで、モバイルクーポンが使えたのかどうかも確かめなかった。

以前総合受付だった場所の裏手に専用スペースが設けられ、食べられるようになっている。

滑らか&クリーミーというよりはシャリシャリとした食感が残る「あいすくりん」を思わせる味。それがこの会場の熱気と人ごみの中では寧ろ有難いのである。

 

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菅原ぶどう園 ぶどうジュース (ミックス/1杯200円)

2年ぶりだったが、お店のいつものおばちゃんがちゃんと顔を覚えていて下さっていた。

そこらの果汁100%を謳うどのジュースとも違う、実に複雑で奥行きのある味わい深いぶどうジュースで、殆ど一気に飲み干してしまうのが惜しい。

いつも瓶で買おう、また飲もう、そう思うのだが、特に今回はあまりの荷物の多さで力尽き、今年はこの時の1杯限りとなりそうである。

 

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うに丼ハーフ (1,350円)(濱乃家・長万部)

会場で、うに丼を1つくらいは買おうか…と思いながら物色していて思わず衝動買いした品。

玉子焼き、海藻、漬物などは脇にあるが、他は全部ウニ、ウニ、ウニ。

ご覧のようにさほど大ぶりのウニではないし、二重に重なっていることもないが、れっきとした生ウニで、トロりとしたほの甘い味わいがある。

 

20歳過ぎまでウニ嫌いであった。

生まれて初めて北海道への旅に出た時も、ウニは一口も食べていない。

思えば勿体ないことをしたものだ。

それで、5年ほど前、久しぶりに北海道へ行った時、生ウニ丼を何としても食べようとススキノ地下へ出向いたが、何と時価。聞けば8,000円するという。

 

それから思えば、ハーフでも、とにかく生ウニ丼を廉価で食べられるのだから、有難いことだ。蒸しウニの弁当も他にあるが、こればかりは逆立ちしても、生ウニにはかなわないと思っている。

 

鮪巻 (1,512円) (濱乃家・長万部)

ご覧のようにマグロが主役の海苔巻き。

マグロがご飯の隙間からこぼれ出ている。

よく見ると身そのものではなくタタキだが、それでもマグロを存分に堪能できる。

ウニ丼だけ買おうとして、思わず衝動買いしてしまった。

 

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近江牛ステーキ&焼肉弁当 (草津駅)(1,800円)

幾ら持ち帰って冷めているとはいえ、これは絶対にレンジで温めてはいけない弁当。

白ゴマをまぶした香ばしい牛焼肉と、赤い色が食欲をそそるステーキが白飯の上に半々に乗っかっている。

ステーキソースはケチャップベースなのが珍しい。

大抵の場合、おろし醤油とか玉ねぎソースとか和風であることが多いから。

付け合わせの野菜は、マッシュポテトにブロッコリー。

洋風に振ったステーキ弁当。

流石値が張るだけのことはある。

 

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鮪づくし弁当 (いわき駅)(1,560円)

見た目のインパクト絶大な弁当。

マグロのテール輪切り肉を醤油味で煮たものがドーンと円い容器の内周を覆い尽くすように鎮座している。

その下には量は少なめとはいえ、鮪の刺身、焙った鮪の切身、錦糸玉子の層が隠れている。

とりあえずテールを蓋に除け、下層から食べ始めた。

さて問題のテール。

肉厚でどっしりとボリュームたっぷり。

 

だが、これは果たして駅弁と言えるのか?

地方でもJR東日本エリアは特に、ロングシート車ばかりが増え、旅情もへったくれもなく、「鈍行で駅弁など食うな」と言われているようなものだが、仮に新幹線や特急に乗ったとしても、このテールは車内は勿論、待合所でも食べるのは無理であろう。

肉の身が締まりすぎていて、まず箸が入らない。

仕方なく両手で掴み、歯でこそげ取るように食べにかかるが、今度は硬い骨が邪魔をする。

ラスボスは周囲の皮だ。

写真にこそ取らなかったが、あの鯉のうま煮を思わせる鱗がびっしり張り付いている。硬い骨を取り除きながら肉を齧り、皮に迫っていく。皮にへばりつく肉をどうにか噛み切ると、最後はゴムみたいな弾力の皮が現れる。

ブリや鮭の皮くらいを想像し、試しに口に放り込んでみたが、どうしても噛み切れない。それに分厚い。

やはり巨大なマグロは皮まで規格外である。

 

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次回へ続く。

前回の続き。

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たかのののどぐろめし (金沢駅)(1,350円)

4階輸送会場にて衝動買いした駅弁。

過去に食べたことがあったかな…と頭の中で「?」が渦巻いていた時、後ろにいた男2人組が、「これもすぐ売り切れちゃうんだよなぁ…」と話しているのを耳にし、思わず手に取ったのであった。

のどぐろといえば高級魚の代名詞で、今回は提供されていないが、新潟駅弁で「のどぐろとサーモンといくらの弁当」という駅弁を毎年のように食べていた。それでのどぐろの味を覚えたものだ。

駅弁に使われるのどぐろは小ぶりだが、タレをつけて焼いたのどぐろがこれだけ一面に咲き誇っているのは壮観としか言いようがない。

宮島口の超有名駅弁「あなごめし」を思わせるシンプルで潔い内容。のどぐろが好き、のどぐろを思いきり味わいたいという向きには絶対にお薦めしたい弁当だ。

 

尚、過去の記録を調べてみたら、2017年に同じ名前の駅弁を食べていた。

その時も「輸送」で、“瞬殺”アイテムだったのだが、今回のものは全くといってよいほど別物である。

(参考画像:2017年1月)

 

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松阪牛すき焼きと近江牛しぐれ煮重 (草津駅)(1,430円)

松阪牛のすき焼きと近江牛しぐれ煮が相盛りとなった駅弁。

向かって左側の、糸蒟蒻、焼豆腐のある側が「すき焼き」、椎茸のある側が「しぐれ煮」と思われる。

空きっ腹には、どっちがどっちだかあまり区別がつかず、甘辛くて旨い牛肉同士である。

この弁当でよくわからないのは、近江牛を使った駅弁を多数リリースしているにも関わらず、何故すき焼きを敢えて松阪牛使用としたのかということ。

あと、錦糸玉子は余計。

すき焼きの玉子代わりの積りかもしれないが、折角の牛肉味の魅力が、パサパサした錦糸玉子の食感によって低減してしまっている。

 

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十和田バラ焼き重 (新青森駅)(1,080円)

チラシで見て、とても美味そうだったので、輸送駅弁のお目当ての一つとした駅弁。

「十和田バラ焼き」とは、醤油ベースの甘辛ダレで下味をつけた牛バラ肉と大量の玉ねぎを、じっくりと“焼きしめ”たものだという。

その名に違わず玉ねぎが多く入っていて、ご飯が進む。

付け合わせはわさび菜醤油漬と大根漬の梅肉あえ、玉子焼き。

今さらながらに、牛肉と玉ねぎはよく合うなぁ…改めてそう感じられた一品。

昔、十和田湖畔のホテルに泊まったことがあるが、揚げ物だらけのバイキングで、ばら焼きの“ば”の字も知らずに帰ったぞ。

ご当地グルメは下調べして、味わっておくべきだと思わされた。

 

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近江牛黒胡椒焼肉&ペッパーチキン弁当 (草津駅)(1,290円)

今回、草津駅弁ばかり食べているが、上の「すき焼き&しぐれ煮」とは大きく異なり、こちらはなかなかワイルドな洋風にキメている。

黒胡椒をまぶした牛焼肉に、これも黒胡椒をまぶしたチキンステーキ。

付け合わせはいんげん、コーン、人参ソテー、マッシュポテトにピクルス。

演歌歌手が無理やりロックを歌うようでもなく、“近江牛、歌謡曲も洋楽も、どちらも難なくこなします”そんな感じ。

但し、鶏肉までは近江産ではなく、安さの代名詞・ブラジル産。

 

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次回へ続く。

前回の続き。

翌日朝昼兼用で食した弁当のレビューである。

 

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うなぎちらしごはん(なかがわ) (京都駅)(1,850円)

近年、前半のみ或いは後半のみ出店する、京都の調整元による駅弁。

ホームページを見ると、新幹線の京都駅で売られている「四季のごはん」シリーズの一つであるらしい。

調製元ではなく、調進所と言っており、そこから5㎞以内で10個以上なら、会議用として配達してくれるとの由。

「調進」とは聞きなれぬ言葉だと思い、調べてみると、整えて目上の人に差し上げるという意味の、ものを作って提供することの丁寧な言い方だという。

 

過去には鰻・穴子・鱧の3種、鰻・穴子の2種などの弁当が、実演で提供されてきたが、今回は魚は鰻に絞り、玉子焼きが3切乗ったものである。

 

香ばしい鰻の焼き味が食欲をそそり、タレがよくしみこんだご飯と実によく合う。

更に特筆すべきは玉子焼き。

よくある甘い玉子焼きではなく、あくまで関西風に、砂糖の入っていない薄味が素晴らしい。

元が関西人なので、今でも砂糖入りの甘い玉子焼きが嫌いである。

普段は我慢して食べているが、嫌なものから先に片付けることにしているので、通常は玉子焼きから真っ先に片付ける。

玉子焼きを安心して口に運べるのは、砂糖なしだとわかっている関西風のものだけだ。

全体的に京都という街から連想する、さっぱりと上品で、スパッと潔い、そんなイメージに違わぬ弁当である。

肉系、鮮魚系に比べ、地味に映るのか、その割に値段が高めだからなのか、人が集まっているのを殆ど目にしたことがないが、個人的にはこの店は贔屓にしており、次に京都へ行く機会があれば、是非訪ねてみたいと思っている。

 

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あんこう三昧弁当 (水戸駅)(1,100円)

珍しい鮟鱇にテーマを絞った駅弁。

リストで下調べする段階から、買おうと心に決めていた。

確か初めてではなかったような…そう思ったら、やはり2020年、新型コロナ禍が猛威を振るい始める寸前に食べていた。(→当時の記事

唐揚げ、味噌煮、あん肝を軸に、椎茸煮、花形人参煮、わらび、牛蒡甘辛煮…と野菜も豊富。

全体にご飯が敷き詰められ、結構ボリュームがある。

やはり最後まで楽しみに取っておきたいのは、あんきも。

白滝まで味噌味で煮込まれており、生臭さを消すのに役立っている。

 

随分昔の話だが、西日暮里にある開成中学という超難関校の国語の過去問で、アンコウの吊るし切りを描いた文を読んだことがあった。

未だ鮟鱇の吊るし切りは目にしたことがないが、「美味しんぼ」初期の究極のメニューを立ち上げるエピソードで、山岡四郎が、フォアグラを絶賛する食通たちを嘲笑し、それを上回る味の食べ物として、大洗から鮟鱇を取り寄せ、あんきもを供する場面が印象に残っている。

開成と「美味しんぼ」…全く関連性のなさそうな両者が、私の中で鮟鱇を介して繋がっており、この不思議な魚を特別視する元となっているのである。

 

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比内地鶏の鶏めし(大舘駅)(1,200円)

オリジナルの「鶏めし」に比べ、「+300円」の別バージョン。

ほんのり甘い鶏の煮汁が入ったご飯のマイルドさ加減は「オリジナル」と同じだが、大きく異なるのは鶏肉の味付けが、塩焼となっていることであろう。

こちらの鶏は、特に比内地鶏と記されているが、残念ながら私の舌では特別な違いはわからなかった。

大絶賛のがんもどきはこちらにも入っているが、もう一つのスター級付け合わせは、茄子の田楽味噌あえである。

ほんのり甘いご飯、控えめでいながら美味な付け合わせのおかず群というオリジナルの良さは継承しながら、塩焼の鶏肉がオリジナルとは違った味のコントラストを齎している。

果たして300円増しほどの違いはあるのかどうかはわからないが、オリジナル共々味わいたい一品である。

 

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次回へ続く。