他人の振り見て我が振り直せ!失敗を成功に変える総務・労務マニュアル

他人の振り見て我が振り直せ!失敗を成功に変える総務・労務マニュアル

社会保険の手続きや労務管理のポイントを解説。社会保険労務士10年の失敗経験も公開。中小企業で人事・総務を担当しているけど、ちょっと自信のない方、応援します!

★会社を支える人事・総務を応援します★


ご訪問ありがとうございます。


会社を支えるのは従業員。
その従業員が安心して働けるよう支えているのが人事・総務。
実は結構奥が深ーい専門的な業務です。

ところが中小企業では、一人で経理や営業事務等いくつもの業務を抱えていることも多く、
専門的に勉強しているヒマなんてないのが現状ではないでしょうか。

「仕事は失敗して覚えろ」なんて言いますが、できれば失敗せずに済ませたいもの。
このブログでは、社会保険手続きや労務管理について
私の手痛い失敗体験や間違えやすいポイントなどを中心にご紹介していきます。


なお、事例は実際に起きたことを基にしてはいますが

個人の特定を防ぐために、登場人物やシチュエーション等に脚色を加えています。

事実そのものではありません。

また、私自身の事例ではなく、他の人が経験した事例を取り上げることもあります。

ご了承ください。



【メールマガジン】
法令新着情報、人事労務Q&A等の情報を配信しています。

社労士池田事務所の人事・労務メールニュース



【HP】

社会保険労務士池田事務所HP


 8月にお知らせした産休中の社会保険料免除について
施行日は「公布日(H24.8.22)から2年の範囲内で政令で定める日」
とお伝えしていましたが、その日が決まりました。

平成26年4月1日が施行日です。

【H26.4.1施行の改正内容】

・産前産後休業期間中の健康保険料・厚生年金保険料の免除
・産休終了時に報酬が低下した場合、産休終了後の3ヶ月の報酬月額平均により、標準報酬月額を改定 
 (現行の育児終了時月変と同様の制度)

詳しくは厚生労働省のHPをご確認ください。

厚生労働省HP
年金制度の改正について(社会保障・税一体改革関連)

概要(PDF)



妊婦 
画像は わんパグ さんより

 





あけましておめでとうございます。

昨年からこのブログを開始し
ゆーったりしたペースで更新してきました。

どうも、気軽に更新するということができず、
ひとつ記事を書くのに、やたら時間がかかってしまうというのがだめなんですよね。
でも、記事のコメントやメッセージをいただけるのが、とても励みになっています。
読んでくださっている皆様、ありがとうございました。
今年もよろしくお願いいたします。

今年は4日が金曜日なので、6日(日)までお休みという会社も多いようですね。
池田事務所は本日、仕事始め。
12月末退職の方や高年齢雇用継続給付の申請で
これから職安回りです。
12月末の退職って、多いんですよね・・・
電車や職安が空いていることを期待しているのですが、どうでしょう?

今年は、法改正の対応で
雇用契約書、協定、就業規則の見直しも控えていて
ちょっと気合を入れたい仕事始めです。



雑煮 

60歳以降にもらえる雇用保険の給付

法改正により、定年以降も65歳までの雇用の義務化が決まりました。

とはいえ、65歳まで定年前と同じ給与額が保障されているわけではありません。
60歳以降になると給与額が大幅に下がることも多いのではないでしょうか。

給料日

その下がった給与の一部を補ってくれる制度が、雇用保険にはあります。

それは、高年齢雇用継続給付


60歳以降の賃金が、60歳到達時点の賃金に比べて75%未満に下がったときに
その差額の一部を補填
してくれるものです。

 
失業給付を受給したかどうかにより、次の2種類の給付があります。

高年齢雇用継続給付基本給付金
基本手当(失業期間中に受給する給付のこと。ここでは、再就職手当なども含みます。)を受給していない人を対象とするもの。


高年齢再就職給付金
基本手当を受給した後、60歳以後に再就職した人を対象とするもの。基本手当の残日数により支給期間が決まります。

支給額


支給額は、60歳以降の各月の賃金低下率に応じて決まります。


《低下率が61%以下の場合》


賃金の低下率が61%以下の場合だと
支給対象月に支払われた賃金の15%が支給されます。


例えば60歳になった直前6ヶ月の賃金の平均が45万円だった人が
60歳以降、20万円の賃金になったとします。


この場合の低下率は、44.44%


低下率=支給対象月の賃金÷賃金月額×100
   =20万円÷45万円×100
   =44.444・・・
   → 44.44% 


61%以下の低下率なので、支給対象月の賃金の15%が受け取れます。


支給額=支給対象月の賃金×15%
   =20万円×15%
   =3万円


《低下率が61%を超え75%未満の場合》


低下率が61%を超え75%未満の場合の支給額は、次の計算式により求められます。


支給額=-183/280×支給対象月の賃金額+137.25/280×賃金月額


例えば
60歳になった直前6ヶ月の賃金の平均(賃金月額)が30万円だった人が
60歳以降、20万円の賃金になったとします。


この場合の低下率は、66.67%


低下率=支給対象月の賃金÷賃金月額×100
   =20万円÷30万円×100
   =66.66・・・
   → 66.67% 


61%を超え75%未満の低下率ですので、計算式にあてはめると


支給額=-183/280×支給対象月の賃金額+137.25/280×賃金月額
   =-183/280×20万円+137.25/280×30万円
   ≒16,340円


ややこしい計算式ですが、早見表があります。
リンク先(パンフレット「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続きについて」の7頁)をご確認ください。

ハローワークインターネットサービス (PDFファイル)

《支給限度額》

高年齢雇用継続給付には支給限度額があります。

支給対象月に払われた賃金額が支給限度額以上の場合は、その月は給付金は支払われません。
支給対象月に払われた賃金額と算定された支給額の合計が、支給限度額を超える場合は、支給限度額と賃金の差額が支給されます。

平成24年8月以降の支給限度額は、343,396円です。
この支給限度額は毎年8月1日に変更されます。


《最低限度額》

高年齢雇用継続給付には最低限度額もあります。
算定された支給額が、最低限度額以下の場合にも、給付金は支給されません。

平成24年8月以降の最低限度額は、1,856円です。
この最低限度額も毎年8月1日に変更されます。

《60歳到達時の賃金月額の上限・下限》

低下率を計算するもととなる60歳到達時の賃金月額にも上限額と下限額があります。
平成24年8月以降の
上限額は 450,600円 
下限額は  69,600円
となっています。
60歳到達時点の直近6か月間の賃金平均の月額が上限額を超える場合は上限額、下限額を下回る場合は下限額を用いて計算します。

(計算例)
60歳になった直前6ヶ月の賃金の平均(賃金月額)が80万円だった人が、60歳以降32万円の賃金になったとすると、
まず、60歳到達時賃金は、6ヶ月の平均額80万円が上限額を上回っているため
上限額の450,600円(H25.7.31迄)と読み替えます。
60歳到達時に450,600円が、60歳以降、その月は32万円になったと考えるので
32万円÷450600円=71.02%
計算式にあてはめると
-183/280×32万円+137.25/280×450600
≒11732円
計算式でなく、早見表でざっくり見ると、71.00%の支給率が3.68%なので
32万円×3.68%=11776円
71.02%の低下率なので、71.00%の低下率の早見表で計算したものよりやや少ない金額になります。
その月の賃金32万円+支給額11732円=331732円
となり、支給限度額(343,396円)を下回るので
そのまま支給額は11732円となります。
(端数処理の関係で、実際の支給額と異なる場合があります)

なお、60歳以降の各月の賃金は、給与の総支給額をそのまま賃金額とするとは限らず、「みなし賃金」として計算する場合があります。
これに関しては、次回ご説明します。


支給要件


この高年齢雇用継続給付ですが
60歳以降に賃金さえ低下すれば誰でももらえるというわけではありません。

以下の支給要件をすべて満たす必要があります。


【共通要件


1.60歳以上65歳未満雇用保険一般被保険者であること

2.被保険者であった期間が5年以上あること

 (退職から再就職までの空白期間が1年以内で、求職者給付・就業促進手当を受けていない場合に通算可能)

3.原則として、60歳時点と比較して、60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が60歳時点の75%未満となっていること

 (60歳時点で被保険者期間が5年未満の場合は、60歳以降で5年の被保険者期間の要件を満たせた時点の賃金と比較)

 (60歳前に退職し、退職から1年以内に基本手当等を受給せずに60歳以降に再就職した場合は、離職時点の賃金と比較)

 (高年齢再就職給付金の場合は、基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となっていること)

高年齢雇用継続基本給付金の要件

(例1)60歳到達時点で要件を満たす場合
例1 
(例2)60歳到達時点で被保険者期間が5年に満たない場合
例2

 (例3)60歳到達時点で雇用保険の一般被保険者でない場合
例3


【高年齢再就職給付金独自の要件】
❏基本手当を受給した後、60歳以後に再就職して、雇用保険の一般被保険者となっていること。
❏基本手当についての算定基礎期間が5年以上あること
❏再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること
(再就職手当も受けていないこと)

(例1)60歳以後に離職した場合

再就職1 
(例2)60歳前に離職した場合

再就職2

(例3)受給できない場合(60歳前の再就職)
 再就職3 

支給期間

《高年齢雇用継続基本給付金》

60歳に到達した月から65歳に達する月まで

《高年齢再就職給付金》

65歳に達する月を限度として、次の期間

基本手当の支給残日数が200日以上あるとき
2年
(再就職日の翌日から2年を経過する日の属する月まで)
 
基本手当の支給残日数が100日以上200日未満のとき
1年
(再就職日の翌日から2年を経過する日の属する月まで)

高年齢雇用継続基本給付金も高年齢再就職給付金も、各暦月の初日から末日まで雇用保険の被保険者であることが必要です。

 財布2 


雇用保険の被保険者が60歳以降に一定以上賃金が低下したら全員が対象になる、というのであればわかりやすいのですが、被保険者期間や失業給付受給等の要件もあるため、受給できるのかどうかが判断しにくいかもしれません。

次回は、具体的な手続きについてご説明します。
 




平成24年8月29日に成立した高年齢者雇用安定法の改正(平成25年4月1日施行)について、8月30日にブログで取り上げました。

定年が65歳より前であっても
再雇用等によって、希望者全員を65歳まで雇用しなければならず
これまで労使協定により継続雇用の対象者を選別できていたものが
一部の経過措置を除き、できなくなってしまったというものです。

ただ、指針により、健康状態や勤務態度等が著しく悪い人については
除外できるようにする、となっていました。

平成24年11月9日、この指針が公布されましたので、お知らせします。

継続雇用しないことができる対象者としては、次のように記載されています。

心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ。)に該当する場合には、継続雇用しないことができる。」

「就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に、就業規則に定めることもできる。また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができる。なお、解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律の趣旨を没却するおそれがあることに留意する。」

つまり、定年前の正社員の解雇事由や退職事由に該当するんだったら、定年後の継続雇用もしなくていいですよ、ということですよね。

当たり前といえば当たり前のような。

例えば、横領した社員がいるとして、定年前なら解雇されるけど、定年後の再雇用なら御咎めなしで65歳まで勤務できるとしたら理不尽ですもんね。

労使協定で基準を設けることができていたときには
人事評価で××評価以上
××の職種の者
等の基準も可能だったのですが
今後は、正社員の退職事由・解雇事由と定年後の継続雇用をしないことができる事由とは変わらない、ということになるようです。

なお、就業規則で規定された解雇事由に該当すればどんな場合も解雇有効というわけではありません。

労働契約法第16条により「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。

就業規則事由の解雇事由により解雇したとしても、後日、訴訟になって権利濫用で解雇無効となることもあり得ます。

今回の継続雇用しないことのできる基準についても、就業規則に記載があればOKというのではなく、解雇同様に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが必要となります。

ところで、労働契約法第17条では
「期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」
と定められているため、
期間途中の解雇は、正社員の解雇よりも厳しいものとなっています。

そう考えると
客観的に合理的だし社会通念上相当だけど、やむを得ないとまでは言えないなー
というときには、
正社員は解雇できても、定年後に期間を定めて再雇用している場合、
期間途中での解雇ができず、契約満了まで待って雇止め
ということもありそうですね。

すると、定年後の再雇用で期間雇用にする意味は
労働時間等を減らす等、労働条件を定年前とは違うものにできる
ということくらいでしょうか。

指針では、賃金・人事処遇制度についても定めています。

詳細はこちらをご確認ください。

高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針
平成24年11月9日厚生労働省告示第560号


 

 


さっき、PCで「社労士」と入力しようとしたら、「u」に触れてしまったようで
「者老衰」と変換されてしまいました。
なんだか一気に老い衰えた気が・・・


今日のテーマの60歳の定年退職

子どもの頃はお年寄りというイメージでしたが、
最近の60歳って老い衰えるどころか、若いですよね。

芸能人で言えば

三浦友和
坂本龍一
水谷豊
中島みゆき
夏木マリ
もたいまさこ

とても、引退する年齢には思えません。
(実は今、先週発売された中島みゆきのCDを聴きながら書いてます。
うーん。還暦とは思えない力強さ)

でも、サラリーマンだとしたら、定年の年齢なんですね。


法改正により65歳までの雇用が義務付けられましたが
それでも定年自体は60歳として、嘱託等で65歳まで再雇用
という企業がまだ大半のようです。


定年制を定めている会社が92.9%
うち、60歳としている会社は82.2%


厚生労働省
平成23年就労条件総合調査結果の概況

定年は60歳とは限りませんが
60歳未満の年齢にすることは、原則、認められていません。

これは高年齢者等雇用安定法の第8条で
「事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。」
としているからです。


8条には、
「ただし、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者については、この限りでない」
として、その例外も定めていますが、現在該当するのは、坑内作業だけですので、一般にはあまり関係ないかもしれないですね。


具体的な定年退職の日付については、就業規則に定めることになりますが
満60歳の誕生日
60歳に到達した月の末日
60歳の誕生日以後の年度末
等、色々な決め方があります。


「60歳に達した日をもって退職とする」
という規定を見かけることもあるのですが、この表現は個人的にはあまりお勧めしません。


「○歳に達した日」というのは、年齢に関する法律の定めにより
「○歳の誕生日の前日」のことを指します。

でも、それって一般的な言葉でしょうか。


ある会社では、法律に詳しい人が担当だった時には60歳の誕生日の前日を退職日とし、別の人が担当だった時には、60歳の誕生日を退職日としていたことがありました。
同じ会社なのに、運用がバラバラ・・・

「60歳に達した日」なんて書かれてたら、やっぱり普通は60歳の誕生日だと思うような気がします。
ここは、就業規則の表現を「60歳の誕生日」とか「60歳の誕生日の前日」等
一般的な言葉に変えておいた方がいいのではないでしょうか。

最近は就業規則変更の相談を受けていて、この表現を見かけるたびに「変えませんか?」と提案してしまいます。
いや、別に間違ってる表現じゃないんですけどね。



さて、定年退職により雇用保険の資格喪失手続をする場合や、
60歳以上で雇用保険の失業給付を受けようとする場合には、注意点があります。



1.雇用保険資格喪失の手続

会社が雇用保険の資格喪失手続きをするとき、
離職票を発行するのであれば、賃金台帳や出勤簿の他、離職理由を証明する書類を求められます。

離職理由を証明する書類というのは、自己都合退職であれば退職届のコピー、契約期間満了であれば雇用契約書のコピー等ですね。


定年退職の場合は、通常、就業規則のコピー(定年退職について記載された頁)等を添付します。


ところが、少し前に東京の渋谷職安に行ったところ、取り扱いが変わっていました。(H23.10)


①「定年の定めの廃止」「定年の引き上げ」「希望者全員の継続雇用制度の導入」
②継続雇用制度の対象となる高年齢者の基準について、労使協定の締結

この①②のいずれも実施していない場合には、被保険者本人の継続雇用の希望の有無に関わらず、資格喪失時の離職理由は「事業主都合」と判断するというものです。


この場合の添付書類は
就業規則、労使協定、適用事業所台帳。

本人が継続雇用を希望していない場合だったら、ただの定年退職でもよさそうなものですが。


この後、同じ都内の新宿職安と池袋職安で定年退職の手続をしたところ
添付書類は就業規則のみで労使協定は不要。離職理由はただの定年退職(喪失原因「2」)で処理されたので、職安により取り扱いは異なるようです。

ただ、すべての職安に浸透していないだけかなと言う気もしますが。


手続をする際には、事前に管轄の職安に確認した方がいいかもしれません。

しかし、職安によって喪失原因の判断が変わるというのもいかがなものか・・・。


2.老齢年金と失業給付の関係

会社を定年退職し、一定の要件を満たすと、雇用保険の失業給付が受けられますが、同時に公的年金(特別支給の老齢厚生年金等)の受給資格がある場合が多いかと思います。


この場合、失業給付と老齢年金は同時に受け取れるでしょうか?


残念ながら、これは両方同時に受給することはできません

ハローワークで求職の申し込みをすると、失業給付が受けられる期間は老齢年金が支給停止されることになります。


雇用保険の失業給付の方が一般的には金額が高くなるケースが多いかと思いますが、念のため、ハローワークに行く前に試算したほうがいいかもしれないですね。


3.雇用保険の受給期間延長制度

通常、失業給付は離職日の翌日から1年間が受給期間です。
1年間まるまる受給できるという意味ではありません。
もらえる日数は「給付日数」
受給期間と言うのは、期限です。
失業給付は、「基本手当日額」×「給付日数」がもらえます。


定年で退職した人で、就職困難者でなければ、20年以上勤務した場合だと150日分もらえます。

ところが、この「受給期間」という期限があるために、定年退職後、すぐ職安に行かずにのんびりしていて、150日分もらい終える前に離職から1年たってしまうと、そこで打ち切りになってしまいます。


何十年も働き続けて定年を迎えたら、すぐに次の就職活動をしないで、ちょっとのんびりしようかなという気にもなりますよね。

そこで、「60歳以上の定年に達して離職した方」「60歳以上の定年後の継続雇用制度を利用して同じ会社にそのまま勤務し、高年齢者雇用安定法に定められた年齢以上でその制度の終了により離職した方」が、再就職をすぐに希望しない場合には、受給期間を最長1年延長することができます。


これは定年退職者本人が行う手続きで、離職日の翌日から2か月以内にハローワークに離職票と受給期間延長申請書を提出する必要があります。


定年退職は、長く会社に貢献してきた方の退職ということでもありますから
本人に不利益なことがないように、会社の手続担当者としてはフォローしていきたいものですね。
定年サラリーマン 

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さきほど、顧問先の給与計算担当者の方から
「厚生年金保険料が不思議なことになってます!」
という電話がかかってきました。


不思議なこと???



さて、今日は10月16日です。
給与支給日が25日の会社の給与計算担当者の方は、ちょうど今頃、入力作業の時期ではないでしょうか。


10月支給の給与は
法律通りに運用している会社では、9月分の社会保険料が控除されます。


9月分の社会保険料といえば
厚生年金の保険料率が改定される月であり
7月に届出をした算定基礎届(定時決定)により決定された標準報酬月額が適用される月でもあります。

ちなみに、H24.9以降の厚生年金の保険料率が反映された保険料額表はこちら
全国健康保険協会HP


冒頭の電話の話に戻します。


役員の方の分だけ厚生年金保険料が高いんです!
本来の保険料の倍くらいになっちゃってます!
役員の人だけ保険料率が違うってことはありますか?」

はてな

役員だけ、料率が違うなんてことはないし。
・・・もしかして、給与が高い人だけという意味???


「お使いの給与ソフトは、社会保険の等級を変更するときに
健康保険と厚生年金の等級か標準報酬を
それぞれ入力するようになっていますか?」


「そうです。それぞれ標準報酬を入力します」


「健康保険の標準報酬が650千円以上の方なのに
健康保険も厚生年金も同じ標準報酬を入力しているってことはないですか?」


「同じのを入れてます。・・・あ!」


例えば、健康保険の標準報酬月額が1210千円の人の場合
給与ソフトの被保険者の標準報酬を入力する欄には
健康保険1210千円 厚生年金620千円 と入力します。


なぜなら、下記の表の通り
健康保険は1等級(58千円)から47等級(1210千円)まであるのに対し
厚生年金は1等級(98千円)から30等級(620千円)までしかないからです。

下限


上限

給与計算ソフトが
入力された標準報酬に保険料率を掛けて保険料を算出する場合
健康保険1210千円 厚生年金620千円 と入力すれば
厚生年金保険の保険料は

620千円×料率(83.83/1000)=51,975円
となりますが

間違って、健康保険と同じ1210千円を入力してしまうと

1210千円×料率(83.83/1000)=101,434円
と、確かに倍くらいになってしまいます。

給与計算担当の方が、
「この保険料はなんかヘン!」
とすぐ気付いたから良かったんですが
そうじゃなかったら、やたら高い保険料を控除してしまうところでした。

健康保険組合から届いた通知書を見ながら
何人も健康保険と厚生年金の標準報酬が同じ人のを入力し続けていたら
650千円以上の人も、そのまま同様に入力してしまう、
なんてことも、確かにあり得ます。

そもそも、私が送った算定結果の保険料のお知らせの内容が
標準報酬は健康保険分しか記載してなくて、
よく考えてみれば、慣れてない人にはわかりにくいんですよね・・・

厚生年金保険で1210千円なんて標準報酬月額は存在しないので
間違って入力しても、給与ソフトが620千円に読み替えてくれるといいんですが
なかなか万能のソフトってのが、ないんですよ、これが。

ちなみに私が使っている給与ソフトは
標準報酬月額表を開いて、該当する標準報酬の行をクリックすると
自動的に入力される仕組みなので、同様のミスは発生しません。
でも、他の場面ではいまいちなところもあったりして
どのソフトも一長一短ありますね。


結局、ソフト頼みにはできず
操作する人間が業務を理解していなきゃ、ということなんでしょう。


私も、社会保険の業務に慣れていると
健康保険と厚生年金の等級が違うというのが当たり前という認識になってしまい
新しい標準報酬月額と保険料のお知らせの仕方が雑だったかも、とちょっと反省。
お知らせのフォーマットの見直しをしようと思っているところです。

 



 

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あずき小


今日は三連休の最後の日ですね。

私はやんちゃな猫と暮らしているので、持ってる服が猫の爪で全部無残な状態になり、昨日は、秋物を買うべく、埼玉の越谷レイクタウンというショッピングモールに行ってきました。
でも、あまりの広さと人混みに疲れ果ててしまい、
何も買えないまま帰宅。
仕事してる方が疲れないかも・・・


さて、また、年齢ごとに注意すること。
今回は60歳です。

従業員やその家族が60歳になったとき、
会社として、やらなきゃならないことって何があるでしょう。

60歳って、やらなきゃならないことが多いんですよね。
手続の種類もですが、その中身も結構ややこしいかもしれません。
雇用保険もあれば、厚生年金もあり、雇用契約の問題もあり
しかもそれらが相互に関わってきます。

一度に全部書くにはボリュームがありすぎるので、
ここでは一通り、簡単に触れるだけにして
詳細については、また後日、個別に書いていくことにします。



【定年】


高年齢者雇用安定法の規定により、定年は60歳未満にすることはできません。
そのため、多くの会社が定年を60歳にしています。

定年を60歳としている会社では、退職関係の手続が発生します。

【継続雇用義務】

法改正がらみで先日も触れましたが
60歳定年退職の会社でも、全員がそのまま会社を辞めるとは限りません。
 
高年齢者雇用安定法の規定により
従業員が希望する場合には、65歳まで雇用を継続する義務があります。

会社の手続としては、事前に、定年を迎える従業員に
定年後の労働条件等を説明し、本人の希望を聴いて、雇用契約を締結する
といったことが発生します。


【雇用保険の60歳賃金登録と高年齢雇用継続給付】

雇用保険の給付に「高年齢雇用継続給付」というものがあります。
これは、60歳以降、60歳到達時よりも給与が一定割合以上下がったときに
その差額の一部を補填してくれるものです。

60歳以降そのまま同じ会社に継続雇用される場合も
定年退職後、失業給付を受け取らないか、一定額以上残して再就職した場合も対象になります。

このため、60歳の時点では退職するしないにかかわらず
ハローワークで賃金額を登録し、
60歳の従業員には、「六十歳到達時賃金証明書」を渡します。

【老齢年金の受給】

会社ではなく本人が行う手続きですが
60歳になると、厚生年金保険の老齢年金の請求をします。

会社としては、その相談にのったり、必要な書類の準備を手伝ったり
ということがあるかもしれません。

なお、段階的に受給開始年齢は引き上げられます。(開始年齢が遅くなります)

男性では昭和28年4月1日、女性では昭和33年4月1日に生まれた人は
老齢厚生年金の報酬比例部分を60歳から受け取ることができますが

男性で昭和28年4月2日~昭和30年4月1日生まれ、
女性で昭和33年4月2日~昭和35年4月1日生まれの人は
61歳が受給開始年齢になります。
  
【60歳以降の給与額】

定年後再雇用する場合、給与額をどう決めるかという問題があります。
定年後は業務の内容や労働日数、労働時間が定年前とは変わることが多く
また、給与・賞与の額と在職老齢年金の額、雇用保険の高年齢雇用継続給付の額は関連するため、それらを考慮しながら決めることになります。

まず、老齢年金との関係では、厚生年金の被保険者であれば
給与・賞与の額に応じて年金の額が減らされます。

雇用保険の給付との関係では、
60歳前の給与額と60歳以降の給与額の差によって
雇用保険の給付額が決まります。

雇用保険の給付と在職老齢年金との関係では、
雇用保険の給付額に応じて、年金額の一部が減らされます。

60歳以降になると、このような仕組みがあるため、
給与の額が多いからといって、
年金や給付も含めた本人の手取額が多くなるとは限りません。

そこで最適な給与額をどう設定するか、考えていくことになります。

【社会保険の同日得喪】

「同日得喪」というのは
健康保険・厚生年金保険の資格喪失日と資格取得日が同じ日になるように、資格取得と資格喪失を同時に行う手続きのことです。

60歳以降になると給与額が減るケースが多いと思います。

しかし、社会保険の標準報酬月額は通常はすぐには変わりません。
給与が減ったとき、標準報酬月額は月額変更届(随時改定)
によって変更されるのですが、これだと給与の変動があった月から3ヶ月間の報酬平均によって4か月目から変更となるため、給与が下がっても、しばらくは定年前の給与によって決定された高い保険料を払わなければならないということになります。

これを緩和するため、例外的にいったん資格喪失して、同じ日に資格取得する手続きが認められています。そうすれば、再雇用された月の翌月の給与からは、保険料を安くすることが可能です。


【国民年金第3号被保険者の資格喪失】

以前、
「年齢ごとに注意すること【20歳】国民年金第3号被保険者」
で、
厚生年金保険の被保険者に扶養されている配偶者が20歳になったときの
国民年金第3号被保険者の手続きについて書きました。

国民年金第3号被保険者は、20歳から60歳までですので
第3号被保険者が60歳になったら、第3号被保険者の資格を喪失します。

なお、会社や本人が行う手続きはありません。
自動的に資格喪失します。


 

60歳の手続きや雇用契約って、かなり難しい内容だと思うんですが
該当年齢の方がいる場合は、どんな会社でも
「いや、ウチの会社じゃそういうの、よくわかんないから」
って訳にはいかないですよね。

次回以降、個別にもう少し詳しく説明していきます。

  
 60歳 
  

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最近、ちょっと「へーっ」と思ったことがあったので、ご紹介します。

突然ですが、これを読んでいる女性の皆様、ストッキングは愛用されていますか?

ちょっと前まで生足やレギンス等が流行っていたのが
最近はまた、ストッキングが復活してきたなんて話を聞きました。

私はといえば、若くもなければ、人様にお見せできるような足でもなく
仕事柄、スーツ着用の機会も多いため、ストッキングはずっと愛用しています。

そのなかでも、ATSUGIのものは透明度の高いものもあって、このところのお気に入りなんですが、先日、買い置きしていたストッキングを取り出したところ、中の紙に気になる文字が。

「デスクトップ」

私、二度見しました。

「デスクトップ? なんでストッキングの紙にデスクトップという文字が?」

中の紙=「中台紙」っていうらしいですが
そこに「デスクトップ整理術」が印刷されていたんです。

あとで調べたところ
アツギ株式会社さんのCSR(企業の社会的責任)活動のひとつとして、ストッキングの中台紙を使って、女性に役立つ情報を発信しているんだそうです。
今は、ワークライフバランスについての情報発信中だとか。

CSR活動にも、色々なものがあるんですね。

さて、気になったその中身なんですが
要は、デスクトップのアイコンを右に寄せちゃいましょう、というもの。

こんな感じ。 ↓


Windowsの場合、アイコンはデスクトップの左側に配置されていきます。

デスクトップのアイコンが常にきれいに整理されている人なら問題ないのでしょうが
私なんかは、ついつい、ごちゃっとしてしまうんです。
すると、普段から置いておきたいアイコンと、作業のために一時的に置きたいアイコンの区別がつきづらい状態になってしまって、どうもすっきりしない。

普段から置いておきたいアイコンを、だーっと右側に移動させると、
(全部選択してドラッグ)
左側のスペースが空いて、新しくダウンロードしたものとか、仮に置いておきたいものが左側に並ぶので、一目瞭然。

こんな感じ。 ↓

 


アイコンが動かない場合は
デスクトップ上で右クリックして、「アイコンの整列」の「アイコンの自動整列」のチェックを外すといいそうです。

これだけなんですが
私の場合は、かなり仕事がやりやすくなりました。
作業時間短縮というほどではないものの、作業してて気持ちいいです。

電子申請やクラウドの利用で、デスクトップにファイルを一時的に置いて作業することが増えてきて、今まではデスクトップに仮置き用のフォルダを作ったりしていたんですが、それだと微妙に手間がかかるんですよね。

こんなにシンプルなことなのに
デスクトップのアイコンは左にあるもんだと勝手に思い込んでいて
不便なことにすら気づいてませんでした。

PC作業の豆知識みたいなものって、
「こんなことをやりたい!」
というのがある場合は、検索すると、解決策って見つかるものですが
具体的に
「こんなことができたらいいな」
と思いつきもしないことって、非効率なまま続けていたりするんですよね。

アツギ株式会社さん、ありがとう!
これらの中台紙に書かれた情報は、HPで公開されています。
リンクフリーらしいので、ご紹介。

アツギ株式会社
http://www.atsugi.co.jp/
右下 「CSRの取り組み」 というところをクリックすると、この内容が読めます。

 
 


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最近は法改正が多かったので
しばらく書いていなかった「年齢ごとに注意すること」
久しぶりに再開します。
 
社会保険関連で、40歳といえば
人事総務の仕事をしていない方でもピンとくるんじゃないでしょうか。
 
そうです。
介護保険料が引かれるようになる年齢です。
 
介護保険の被保険者は40歳以上上限なし。
 
第1号被保険者 65歳以上
第2号被保険者 40歳以上65歳未満

となっています。
 
このうち、第2号被保険者は健康保険等の公的医療制度の保険料と一緒に徴収・納付します。
 
従業員が40歳になり、介護保険の第2号被保険者になっても、特に届出は必要ありません。
ただ、給与計算の際、介護保険料の徴収を開始しなければならないので、要注意です。
 
ところで、40歳になるのはいつでしょう。
日常生活では、40歳の誕生日ですよね。
でも、法律の世界では、「年齢計算に関する法律」というものがありまして
それによれば、誕生日の前日の満了をもって年齢が増えるんだそうです。
 
つまり、社会保険等でいう「何歳に達する日」というのは
その年齢の誕生日の前のことを指します。
 
40歳になるのは、40歳の誕生日の前日ということですね。
 
私も、40歳になったとき、誕生日の前日だというのに
「ああ、40歳に達してしまった」
と、なんだか1日損した気分になったものです。
 
ほんとは、誕生日の前日の満了(つまり24時)に1歳増えるんだから、誕生日の前日の朝の時点では、法律上もまだ39歳のはず。
でも、社会保険等の考え方だと時間を基準にしていないので
誕生日の前日に年齢到達なんですよね。
 
納得できない気もしますが、ここで主張してもしょうがないので実務の話を。

給与計算では、いつの給与から介護保険料を引くのか
 
たとえば、9月19日が誕生日の被保険者。
 
40歳に到達するのは、誕生日の前日の9月18日。
毎月の社会保険料は、法律では、翌月控除することになっているので
9月分の保険料を控除するのは、10月(10月1日~31日)に支給日のある給与。
したがって、介護保険料は10月に支払われる給与から控除開始となります。
 
なお、給与の締めがいつかということは、この場合関係がありません。
 
「うちの会社って、当月払いなんだけどどうするの?」なんて質問をいただくこともありますが
勤怠の締めと社会保険料の月とは関係ありません。
支給日だけが関係します。
 
先程の9月19日が誕生日の人だと
介護保険料の控除を開始する給与支給日は
15日締当月25日払の会社は 10月25日
末日締翌月15日払の会社は 10月15日
末日締当月25日払の会社は 10月25日
となります。
 
40歳の誕生日が9月1日の人だと、40歳到達日は前日の8月31日。8月が40歳到達日が含まれる月なので、8月分から介護保険料対象。翌月の9月に支給日のある給与から控除を開始します。
 
給与は原則翌月控除ですが、賞与は当月控除なので、うっかり引き損ねることがないよう注意してください。
 
9月1日生まれだと給与は9月支給の給与から控除開始、賞与は8月中に支給日のあるものから控除開始となります。

ではここで応用問題です。

月末締・当月25日払(残業代や不就業控除だけ翌月精算)の会社で、9月1日が40歳の誕生日の人が、8月15日に支給される賞与をもらってから8月末で退職する (9月1日が資格喪失日) という場合の保険料はどうなるでしょうか。

 


【答】
7月25日の給与  6月分の保険料(介護保険料なし)
8月15日の賞与  賞与にかかる保険料(介護保険料あり)
8月25日の給与  7月分の保険料(介護保険料なし)+8月分の保険料(介護保険料あり)
となります。
 
このケースでは、勤怠が当月締の会社は要注意ですね。
残業代がたくさんあって、9月25日の給与が社会保険料を控除できるくらいあればいいんですが、そうじゃないと回収が難しくなります。

給与ソフトによっては、生年月日を入力しておけば、大丈夫ってところもあるかもしれないですね。 でも、細かいところまで対応してくれるソフトは少ないので、やはり人が注意しておかないと「うわっ、失敗しちゃった」ってことにもなりかねません。
 
健保組合加入の会社だと、一部、給与ソフトの自動判定では対応しきれないものもあります。
 
通常、被保険者が40歳未満または65歳以上で、その被扶養者が40歳以上65歳未満の場合には、介護保険料は徴収されません。
被扶養者でも40歳以上65歳未満の人は「介護保険の第2号被保険者」なのですが、その保険料は、制度全体でまかなわれています。
そのため、介護保険第2号被保険者を扶養する健康保険の被保険者の保険料が多くとられることはありません。
その社員も被扶養者も介護保険料徴収年齢であれば、介護保険料は一人分とられますし
介護保険料徴収年齢の被扶養者がいても、本人が対象年齢外であれば、介護保険料はとられません
 
しかし、これには例外があります。
 
健康保険組合の場合、
40歳以上65歳未満の被扶養者(介護保険第2号被保険者)を扶養する
40歳未満又は65歳未満の健康保険被保険者から介護保険料を徴収することもできます。
この被保険者のことを「特定被保険者」といいます。
 
「特定被保険者」は、40歳以上65歳未満の他の被保険者同様に、介護保険料を納付します。
事業主負担も同様です。
 
このような制度の健康保険組合に加入している会社では
被保険者の年齢だけでなく、被扶養者の年齢にも注意しておく必要があります。
 
「特定被保険者」の制度があるのは、一部の健康保険組合です。
会社が加入している健康保険組合がどうなのか、把握していない総務担当の方も多いので
不安な場合は、健保組合のHPか電話等で確認してみることをお勧めします。


 
  
 
 
  
  
なお、40歳以上の人は全員介護保険料を徴収されるかというと
これも例外があります。
 
介護保険の適用除外
・海外居住者
・適用除外施設の入所者
・短期滞在の外国人(在留資格1年未満)
 
海外勤務等、これらに該当する場合は、「介護保険適用除外該当届」を
年金事務所か健康保険組合に提出する必要があります。
これもなんだか届出を忘れそうですね。
最近、健康保険組合編入の業務が続いています。

「加入要件の項目を半分以上満たせないから、編入は無理だろうなあ」
と半分あきらめていた健康保険組合。
具体的に相談してみたら、案外緩やかに対応してくれて
加入ができそうなところが3社。

会社設立時に
「健康保険組合に加入したいんだけど」
と相談されたものの、人数や健康保険の加入年数の要件を満たせなかった会社。
ところが、ここ数ヶ月で一気に人数が増えて、今月でほぼ要件クリア。
今、相談中の1社。

普段の仕事では、クライアント企業に対して
あれしちゃいけません、これしちゃいけません、あれしなくちゃいけません
というようなことばっかり言っているので
たまに、社会保険料がわりとどーんと下げられるこんな話が提案できると、こちらとしても、ちょっと嬉しいのです。

社会保険料削減って、やり方は色々あるものの、やっぱり細かくてややこしい。

でも、健康保険組合に編入すると保険料率そのものが下がるので、シンプルにお得です。
しかも、健保組合にもよりますが、傷病手当金や高額療養費等に上乗せしてくれる独自給付があるところが多く、その上、健康診断や人間ドックの費用は補助まで。
最近ではメンタルヘルス対策で、無料でカウンセリングが受けられるところも増えています。

デメリットは、正直、手続きが面倒なところでしょうか。
扶養の要件に独自ルールがあったり、添付書類が多かったり、電子申請みたいな手続きもほとんどのところが対応していないので時間がかかったり。
社会保険労務士の立場としては、業務量が増えるのは若干痛いかも。

とは言え、やっぱり総合的に見ると、メリットの方が圧倒的に大きい。
だからこそ、健保組合の存在意義があるんでしょうね。

先日お会いした健保組合の担当の方は、
「最大のデメリットは、一部の会社しか加入できないことだってよく言われますよ」
と仰ってました。

確かにそうかも。

民間の会社が加入する健康保険は、全国健康保険協会(けんぽ協会)か健康保険組合。
(一部例外的に国民健康保険組合というものもありますが、国保の一種なので、ここでは省略します。)

全国健康保険協会は、会社が存在していて給料が払われていれば、すべての会社が加入できます。

健康保険組合は、
一企業やグループ企業単位で組織する「単一健保」と
同業種の企業等が集まって組織する「総合健保」
という2つに分かれます。

「単一健保」の方は、そのグループ企業であれば比較的簡単に加入できます。
イメージとしては、大企業とその子会社、関連会社等。

「総合健保」の方は、自社の業種・地域で加入している健康保険がなければ、そもそも加入はできません。
また、業種・地域で該当する健保組合があっても、一定の加入要件を満たさなければ入れてくれません。

要件は、健保組合ごとに異なりますが、一般的には
・業種・地域が該当している
・健康保険に加入する人の給与・賞与が高い 
・平均年齢が若い 
・被扶養者が少ない
・被保険者の人数が多い
・一定年数以上、健康保険に加入している
・税金や社会保険料の滞納がない
・会社の業績がいい
等があります。

今、協会管掌に加入しているのであれば、該当するものがないか探してみるといいかもしれません。

ただ、
「世の中って不公平だなあ」
とも思えてきます。

日本は「国民皆保険」ということになっていて
赤ちゃんからお年寄りまで、原則は全員がなんらかの公的な医療保険制度に加入することになっています。

でもその中身はというと、随分と差があります。

大企業やその子会社、中小企業でも平均より高い給与が払える会社は健康保険組合に加入できる。
結果、高い給与をもらっている人たちは、安い保険料で、充実した給付やサービスが受けられる。

健康保険組合に加入できない会社の人たちは、高い保険料を払わなきゃいけない。

市町村の国保に至っては、保険料はめちゃくちゃ高い上、被扶養者の制度もなければ、一般的には傷病手当金も出産手当金もない。

うーん。なんか不公平。
社会保険に比べれば、税金なんてずっと公平かも。

もちろん、個人的にはこれからも積極的に組合編入を進めていきます。
編入審査に通ればやっぱり嬉しい。
やったあ♪ と思います。
でも、ちょっと、「なんだかなあ」という気持ちもなくもないのです。



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