さっき、PCで「社労士」と入力しようとしたら、「u」に触れてしまったようで
「者老衰」と変換されてしまいました。
なんだか一気に老い衰えた気が・・・
今日のテーマの60歳の定年退職。
子どもの頃はお年寄りというイメージでしたが、
最近の60歳って老い衰えるどころか、若いですよね。
芸能人で言えば
三浦友和
坂本龍一
水谷豊
中島みゆき
夏木マリ
もたいまさこ
とても、引退する年齢には思えません。
(実は今、先週発売された中島みゆきのCDを聴きながら書いてます。
うーん。還暦とは思えない力強さ)
でも、サラリーマンだとしたら、定年の年齢なんですね。
法改正により65歳までの雇用が義務付けられましたが
それでも定年自体は60歳として、嘱託等で65歳まで再雇用
という企業がまだ大半のようです。
定年制を定めている会社が92.9%
うち、60歳としている会社は82.2%
厚生労働省
平成23年就労条件総合調査結果の概況
定年は60歳とは限りませんが
60歳未満の年齢にすることは、原則、認められていません。
これは高年齢者等雇用安定法の第8条で
「事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。」
としているからです。
8条には、
「ただし、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者については、この限りでない」
として、その例外も定めていますが、現在該当するのは、坑内作業だけですので、一般にはあまり関係ないかもしれないですね。
具体的な定年退職の日付については、就業規則に定めることになりますが
満60歳の誕生日
60歳に到達した月の末日
60歳の誕生日以後の年度末
等、色々な決め方があります。
「60歳に達した日をもって退職とする」
という規定を見かけることもあるのですが、この表現は個人的にはあまりお勧めしません。
「○歳に達した日」というのは、年齢に関する法律の定めにより
「○歳の誕生日の前日」のことを指します。
でも、それって一般的な言葉でしょうか。
ある会社では、法律に詳しい人が担当だった時には60歳の誕生日の前日を退職日とし、別の人が担当だった時には、60歳の誕生日を退職日としていたことがありました。
同じ会社なのに、運用がバラバラ・・・
「60歳に達した日」なんて書かれてたら、やっぱり普通は60歳の誕生日だと思うような気がします。
ここは、就業規則の表現を「60歳の誕生日」とか「60歳の誕生日の前日」等
一般的な言葉に変えておいた方がいいのではないでしょうか。
最近は就業規則変更の相談を受けていて、この表現を見かけるたびに「変えませんか?」と提案してしまいます。
いや、別に間違ってる表現じゃないんですけどね。
さて、定年退職により雇用保険の資格喪失手続をする場合や、
60歳以上で雇用保険の失業給付を受けようとする場合には、注意点があります。
1.雇用保険資格喪失の手続
会社が雇用保険の資格喪失手続きをするとき、
離職票を発行するのであれば、賃金台帳や出勤簿の他、離職理由を証明する書類を求められます。
離職理由を証明する書類というのは、自己都合退職であれば退職届のコピー、契約期間満了であれば雇用契約書のコピー等ですね。
定年退職の場合は、通常、就業規則のコピー(定年退職について記載された頁)等を添付します。
ところが、少し前に東京の渋谷職安に行ったところ、取り扱いが変わっていました。(H23.10)
①「定年の定めの廃止」「定年の引き上げ」「希望者全員の継続雇用制度の導入」
②継続雇用制度の対象となる高年齢者の基準について、労使協定の締結
この①②のいずれも実施していない場合には、被保険者本人の継続雇用の希望の有無に関わらず、資格喪失時の離職理由は「事業主都合」と判断するというものです。
この場合の添付書類は
就業規則、労使協定、適用事業所台帳。
本人が継続雇用を希望していない場合だったら、ただの定年退職でもよさそうなものですが。
この後、同じ都内の新宿職安と池袋職安で定年退職の手続をしたところ
添付書類は就業規則のみで労使協定は不要。離職理由はただの定年退職(喪失原因「2」)で処理されたので、職安により取り扱いは異なるようです。
ただ、すべての職安に浸透していないだけかなと言う気もしますが。
手続をする際には、事前に管轄の職安に確認した方がいいかもしれません。
しかし、職安によって喪失原因の判断が変わるというのもいかがなものか・・・。
2.老齢年金と失業給付の関係
会社を定年退職し、一定の要件を満たすと、雇用保険の失業給付が受けられますが、同時に公的年金(特別支給の老齢厚生年金等)の受給資格がある場合が多いかと思います。
この場合、失業給付と老齢年金は同時に受け取れるでしょうか?
残念ながら、これは両方同時に受給することはできません。
ハローワークで求職の申し込みをすると、失業給付が受けられる期間は老齢年金が支給停止されることになります。
雇用保険の失業給付の方が一般的には金額が高くなるケースが多いかと思いますが、念のため、ハローワークに行く前に試算したほうがいいかもしれないですね。
3.雇用保険の受給期間延長制度
通常、失業給付は離職日の翌日から1年間が受給期間です。
1年間まるまる受給できるという意味ではありません。
もらえる日数は「給付日数」
受給期間と言うのは、期限です。
失業給付は、「基本手当日額」×「給付日数」がもらえます。
定年で退職した人で、就職困難者でなければ、20年以上勤務した場合だと150日分もらえます。
ところが、この「受給期間」という期限があるために、定年退職後、すぐ職安に行かずにのんびりしていて、150日分もらい終える前に離職から1年たってしまうと、そこで打ち切りになってしまいます。
何十年も働き続けて定年を迎えたら、すぐに次の就職活動をしないで、ちょっとのんびりしようかなという気にもなりますよね。
そこで、「60歳以上の定年に達して離職した方」「60歳以上の定年後の継続雇用制度を利用して同じ会社にそのまま勤務し、高年齢者雇用安定法に定められた年齢以上でその制度の終了により離職した方」が、再就職をすぐに希望しない場合には、受給期間を最長1年延長することができます。
これは定年退職者本人が行う手続きで、離職日の翌日から2か月以内にハローワークに離職票と受給期間延長申請書を提出する必要があります。
定年退職は、長く会社に貢献してきた方の退職ということでもありますから
本人に不利益なことがないように、会社の手続担当者としてはフォローしていきたいものですね。
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