暮らしと算命学*
「異常干支と正常干支」
冒頭から「異常干支」と言っても、一般の方には普段は縁のないものですが、干支(えと)と言えば、年賀状やお正月には「今年は何年」と口にする程度で、普段はあまり耳にしないものです。
算命学では干支(かんし)と称しており、十干(10種類)と、十二支(12種類)の組み合わせで、干支が成り立っているのです。
ここでミステリーと言えば、十干が10種類×十二支が12種類あれば、合計120種の干支が発生することになりますが、「陽の干支」と「陰の干支」を分類すると、合計で60種の干支が成立します。
陽の干支=十干の陽干と、十二支の陽支の組み合わせ(30種)
陰の干支=十干の陰干と、十二支の陰支の組み合わせ(30種)
*他の60種は、陰陽の混合となり不成立
ここで有効な干支とは、陽の干支と陰の干支の60種類の干支ができあがりますが、奇数は陽干支、偶数は陰干支で陽~陰~陽~陰と60種類の干支が発生しているのです。
「異常干支」はこの60種類の干支中に13個ありますが、他の47個の干支は「正常干支」に属します。
*ここでは「異常干支」に対して「正常干支」と称しています。
干支を分類する段階では、正常干支の中には「三業干支」も含んでおり、この「三業干支」も20個(うち2個は異常干支)ありますから、
異常干支=13個
三業干支=20個(内2個は異常干支)
正常干支=29個
60個の干支中には、正常な干支が29個あり、異常・三業干支が合計で31個、要約すれば約半分は正常な干支ですが、残りの半分は何らかの異常性のある干支が出現しているのです。
この世に生誕と同時に与えられる3個の干支(年干支・月干支・日干支)には、異常干支、三業干支、正常干支がそれぞれ散らばって発生しているのですが、組み合わせの関係から、何れかに片寄った干支も発生しているのです。
*異常干支
水性=乙亥、丁亥、己亥、辛亥、戊子、庚子
火性=丁巳、辛巳、癸巳、壬午
土性=甲戌、丙戌、戊戌
*異常干支の主な特徴
上記のように異常干支は、水性と火性に集中して発生していますが、元はと言えば、水性と火性は「陽の分類」にあり、行動より精神面に現れる特徴があるのです。
算命学の考え方は、地上と天空を分類すると、
陰の十二支=地上
陽の十二支=天空
となるのですが分類上は、子と午は時間軸の地上に配置されて「陰扱い」となり、その反面本来は地上にあるべき「陰の十二支」が空間の天空に配置されて「陽の扱い」になっているのです。
*十二支の本元
子(地上)=癸(陰の水性)
午(地上)=丁(陰の火性)
亥(天空)=壬(陽の水性)
巳(天空)=丙(陽の火性)
このように自然の水性と火性の位置が、地上と天空とに入れ替わっていれば、当然のように矛盾が発生してきます。
さらに横軸は現実行動で、縦軸は精神領域ですから、異常干支の現象は行動より精神面に強く現れてくることになります。
従って異常な発想とか異常と思えるアイデアなど、非現実的な発想や閃きなどが現れても何ら不思議ではありません。
この辺りが正常と異常の違いとなって現れますが、主に精神面が中心で、行動での異常性は殆ど見られません。
この他には「甲戌」、「丙戌」、「戊戌」の行動軸の異常干支が見られますが、
甲戌=日座天中殺(日干支のみ)、結婚に関する異常性
丙戌・戊戌=高い教養を身につけると精神的な異常性
と条件付きの異常干支です。
*****
*命式中の異常干支
年干支=辛 巳
月干支=辛 亥
日干支=壬 午
上記の赤字は異常干支ですが、命式中に2個、3個と保有している人は、基本的に普通の占いでは通用しないかも知れません。
非常に特殊な物の考え方になり、中には霊感現象が見られるかも知れません。
また、後天運で大運や年運で異常干支が巡ってくると、異常性がさらに膨らみますから、4個以上になると極端な現象が現れてきます。
もともと異常干支の所有者は、平均的な中庸から逸脱し、天才型か鈍才型のどちらかですから、先ず中途半端はありません。
異常干支は平均的な状態、つまり家庭を持った、子供が産まれた、親がいて配偶者がいてと言う、平均的な環境に浸ると異常性が現れてくるのです。
従ってある種の変形した生活、つまり独身とか親元を離れて独り暮らし、父親が遠方にいて母親と二人で暮らしている場合は、異常な環境ですから、異常性が順当に燃焼します。
*異常干支の所有者は、平均的な家庭には適さない
日干支に異常干支を持つ人が、普通に結婚して子供が居ないときは異常な状況下にあり平穏ですが、子供ができて親子3人揃えば、徐々に影響を受け、夫婦間や子供にも何らかの影響が出てきます。
異常干支は「変則占技の基本」でもあり、異常干支を見るときはその人の環境を重視しなければなりません。この場合は個人の運命より、どんな環境下に置かれているかを知ることが大切です。
*命式に異常干支がある場合
①平均的環境(配偶者・子供・祖父母あり)
②どこかで波乱が待ち受けている
①孤独な環境(独り暮らし)
②大きな波乱はありません
*まとめ
①孤独な環境の中で順当な人生となる。
②平均的な環境を与えられると、肉体的な虚弱さがでる。
③天才的な一面と、異常性の一面を表裏一体でもっている。
*異常干支と位相法
異常干支の保有者が後天運の位相法と重なると、奇妙な出方になります。
①異常干支を持ちながら宿命に対中があると、異常性が現れなかったり天才の一面も出ない代わりに、異常性も見られません。
②宿命の半会と異常干支が重なると、天才性も出るが異常な部分も膨らむなど、支合や半会の所有者は異常性がはっきりと現れます。
③宿命に対中を持つ人は、異常性が隠れてしまい、本人の異常性に気付くのが遅くなります。
このように異常干支の占技は、実際の活用では実に領域が広くなりますが、異常干支の保有者は「異常干支と本人の環境」を重視することから始めなければなりません。
*****