月組『応天の門』『Deep Seaー海神たちのカルナバルー』観劇 | 茶々吉24時 ー着物と歌劇とわんにゃんとー

ワタクシ、今年に入って宝塚歌劇のチケットの前売りが全滅でして。

花組は、宝塚大劇場のチケットが入手できずヤケになって申し込んだ東京公演が当たったのですが、月組に関しては、東京も当たらず。(普通、東京公演は当たりませんよね)

もう千秋楽のライブ配信で見るしかないのかと諦めかけていた時に、ある方からご連絡いただいて、本日見ることができました。

うれしー!!

 

お席は1階22列センターブロックの通路側。

程よく劇場全体が見渡せ、前の人の頭に悩まされることもない、嬉しいお席でした。

再び うれしー!!

 

では感想を述べる前に、予告編(?)で予習しましょう。

この動画、ショーの部分は、著作権対策のため、全場面主題歌で見せてくれていて、妙に面白いです。

 

では、感想を。

 

応天の門

 

菅原道真公が主人公だということ以外、全く知らずに見ました。

灰原薬さんの漫画「応天の門」が原作なのだとか。残念ながら読んだことがありません。パンフレットに掲載されている絵を拝見すると好きなタイプの絵なので、ぜひ読んでみたいものです。

 

宝塚歌劇で平安ものは何度か拝見していますが、まさか菅原道真公が主役の演目が宝塚で実現するとは思ってもいませんでした。

それは、私の菅原道真公に関する知識が乏しいことに由来します。

ざっくりまとめると

・「学問の神様」、天神様である

・東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 の句が有名。

・大宰府に左遷され失意のうちに亡くなった

 

本当に知識がなくてお恥ずかしいですが、私の中では菅原道真公は天才的に頭が良く、もしかしたら超堅物、濁りに染まるのを嫌って政敵に疎まれ陥れられたのかな、という解釈しかなかったのです。ゆえに、宝塚歌劇には不可欠と言ってもいい「恋愛」の要素がなく、宝塚歌劇で主役になることはないだろうと思った次第。

 

とはいえ、ポスターの菅原道真公=トップスター月城かなと氏の美しいことよ。

さて、どんな話なんだろうと、楽しみになりました。

鳳月杏さんは、あら、在原業平!

菅原道真と在原業平が同時代の人だということも私は知りませんでしたよ。

情けないくらい知識がなくてすみません。

結論から先に言うと、この作品、宝塚歌劇っぽくない。

理由の一つは、思った通り主役に恋愛の要素が全くなかったこと。

もう一つは、演出。宝塚歌劇の男役さん独特の、力がこもったセリフではなく、よりナチュラルな話し方で、台詞回しだけでいうと正塚晴彦先生の作品に似ている気がしました。

とはいえ、この作品に関しては「宝塚歌劇っぽくない」というのがマイナスにはなっていないと感じています。とても面白かったです。

 

菅原道真が謎解きをするというのがまず面白いですし、在原業平がバディであることも面白い。

そして業平を目の敵にしている藤原基経と、業平との恋が忘れられない藤原高子も登場!おおおーこんなところに宝塚歌劇史に残る名作(と断言したい)亡き柴田侑宏先生の『花の業平』が!!

トップコンビにではなく、二番手に愛の要素があるのが良いですねぇ。

 

以下、敬称略で失礼します。

 

●菅原道真:月城かなと

 まず綺麗。お芝居の性質上、衣装を取っ替え引っ替え……というわけにはいきませんが、仕立てのいい衣装をきりりと着こなしていて、とにかく綺麗なんですよ。

道真は菅原家の三男坊だったんですね。

頭がいいものの、人を信じること、人の心をわかろうとする部分が薄かった道真が都に影を落とす「百鬼夜行」の謎を解くうちに、人間味をましていくところに感情を乗せて見ることができました。

道真公の行く末を知っている観客にとって、藤原氏のせいで命を落とした すぐ上のお兄さんの逸話の繰り返しが、ストーリー展開以上に心を揺さぶるものになっていたと思います。そのたびに「あなたも将来はね…」と思ってしまうんですよ。

とはいえ、随所に笑いが起こり、暗い仕上がりでないところが良い。先に書いた、トップさんに恋愛要素が皆無なことも、全然不満に感じなかったです。

月城さんの、力まない演技のおかげだと思いました。


 

●昭姫:海乃美月

唐からの移民(?)。唐の衣装がよく似合っていて美しいです。

外国で商売をして成功をしているだけにしたたかな一面がある一方、弱い立場の人たちを匿ってただものを与えるのではなく、仕事を与えている優しさの二面性が素敵な役で、美月さんも無理なく自然に演じているように見えました。

 

●在原業平:鳳月杏

登場してしばらくは、モテてモテて仕方のない、女癖の悪い男というふうに見え、鳳月さんってこういうのが板についているわねぇと思って拝見しておりました。

が、実は許されなかった恋を引きずっている男性であることが明かされていきます。かっこいいモテ男の純な心、よろしいですねぇ。宝塚歌劇の男役像として、こうあってほしいパターンに見事にハマっていて、胸をキュンとさせるのでした。

長身な鳳月さんの衣冠束帯姿は、舞台上の娘役さんでなくとも「キャァァ、業平さま素敵ィ!」と言いたくなりましたよ。

 

●藤原基経:風間柚乃

大好きな『花の業平』での基経は ひたすら藤原氏の栄達のために妹をも利用して平気な悪いヤツでしたが、今回の基経は、もう少し複雑。自分が生き残るために、あえて非情になるしかなかったのだな、と思わせてくれるのでした。

目元を朱っぽくしたメイクが黒い衣装によく似合っていてゾクっとさせられました。

 

●白梅:彩みちる

 茶髪?!と驚きましたが、漫画の髪色を再現するためだったのでしょうか?

 まぁ、宝塚歌劇では『源氏物語』の頭中将が金髪だったこともあるのですから、

これくらいで驚いていてはいけませんね。

 彩みちるさん、個人的に好みの娘役さんです。

 道真探偵(?)の助手役を楽しそうに演じていました。

 

●清和帝:千海華蘭

 童顔、可愛らしい声。幼い帝にぴったりでした。

 千海さんは子どもからお祖父さんまで、なんでも来いな役者さんですね。

 

●藤原高子:天紫珠李

 美しく、芯のしっかりした高子でした。

 兄 基経との芝居など、娘役さんにはなかなかない場面で見応えがあったと思います。

 

●若い日の高子:蘭世惠斗

 この公演で退団してしまうんですね。寂しいですわ。

 綺麗な男役さんだと思っていましたが、娘役さんに転向。

 こういう身分高い役の時の蘭世さんが美しくて好きでした。

 実は、私は宝塚大劇場で、子ども時代の蘭世さんを一度お見かけしたことがあります。

 あれは確か、春野寿美礼さんの『エリザベート』だったから2002年のこと。

 幕間休憩で、客席からロビーへと向かう際、私の目の前を歩いている女性の巻き髪がとても美しくて「まるで君島十和子ちゃんみたいな巻き髪だなぁ」なんて思いながら歩いていたら本当に十和子さんだったのでビックリ!

十和子さんは旦那様とまだ小学生だった蘭世さんとご一緒でした。3人は私の前を歩いていらっしゃったので、蘭世さんのお顔はよく見えなかったのですが、すらっとしていらして脚が長く「ああ、きっと宝塚に入ることになるんだろうなぁ」と思ったことを覚えています。ちなみにその時、蘭世さんは、当時変身写真館の横あたりに置いてあった「ベルサイユのばら」のガチャに向かってスキップするように近づいて行かれたんですよ。

もうあれから21年!!私も歳をとるわけです。

 

●藤原良房:光月るう

 基経、高子の父親。実の親ではなかったの?!とびっくりしました。

 『花の業平』での良房よりも、抑えた役どころになっていましたが、人を駒のように利用する強さや冷たさを、抑えた演技で表現していました。

光月さんは、オカシな男(あるいは女)、狂気を帯びた男、じんわり優しい男など、役の幅がとても広い人でした。私は特にオカシな役の光月さんが好きだったのですが、これで退団なんですね。寂しくなります。

 

●桂木:梨花ますみ

 菅原家の女房。梨花さんも茶髪でした。びっくり。

 冒頭のナレーションが、耳に心地よいトーンで聞き取りやすくて感服しました。

 

今回、内裏の公達たちの衣装がほぼ同じで、見分けがつきにくく、お一人お一人について語れなくてすみません。

 

昭姫のボディーガード(?)役をしていたのは朝霧真さんでしょうか?

最近、宝塚歌劇でもリアルが追求されることがあり、今回もびっくりしました。

まさに大入道でしたよ。

【訂正】

 昭姫のボディガードは朝霧誠さんではなく、大楠てらさん だと教えていただきました。

朝霧さん、大楠さん、申し訳ありません!

 

 

 

『Deep Sea ー海人たちのカルナバルー』

 

 

開演寸前の舞台。

あれ?真ん中の月は『応天の門』にも使われていたのでは?

お芝居とショーを結ぶアイテムって面白いですね。

 

オープニング。

光月るうさんのナレーションがあり、舞台も客席も真っ暗になったと思ったら、パッとライトがついて、銀橋と本舞台にカルナバルの衣装をつけた海人たちが勢揃い。それはもう「洋風チョンパ(日本もので、チョンという拍子木の音の直後にパッとライトがつく演出のこと)」と言って良いでしょう。客席から「おお」という押さえ気味とはいえ声が上がったのは当然と言えるでしょう。ああ、もっと大きい声で遠慮なく「おおお!!!」と言える日がまた来れば嬉しいのだけど。

 

さて、私が今回感動したのは、プロローグのダンスがものすごく揃っていたこと。

裾にも腕にもフリフリがついていて、動きが大きく拡張される中、決して少なくない人数の出演者が、同じ角度同じ軌道で動くため、まるで大きな波がうねってるように見えて感動しました。

 

ハイテンションな場面が続く中、「Sanctuary(秘密の花園)」と名付けられた場面で、月城さんと、ドレス姿の鳳月さんが踊り、風間さんが歌うシーンが妖しくも美しくて印象に残りました。鳳月さん、時折スリットからこぼれでる脚が長い、長すぎる。花組『CASANOVA』のコンデュルメル夫人を思い出しますわね。

風間さんの歌も、高音部が綺麗でうっとりしました。

 

他に印象的だったのは、真っ赤な衣装の場面です。(場面名がわからない)

音楽は「Get Ready」のアレンジ。グループが入れ替わり立ち替わり踊り継いでいくシーンは息もつかせない勢いあり。数小節とはいえソロで、それも舞台にただ1人だけで踊るシーンがあり、それぞれのグループのソリストたちが、ものすごく気合が入っていたり、楽しそうであったりするのが見ていてワクワクしました。

ちなみに私はテンプテーションズの「Get Ready」も好きだけどブルーの歌う「Get Ready」が好き♪。

 

 

 

ワクワクといえば、社交ダンス(タンゴ)ふうだったトップコンビのデュエットダンスも素敵でしたわ。

月城さんに駆け寄る海乃さんの足の動きが早すぎて「ハイヒールの踵が折れたりしないんだろうか。私だったら絶対にコケる」と、訳のわからない気分に。海乃さんは相当脚力がありますねぇ。

男役さんが娘役をグルングルン回すリフトがあるデュエットダンスも良いけれど、大人の美しさが感じられる今回のデュエットダンスも私は好きですわ。

 

フィナーレのエトワール、今回の公演は5人で分けて担当するんですね。絶対エース的なエトワールがいないのでしょうか。一人でも多くの娘役さんにチャンスを、ということなのでしょうか。

私が見た日は桃歌雪さんでした。

 

それからWトリオでの月乃だい亜くん、笑顔が目に飛び込んできました。

 

今年最初の宝塚歌劇観劇、とても楽しめましたワ。

 

 

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