年齢ごとに注意すること 【60歳】 一覧 | 他人の振り見て我が振り直せ!失敗を成功に変える総務・労務マニュアル

他人の振り見て我が振り直せ!失敗を成功に変える総務・労務マニュアル

社会保険の手続きや労務管理のポイントを解説。社会保険労務士10年の失敗経験も公開。中小企業で人事・総務を担当しているけど、ちょっと自信のない方、応援します!

あずき小


今日は三連休の最後の日ですね。

私はやんちゃな猫と暮らしているので、持ってる服が猫の爪で全部無残な状態になり、昨日は、秋物を買うべく、埼玉の越谷レイクタウンというショッピングモールに行ってきました。
でも、あまりの広さと人混みに疲れ果ててしまい、
何も買えないまま帰宅。
仕事してる方が疲れないかも・・・


さて、また、年齢ごとに注意すること。
今回は60歳です。

従業員やその家族が60歳になったとき、
会社として、やらなきゃならないことって何があるでしょう。

60歳って、やらなきゃならないことが多いんですよね。
手続の種類もですが、その中身も結構ややこしいかもしれません。
雇用保険もあれば、厚生年金もあり、雇用契約の問題もあり
しかもそれらが相互に関わってきます。

一度に全部書くにはボリュームがありすぎるので、
ここでは一通り、簡単に触れるだけにして
詳細については、また後日、個別に書いていくことにします。



【定年】


高年齢者雇用安定法の規定により、定年は60歳未満にすることはできません。
そのため、多くの会社が定年を60歳にしています。

定年を60歳としている会社では、退職関係の手続が発生します。

【継続雇用義務】

法改正がらみで先日も触れましたが
60歳定年退職の会社でも、全員がそのまま会社を辞めるとは限りません。
 
高年齢者雇用安定法の規定により
従業員が希望する場合には、65歳まで雇用を継続する義務があります。

会社の手続としては、事前に、定年を迎える従業員に
定年後の労働条件等を説明し、本人の希望を聴いて、雇用契約を締結する
といったことが発生します。


【雇用保険の60歳賃金登録と高年齢雇用継続給付】

雇用保険の給付に「高年齢雇用継続給付」というものがあります。
これは、60歳以降、60歳到達時よりも給与が一定割合以上下がったときに
その差額の一部を補填してくれるものです。

60歳以降そのまま同じ会社に継続雇用される場合も
定年退職後、失業給付を受け取らないか、一定額以上残して再就職した場合も対象になります。

このため、60歳の時点では退職するしないにかかわらず
ハローワークで賃金額を登録し、
60歳の従業員には、「六十歳到達時賃金証明書」を渡します。

【老齢年金の受給】

会社ではなく本人が行う手続きですが
60歳になると、厚生年金保険の老齢年金の請求をします。

会社としては、その相談にのったり、必要な書類の準備を手伝ったり
ということがあるかもしれません。

なお、段階的に受給開始年齢は引き上げられます。(開始年齢が遅くなります)

男性では昭和28年4月1日、女性では昭和33年4月1日に生まれた人は
老齢厚生年金の報酬比例部分を60歳から受け取ることができますが

男性で昭和28年4月2日~昭和30年4月1日生まれ、
女性で昭和33年4月2日~昭和35年4月1日生まれの人は
61歳が受給開始年齢になります。
  
【60歳以降の給与額】

定年後再雇用する場合、給与額をどう決めるかという問題があります。
定年後は業務の内容や労働日数、労働時間が定年前とは変わることが多く
また、給与・賞与の額と在職老齢年金の額、雇用保険の高年齢雇用継続給付の額は関連するため、それらを考慮しながら決めることになります。

まず、老齢年金との関係では、厚生年金の被保険者であれば
給与・賞与の額に応じて年金の額が減らされます。

雇用保険の給付との関係では、
60歳前の給与額と60歳以降の給与額の差によって
雇用保険の給付額が決まります。

雇用保険の給付と在職老齢年金との関係では、
雇用保険の給付額に応じて、年金額の一部が減らされます。

60歳以降になると、このような仕組みがあるため、
給与の額が多いからといって、
年金や給付も含めた本人の手取額が多くなるとは限りません。

そこで最適な給与額をどう設定するか、考えていくことになります。

【社会保険の同日得喪】

「同日得喪」というのは
健康保険・厚生年金保険の資格喪失日と資格取得日が同じ日になるように、資格取得と資格喪失を同時に行う手続きのことです。

60歳以降になると給与額が減るケースが多いと思います。

しかし、社会保険の標準報酬月額は通常はすぐには変わりません。
給与が減ったとき、標準報酬月額は月額変更届(随時改定)
によって変更されるのですが、これだと給与の変動があった月から3ヶ月間の報酬平均によって4か月目から変更となるため、給与が下がっても、しばらくは定年前の給与によって決定された高い保険料を払わなければならないということになります。

これを緩和するため、例外的にいったん資格喪失して、同じ日に資格取得する手続きが認められています。そうすれば、再雇用された月の翌月の給与からは、保険料を安くすることが可能です。


【国民年金第3号被保険者の資格喪失】

以前、
「年齢ごとに注意すること【20歳】国民年金第3号被保険者」
で、
厚生年金保険の被保険者に扶養されている配偶者が20歳になったときの
国民年金第3号被保険者の手続きについて書きました。

国民年金第3号被保険者は、20歳から60歳までですので
第3号被保険者が60歳になったら、第3号被保険者の資格を喪失します。

なお、会社や本人が行う手続きはありません。
自動的に資格喪失します。


 

60歳の手続きや雇用契約って、かなり難しい内容だと思うんですが
該当年齢の方がいる場合は、どんな会社でも
「いや、ウチの会社じゃそういうの、よくわかんないから」
って訳にはいかないですよね。

次回以降、個別にもう少し詳しく説明していきます。

  
 60歳 
  

にほんブログ村