プレイバック昭和 Vol.19 昭和の怖い歌 勝手にベスト10(長文) | 茶々吉24時 ー着物と歌劇とわんにゃんとー

私がパーソナリティを務めさせていただいている

エフエムあまがさきの番組

「昭和通二丁目ラジオ」木曜日。

昭和の歌をお送りする番組です。

 

番組17時台にお送りするのが「昭和あれこれ」。

昭和の含蓄ある歌詞を深掘りしたり、

昭和の出来事と当時流行っていた曲を紹介する

「プレイバック昭和」のいずれかをお送りします。

 

昨日は「怪談の日」でした。

最近、テーマごとに音楽の「勝手にベスト10」を選ぶのが

楽しくて仕方ありません。

 

ということで、昨日は色々な意味で怖い

昭和の歌ベスト10をお送りしました。

 

くどいですが、あくまでも私の主観による「勝手に」ベスト10です。

ツッコミを入れつつも、ゆるゆる楽しんでいただけるとありがたいです。

よろしゅうに。

 

以下、YouTubeのリンクを貼らせていただきます。

アップ主様ありがとうございます。

 

ちなみに、まとめているとあれもこれもと書き込んでしまいました。

番組では時間の制約があり、ここまで詳しく喋っていません。

ではカウントダウンしていきましょう。

 

 

●10位 あざみの如く棘あれば/茶木みやこ(1978・昭和53年)

1977(昭和52)年リリースの『まぼろしの人』に続き、

MBS系ドラマ「横溝正史シリーズ」の主題歌になっていました。

歌の内容が怖いというわけではなく、曲を聞いただけで、

横溝正史シリーズのドロドロした世界が思い出されるので、ランクイン。

茶木さんの、つかみどころのない歌唱法もミステリアスさを助長しています。

 

●9位 真珠のピアス/松任谷由実(1982・昭和57年)

別れることになった彼のベッドの下に、

真珠のピアスをそっと転がしておいてやるわ、

可愛い彼女と引っ越しするときに見つけて戦慄するが良い……

という女心の歌です。

 

ネクラ(死語?)女子ですな。

そもそも、彼が先に見つけてそっと捨ててしまうかもしれないし、

たとえ新しい彼女が元カノのピアスを見たとしても、

どんな反応をするのか、確認する手段がないではありませんか。

だけど、嫌がらせをしないではいられない、気持ちはわからなくもない。

ああ、女って怖いわ。

 

●8位 絶体絶命/山口百恵(1978・昭和53年)

 
夕暮れのカフェテラスで妻と愛人女性が向かい合って座っております。
そこに夫が遅れてやってきた。
夫にとってこんな怖いシチュエーションはないのではないかと。
ただ、この女性は散々悪態をつきながら、
男性を奥さんに譲ってしまいます。
昨今耳にする不倫劇とは愛人の質が違いますね。

 

●7位 まちぶせ/石川ひとみ(1981/昭和56年)

元々は三木聖子さんが1976年(昭和51年)にリリースしていたそうですが、
私は石川ひとみさんの歌でこの曲を知りました。
よく比較される あみんの『待つわ』をランクインさせず、
こちらを選んだのは、主人公女子の性格のキツさが一枚上だと思うから。
『待つわ』女子は、そもそも
かわいいふりしてあの子 
 わりとやるもんだねと 
 いわれ続けたあのころ
などと、人からの評価を気にしていたり、
突然、「青く広いこの空 誰のものでもないわ」などと
メルヘンの世界に飛んで行っちゃったりする中途半端さがある。
でも『まちぶせ』女子は「あなたをふりむかせる」、
ただそれだけに照準を絞って、あれこれ作戦を立てております。
その執念深さたるや、いっそあっぱれ。
 
単に、「あなたがふられる日まで」待つ、
なんていう受け身の女子より、
偶然を装う作戦を練りまくっている女子の方が好き、という話でもあります。
この辺りのことは、過去のブログで熱く語っておりますので、
お時間がありましたら、寄り道してくださいませ。
(茶々吉24時 2019年5月24日)

 

●6位 東へ西へ/井上陽水(1972・昭和47年)

 

この歌は狂気を孕んでおります。

初めて聞いた時、2番の歌詞におののきました。

 

電車は今日もスシヅメのびる線路が拍車をかける

満員いつも満員床にたおれた老婆が笑う

 

満員電車の中、床に倒れこんだ状態の老婆が

泣くなら話はわかる。

なぜ笑うのよ、ケタケタと。

怖すぎるわ。

しかし、すし詰めの車両に、なぜ老婆が倒れるスペースがあったのか、

そこらへんは深く考えないでおいてあげましょう。

 

3番も怖い。久しぶりに、彼女とお花見デートをしたら

満開花は満開君はうれしさあまって気がふれる

 

床で笑う老婆と同じ種類の恐ろしさです。

この歌のリフレインは

ガンバレみんなガンバレ

なのですが、この曲を聴いて一度たりとて

「よし、頑張ろう!」と思ったことがありません。

怖い、ひたすら怖い世界です。


 

●5位 蝋人形の館/聖飢魔Ⅱ(1986・昭和61年)

 

古い屋敷で、夜な夜な行われる「殺人儀式」。

身の毛もよだつ悪魔の芸術

壁にとび散る生き血のしぶきが

と、ここまでグロテスクな歌詞が並んでいる曲を

選ばないわけにもいかないでしょう。

 

当時、日本のヘヴィメタルバンドのことを全く知らなかった私。

初めて聖飢魔IIを見たときは「なんや、KISSのモノマネやんか」と

思ったものでした。

が、意外と言っては失礼ながら、デーモン閣下の歌が上手いのが印象に残りました。

おどろおどろしい歌詞の割に、旋律は親しみやすかったように思います。

 

●4位 わかれうた/中島みゆき(1977・昭和52年)

●3位 うらみ・ます/中島みゆき(1980・昭和55年)

 まずは

 「途(みち)にたおれて誰かの名を

  呼びつづけたことがありますか

 から始まる「わかれうた」。

 そんな経験ない!

 そんな人を見たこともない。

 井上陽水『東へ西へ』の”老婆”と対になるくらい、

 怖い情景です。

 もしそんな人を見かけたら、どうしたらいいものか。

 

 「恋の終わりはいつもいつも

  たちさるものだけが美しい

  残されてとまどうものたちは

  追いかけてこがれて泣き狂う

 恋愛経験に乏しい私ですが、

 信じ込んでいた相手に裏切られ、一人で泣いた時、

 この歌詞を思い出し、中島みゆきの言葉選びの確かさに驚きました。

 

 続いて『うらみ・ます』。

 ドライブ中はカセットテープで音楽を聞いていた時代。

 アクセルを踏んだ途端に

 「うらみます うらみます」と地を這うような声が聞こえてきて、

 ものすごくびっくりした記憶があります。

 

 振られたばかりの時に優しい声をかけてくれた男子が、

 実は賭けの対象として自分を見ていたことを知って、

 死ぬまで恨んでやる、という歌です。

 

 ユーミンは伝言をルージュで残していったけど、

 『うらみ・ます』の女の子はそんな生易しくありません。

ドアに爪で書いてゆくわ

 やさしくされてただうれしかったと

 ぎゃー!!怖い!

 彼の住居がスチール製のドアだったら、

 爪でキーキー引っ掻く音が聞こえてきそうで怖い。

 木製のドアだったら、彼女の爪の間に削れた木片が入り込み、

 皮膚が破れて血が流れて、メッセージが赤く染まっているだろうのが怖い。

 

 はー。

 死ぬまで恨むなんて非建設的なことはやめれ。

 新しい恋を見つける方が良いって。

 

 

●2位 帰らざる日々/アリス(1976・昭和51年)

 

 初めて聞いた時も今も、

 この歌に大々的なクレームがつかないことに疑問を感じます。

 

 この歌の内容は、彼と別れ、アルコールに溺れた女性が、

 生きていくのに疲れ果て、睡眠薬をしこたま飲んで、

 最後に彼に電話して声を聞いている、というもの。

 谷村新司さんが最初に書いた詩はダイレクトすぎて却下され、

 オブラートに包んで書き直した、ということですが、

 いやいやいや、どう読んでもこの歌は怖い。

 電話をした本人は安らかな気分で旅立てる、なんて言っていますが、

 電話された方の身にもなりなはれ!

 一生消えない傷を負うことになりますよ。

 いや、それこそが目的なのかもね。

 こわっ。

 歌詞を引用しておきます。

 読んで判断してみてくださいね。

 私はとても怖い歌だと思います。

 

 帰らざる日々

 作詞・作曲:谷村新司

 

 最後の電話 握りしめて

 何も話せず ただじっと

 あなたの声を聞けば 何もいらない

 いのちをのみほして 目をとじる

 バイ バイ バイ 私のあなた

 バイ バイ バイ 私のこころ

 バイ バイ バイ 私のいのち

 バイ バイ バイ バイ マイ ラブ

 

 何か話さなきゃいけないわ 分かっているけれど

 目の前を楽しい日々が ぐるぐるまわるだけ

 バイ バイ バイ 私のあなた

 バイ バイ バイ 私のこころ

 バイ バイ バイ 私のいのち

 バイ バイ バイ バイ マイ ラブ

 

 酒びたりの日も今日限り 私は一人で死んでゆく

 この手の中の夢だけを じっと握りしめて

 バイ バイ バイ 私のあなた

 バイ バイ バイ 私のこころ

 バイ バイ バイ 私のいのち

 バイ バイ バイ バイ マイ ラブ

 

 あなたの声が遠ざかる こんなに安らかに

 夕暮れが近づいてくる 私の人生の

 バイ バイ バイ 私のあなた

 バイ バイ バイ 私のこころ

 バイ バイ バイ 私のいのち

 バイ バイ バイ バイ マイ ラブ

 

 バイ バイ バイ バイ バイ バイ

 バイ バイ バイ バイ バイ バイ

 バイ バイ バイ バイ バイ バイ

 バイ バイ バイ バイ マイ ラブ

 

●1位 夜へ急ぐ人/ちあきなおみ(1977・昭和52年)

 堂々の一位です。

 この歌を使って、亡き志村けんさんがコント(?)をされていたようで、

 おかしな(面白い)歌だと勘違いしている方もおられるかもしれません。

 しかーし!

 ちあきなおみさんが紅白歌合戦でこの曲を歌った後、

 場内がシーンとしてしまい、白組司会者 山川静夫さんが思わず

 「なんとも気持ちの悪い歌ですね」

 と本音を漏らしてしまった歌なのです。

 歌詞の内容より、ちあきなおみさんの歌唱力、表現力のすごさを感じます。

 

 夜の片隅で、行き交う人を観察した後、

 自分自身の心の暗闇を覗き込んでみたら、そこに

 おいでおいでをする人がいる、という部分の歌唱が怖いのなんの。

 おいでおいでをしているのは、おそらく他でもない本人。

 自分自身の闇と向き合って慄いている、ということかな。


 このしたに歌詞を引用しておきますね。

 

 ところで、『夜へ急ぐ人』のEPレコードのB面は『海のそばで殺された夢』。

 こんなレコード、家に置いておきたくない!

 怖すぎるわ!!

 

 夜へ急ぐ人

 作詞・作曲:友川かずき

 

 夜へ急ぐ人が居りゃ

 その肩 止める人も居る

 黙って過ぎる人が居りゃ

 笑って見てる 人も居る

 かんかん照りの昼は怖い

 正体あらわす夜も怖い

 燃える恋ほど 脆い恋

 あたしの心の深い闇の中から

 おいで おいで

 おいでよ する人 あんた誰

 

 にぎやかな 夜の街角で

 かなわぬ夢の別れいくつ 

 勇気で終わる 恋もありゃ

 臆病で始まる恋もある

 かんかん照りの昼は怖い

 正体あらわす夜も怖い

 燃える恋ほど 脆い恋

 あたしの心の深い闇の中から

 おいで おいで

 おいでよ する人 あんた誰

 

 「ネオンの海に目を凝らしていたら

  波間にうごめく影があった

  小舟のようにあっけないそれらの影は

  やがて哀しい女の群れと重なり

  無数の故郷と言う 涙をはらんで

  逝った」

 

 おいで おいで

 おいでよ する人 あんた誰

 

ちなみに、YouTubeでは、一青窈さんが歌う「夜へ急ぐ人」も

聞くことができます。

が、全然怖くない。

歌詞が怖いのではなく、ちあきなおみさんの表現力が

凄まじいのだとはっきりわかります。

 

あんまり怖いから、ランキングでは静止画の方をアップしました。

もし、ご本人の歌っている姿をご覧になりたいなら、

こちらをどうぞ。

下手な恐怖映画よりよっぽど怖いです。

ちあきなおみ 夜へ急ぐ人(ビッグショー)

 

 

【別格編】

1979(昭和54年)リリース、山崎ハコさんの『呪い』を

1位か2位にしようかと思ったのですが、

まだ明るい5時台に「コンコン、コンコン、釘をさす」を

ラジオでかけて良いものか、判断がつきませんでした。

(暗くなってからかけたら、ますます怖いけど)

よって、別格といたします。

 

このうたが、ちびまる子ちゃんのエンディングテーマに

起用されていたなんて、信じられませんわ。

なぜ?!

呪い/山崎ハコ

 

 

山崎ハコさんといえば、文学に等しい『きょうだい心中』。

あまりにも暗いので番組ではかけられないと思っているのですが、

もし将来番組を卒業するときは、最終回にかけようと決めています。

 

 

 

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