今週月曜日にも書きましたが、ワタクシ、今年に入って宝塚歌劇のチケットの前売りが全滅でした。

花組は、宝塚大劇場のチケットが入手できずヤケになって申し込んだ東京公演が当たりました。

自分で申し込んでおいてナンですが「あらまぁ。あたっちゃった。どうしよう」というのが正直なところでした。

 

でも『うたかたの恋』は見たいですわ。

これまで何度か再演されているこの作品、私は3回拝見しております。

 

1983年、雪組 麻実れい・遥くららでの初演は本当に感動モノでした。

緞帳が上がるとそこには大階段。赤い絨毯に見立てた布が敷き詰められた大階段の真ん中には白い衣装のトップコンビ。美しかったなぁ。そしてあの主題歌のイントロにセリフ。

どんなお芝居が始まるのか、何もわかっていないというのに、すでに胸がキュンとなるオープニングはお笑いで言えば完全なる「つかみはOK」でした。

ターコさん(麻実れい)のルドルフ皇太子、モックの純情可憐なマリー・ベッツエラ、ゴールデンコンビここにあり、って感じでした。

 

10年後の1993年の再演は星組で。

宝塚ではトップスターだったシメさん(紫苑ゆう)が休演だったため、私はマリコさん(麻路さき)のルドルフ皇太子を拝見したのでしたが、予期せぬ代役だったでしょうに、これがまぁ、良くてね!!マリコさんの包容力がすごくて。マリーの白城あやかさんとの並びも神がかっていました。

シメさんのルドルフを見られなかったのは残念でしたが、とても良い思い出として残っています。

 

私にとって三度目の『うたかたの恋』は2018年星組の全国ツアー。

紅ゆずるさんルドルフ、綺咲愛里さんマリーでしたが、この時私は作品世界に没頭することができませんでした。

本音で書きますね。

全国ツアーということで、あの幕開き直後の大階段がなく、ちょっとした階段が設えてあっただけ、という舞台設定もさることながら、紅さんがハプスブルク家の皇太子に見えなかったし、綺咲さんも無垢なマリーではなく、ぶりっ子マリーに見えたのです。

これは二人の責任ではなく、再演するにあたって、キャラクターに合わない作品を当てたのが間違いだったと、私は思っています。

 

さて、初演から40年という節目の今回花組『うたかたの恋』やっぱり見たいですわ。チケットが手に入ったのだから、東京だって行っちゃうぞ。

 

我が家は基本的に夫婦ともに放し飼い。

夫が寛大でよかったよかった。あっさり「行ってきて良いよ」と言ってくれまして、日帰りで行って参りましたよ。

 

さあ、今回はどんな『うたかたの恋』でしょう?

劇団のYouTubeチャンネルはこちら。

 

 

 

 

  うたかたの恋

結論から申しましょう。

声を大にして言いたい。

「再演するときは、トップコンビならびに組子と役柄がハマる作品にしてちょーだい!!」

 

以後、私の個人的な感想を正直に書かせていただきますね。

 

まず、星風まどかさんがマリーのキャラじゃないように思いました。

男爵令嬢で社交界デビューしたばかりの世間知らずで無垢なお嬢さんのはずなのだけれど、私にはそんなふうに見えないのですよね。庶民的な気のいいお嬢さんって感じ。

 

それから、三番手以下の男役さんのポジションと役柄の重みが合わないから、無理に役柄を膨らませて場面を増やした役がある一方で見せ場を削られる役があり、それが作品全体のバランスを壊しているように見えました。

 

何より違和感があったのは、この作品の名台詞の一つ、ルドルフ皇太子がマリーに向かって言う「お前を清らかなままでおこうとした誓いを自分で破ろう」の場面。

マリーが愛おしくて、可愛くて、もう自分を抑えられないルドルフがマリーをお姫様抱っこして……その後二人は結ばれたのでした、という場面なんですけれどね、今回なんと、場所が酒場(?)なのです。

仰天しました。

お姫様抱っこの絵面自体は綺麗なんです。普通に立っているだけでもカッコいい柚香さんが娘役さんをお姫様抱っこ、もう究極にときめくシーン。

でもね、私は思いましたよ。

「え?!ここ(酒場)で?

 殿下、これからマリーをどこに連れて行かれるんですか?

 バックヤードですか?スタッフルームですか?そんなところでマリーと?!」

100%違和感。今ふうに言うと「違和感しかない」。

これが皇太子殿下のすることか?場所を選びなはれ。

大体、なぜこんな酒場に世間知らずの男爵令嬢のマリーが出入りしたのかもナゾ。

主題歌の歌詞である「儚くも美しいつかの間の恋」であるはずが、俄然薄汚く感じられたのでした。

初演を作演出された柴田侑宏先生がご健在だったとしたらこんな演出をされたでしょうか?この点については私は今回の演出を担当された小柳奈穂子先生に膝詰めでお聞きしたいです。

まぁ私としては、多くの人に出番を作るための策として作られた場面だったと推測しています。

 

私が歳をとってしまって「昔は良かったですなぁ」と渋茶を啜りながらいう年代になったからか知らないけれど、なんとものめり込めなかった今回の『うたかたの恋』で、この方はもしかしたら初演より良いかも知れないと思ったのはルドルフの妻であるステファニー役の春妃うららさん。

元々好きでもない相手と結婚させられたとはいえ、妻として女としてのプライドを多くの人の前でズタズタにされ……舞踏会でルドルフとマリーを見つめるステファニーの表情の変化を見ていると切なくなりましたよ。

春妃さんの熱演があればこそ、ステファニーが自分を抑えられなくならないように、無理やり腕を取り彼女と踊るジャン・サルバドル(水美舞斗)との場面も緊迫した良い場面になっていました。

正直なところ、これまで春妃さんはノーマークだったので、これから注目したいと思います。

 

この舞踏会の場面では、ステファニーの後ろで表情豊かに芝居をしている、フェルディナンド太公の永久輝せあさん、ステファニーの侍女エヴァ役の愛蘭みこさんも印象的でした。

 

ところで、初演・再演の時にはなかったのはミュージカル『エリザベート』の影響。

父と子(皇帝陛下とルドルフ)、母と子(エリザベートとルドルフ)の関係やお互いの気持ちがわかった状態で見ると、奥行きが出ますね。また、急進派のゼップスや「トカイワイン」にも意味が感じられるようになりました。何より、いつもルドルフのそばにトート閣下が佇んでいるように感じられるのが不思議。

 

最後に柚香さんのルドルフに感じたことを。

柚香さんのルドルフは、最初、生きることを全然楽しんでいないように見えました。

『エリザベート』のナンバーの歌詞「この世で休めない」感じがセリフや佇まいに滲み出ていたのです。

それが、マリーを知って、瞳に輝きが出てきた、生きる喜びを知った、そんな変化を感じました。

 

文句が多く、支離滅裂な感想ですみません。

 

 

  ENCHANTMENT ー華麗なる香水ー

 

香にまつわるショー。

衣装がとても綺麗。

 

男役である聖乃あすかさんが貴婦人として水美舞斗さんと踊るシーンが素敵でした。

 

マリリン・モンローに扮した星風まどかさんと柚香光さんのダンスシーン。

リフトでぐるぐる回った時、星風さんのスカートがふわっと上に上がってしまって、脚がかなり上まで露出した時、柚香さんがとても自然な動きでスカートをサッと直してあげていたのがとっても紳士的かつカッコよかったです。

それを見て、私を含む多くのお客さんが思わず「おお!」となったのですが、柚香さんは「何も特別なことはしてません。これって男(役)として当然の振る舞いですよね」と言わんばかりの平静さで、そこが超絶カッコいいのでした。

 

 

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