前回からご紹介している仕事の続きです。
興福院(こんぶいん)さんという由緒ある尼寺の墓地で、竿石交換を伴うお墓のリフォーム工事に取り組んでおります。
弊社からは車で20~30分程度というくらいの距離でしょうか。
奈良高校の近くにあるお寺です。
さて、前回はリフォーム工事の内容を詳しくご説明いたしまして、今回こそ実作業に取り掛かるかと言いますと、実はもうひとつ準備があるんですね。
タイトルにもございますように、こちらの現場では、石塔の竿石だけを古いものから新しいものに交換するという作業があるのですが、新しい竿石の用意というのが結構段取りを踏むものなのです。
通常の和型石塔というと、台石の平らな平面の上に次の台石を、また竿石を順々に乗せ、古いものならセメント、近年のものであればボンドで固定するというシンプルなものなのですが、台石の上部がわずかに刳られており、上の石をそこにはめ込むようになっているタイプのものが時々あります。
「大入れ」とか「尾入れ」と呼ばれます。
この呼び方は地域によってもいろいろあると思います。
さらに、ホゾ付きになっていることもしばしばです。
普通に乗せているだけの石塔ですと、竿石交換といっても、寸法を採って新しいものを製作するだけで問題ないのですが、台石と竿石が大入れやホゾではめ込むような仕様になっている場合は、石塔の見えている部分だけを採寸してホゾを適当な寸法で作ってしまうというわけにはいきません。
台石はそのまま活用するわけですから、新しい石塔もその台石にきっちりはまるように、現物合わせで製作する必要があるわけです。
言葉だけで説明するのもいささかわかりにくいかと思いますので、今回の現場のものではないのですが、写真をご覧いただきましょう。
大入れとホゾ付きの石塔です。
向かって右側が、竿石の底場になります。
この出っ張りになっているホゾを台石に入れ込んで、固定するようになっています。
ホゾだけでなく、竿石の下場も少し台石と噛み合うようになっていて、この部分が大入れです。
ちょっと見えにくいですが、竿石の下には台石も一緒に梱包されています。
新しい竿石を発注する業者に、この現物を持ち帰ってもらって、新規竿石も間違いなく現状の台石に合うように作ってもらうわけですね。
ですので、一度墓所にお伺いして、石塔を解体し、必要な部材を持ち帰ってくるというステップが必要です。
こうして新しい竿石が出来上がりましたら、台石と一緒にまた現場に持っていって、据え付けの作業を行なうことになります。
今回もやや長くなってきました。
次回はいよいよその据え付けをはじめ、現場作業を完成までご報告したいと思います。