今回はまず写真をご覧いただこうと思います。
弊社資材置き場に用意されたこんな石の山です。
これ、愛知県の岡崎という石材産地から仕入れてきたものですが、何に使うかと申しますと、タイトルにもあります通り、敷石に使うためのものなのです。
懇意にしているお寺さんが、山門からの参道を整備し直したいとのことでご相談いただき、準備したものです。
敷石といいますと整然とした板石なんかを並べていくのがひとつのやり方ですが、こんな風な不揃いの自然石を乱張りで敷いていこうというのは、なかなかの数寄だと思います。
下手くそなイメージ図を描きますと、こんな感じです。
ある程度の幅が決まっている中で、自然のまま加工していない石をあれこれと並べて収めようというわけですから、施工者のセンスが問われるところです。
気の向くまま、といえば聞こえはいいのですが、わりとプレッシャーもかかる仕事ですね。
さてこういった自由施工な敷石ですが、思うところに任せて完全に自由にやっていいかといいますと、そうではなく、基本的なルールがひとつあります。
それは石と石の境目、目地になる部分の処理の問題なのですが、四つ目地を踏まずに三つ目地で仕上げていかなければならないというのが、オーソドックスな敷石の決まり事です。
といってもいきなり四つ目地とか三つ目地と聞いてもピンと来ないかもしれませんので、またぞろ下手くそな図解をしてみたいと思います。
四つ目地
三つ目地
四つ目地というのはご覧の通り、四つの石の合わせ目が十文字になっているような目地のことですね。
規格品で定型的な材料を整然と張っていくのであれば、四つ目地はごく普通のことですが、不揃いな自然石を張っていく作業で四つ目地を作ってしまうのは、一般に受け入れられないというか、要するにダサイこととされています。
三つ目地で仕上げていくのが、職人の技術力、熟練度を示すわけですね。
これは結構神経を凝らす作業だと思います。
そんなに気にする問題ではないと思われるかもしれませんが、人間の目って性能がいいので、視界の端に四つ目地をとらえると、ちょっとした違和感として残ったりします。
いろんな職人がずっと培ってきた経験則があるから、三つ目が避けられるようになっているのだと思います。
あとは「通し目地」と呼ばれる、一本の長い直線の目地を作らないようにするといったルールもありますが、やはり一番気を遣うのは四つ目地でしょうね。
制約がある中でこそ想像力が試される、なんていうのは手垢のついた言い回しかもしれませんが、こういう作業を前にすると頭をよぎる表現ですね。
実際の施工の様子はまたあらためてご報告したいと思います。