年齢ごとに注意すること 【40歳】 介護保険料 | 他人の振り見て我が振り直せ!失敗を成功に変える総務・労務マニュアル

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最近は法改正が多かったので
しばらく書いていなかった「年齢ごとに注意すること」
久しぶりに再開します。
 
社会保険関連で、40歳といえば
人事総務の仕事をしていない方でもピンとくるんじゃないでしょうか。
 
そうです。
介護保険料が引かれるようになる年齢です。
 
介護保険の被保険者は40歳以上上限なし。
 
第1号被保険者 65歳以上
第2号被保険者 40歳以上65歳未満

となっています。
 
このうち、第2号被保険者は健康保険等の公的医療制度の保険料と一緒に徴収・納付します。
 
従業員が40歳になり、介護保険の第2号被保険者になっても、特に届出は必要ありません。
ただ、給与計算の際、介護保険料の徴収を開始しなければならないので、要注意です。
 
ところで、40歳になるのはいつでしょう。
日常生活では、40歳の誕生日ですよね。
でも、法律の世界では、「年齢計算に関する法律」というものがありまして
それによれば、誕生日の前日の満了をもって年齢が増えるんだそうです。
 
つまり、社会保険等でいう「何歳に達する日」というのは
その年齢の誕生日の前のことを指します。
 
40歳になるのは、40歳の誕生日の前日ということですね。
 
私も、40歳になったとき、誕生日の前日だというのに
「ああ、40歳に達してしまった」
と、なんだか1日損した気分になったものです。
 
ほんとは、誕生日の前日の満了(つまり24時)に1歳増えるんだから、誕生日の前日の朝の時点では、法律上もまだ39歳のはず。
でも、社会保険等の考え方だと時間を基準にしていないので
誕生日の前日に年齢到達なんですよね。
 
納得できない気もしますが、ここで主張してもしょうがないので実務の話を。

給与計算では、いつの給与から介護保険料を引くのか
 
たとえば、9月19日が誕生日の被保険者。
 
40歳に到達するのは、誕生日の前日の9月18日。
毎月の社会保険料は、法律では、翌月控除することになっているので
9月分の保険料を控除するのは、10月(10月1日~31日)に支給日のある給与。
したがって、介護保険料は10月に支払われる給与から控除開始となります。
 
なお、給与の締めがいつかということは、この場合関係がありません。
 
「うちの会社って、当月払いなんだけどどうするの?」なんて質問をいただくこともありますが
勤怠の締めと社会保険料の月とは関係ありません。
支給日だけが関係します。
 
先程の9月19日が誕生日の人だと
介護保険料の控除を開始する給与支給日は
15日締当月25日払の会社は 10月25日
末日締翌月15日払の会社は 10月15日
末日締当月25日払の会社は 10月25日
となります。
 
40歳の誕生日が9月1日の人だと、40歳到達日は前日の8月31日。8月が40歳到達日が含まれる月なので、8月分から介護保険料対象。翌月の9月に支給日のある給与から控除を開始します。
 
給与は原則翌月控除ですが、賞与は当月控除なので、うっかり引き損ねることがないよう注意してください。
 
9月1日生まれだと給与は9月支給の給与から控除開始、賞与は8月中に支給日のあるものから控除開始となります。

ではここで応用問題です。

月末締・当月25日払(残業代や不就業控除だけ翌月精算)の会社で、9月1日が40歳の誕生日の人が、8月15日に支給される賞与をもらってから8月末で退職する (9月1日が資格喪失日) という場合の保険料はどうなるでしょうか。

 


【答】
7月25日の給与  6月分の保険料(介護保険料なし)
8月15日の賞与  賞与にかかる保険料(介護保険料あり)
8月25日の給与  7月分の保険料(介護保険料なし)+8月分の保険料(介護保険料あり)
となります。
 
このケースでは、勤怠が当月締の会社は要注意ですね。
残業代がたくさんあって、9月25日の給与が社会保険料を控除できるくらいあればいいんですが、そうじゃないと回収が難しくなります。

給与ソフトによっては、生年月日を入力しておけば、大丈夫ってところもあるかもしれないですね。 でも、細かいところまで対応してくれるソフトは少ないので、やはり人が注意しておかないと「うわっ、失敗しちゃった」ってことにもなりかねません。
 
健保組合加入の会社だと、一部、給与ソフトの自動判定では対応しきれないものもあります。
 
通常、被保険者が40歳未満または65歳以上で、その被扶養者が40歳以上65歳未満の場合には、介護保険料は徴収されません。
被扶養者でも40歳以上65歳未満の人は「介護保険の第2号被保険者」なのですが、その保険料は、制度全体でまかなわれています。
そのため、介護保険第2号被保険者を扶養する健康保険の被保険者の保険料が多くとられることはありません。
その社員も被扶養者も介護保険料徴収年齢であれば、介護保険料は一人分とられますし
介護保険料徴収年齢の被扶養者がいても、本人が対象年齢外であれば、介護保険料はとられません
 
しかし、これには例外があります。
 
健康保険組合の場合、
40歳以上65歳未満の被扶養者(介護保険第2号被保険者)を扶養する
40歳未満又は65歳未満の健康保険被保険者から介護保険料を徴収することもできます。
この被保険者のことを「特定被保険者」といいます。
 
「特定被保険者」は、40歳以上65歳未満の他の被保険者同様に、介護保険料を納付します。
事業主負担も同様です。
 
このような制度の健康保険組合に加入している会社では
被保険者の年齢だけでなく、被扶養者の年齢にも注意しておく必要があります。
 
「特定被保険者」の制度があるのは、一部の健康保険組合です。
会社が加入している健康保険組合がどうなのか、把握していない総務担当の方も多いので
不安な場合は、健保組合のHPか電話等で確認してみることをお勧めします。


 
  
 
 
  
  
なお、40歳以上の人は全員介護保険料を徴収されるかというと
これも例外があります。
 
介護保険の適用除外
・海外居住者
・適用除外施設の入所者
・短期滞在の外国人(在留資格1年未満)
 
海外勤務等、これらに該当する場合は、「介護保険適用除外該当届」を
年金事務所か健康保険組合に提出する必要があります。
これもなんだか届出を忘れそうですね。