「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」という謎のフレーズを繰り返しながらリズミカルに踊る動画が人気です。何も考えずにリズムに体を合わせているだけで結構楽しめます。この動画を見ていて、以前学習した『アイデアの作り方』というのを思い出したのでご紹介します。

 

 結論から言えば、ニューアイデアとは、普通に存在する、何かと何かを組み合わせて作られるのです。

難しく言えば、『アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ』.....ということになるというのです。

 たとえば、どこにでもある、ペンとリンゴとパイナップルを組み合わせると、爆発的ヒット商品?が出来上がるようにです。

 

 組み合わせると言ってもただ組み合わせたのでは意味はなく、組み合わせた結果が凡人には「思いもよらなかったモノ」である必要もあります。具体的に言えば『常識破り』的なモノであることが必要なのだとか。

 

 ・花はかくあるべしという常識を破った......ゴッホ

 ・女性の顔はかくあるべしという常識を破った......ピカソ

 ・交響曲はかくあるべしという常識を破った......ベートーヴェン

 ・労働者の賃金支払いはかくあるべしという常識を破った....ヘンリー・フォード

 

 また、アイデアを生み出す秘訣の一つに『質問を変えてみる』ということも言われます。ヘンリー・フォードの話をもう一つ、

 彼は、「従業員に仕事を割り当てるにはどうしたらいいか?」という質問を、「仕事を従業員に割り当てるにはどうしたらいいか?」という質問に変えることによって組み立てラインというアイデアを得たようです。

 

 もう一つ例を上げると、

 10階建てのオフィスビルがあったとしましょう。建てられてから随分と時間が経っていて、昔は大きなオフィスばかりで広くゆったりと使っていたのですが、最近では小さなオフィスでいっぱいとなり人の数も増えてしまいました。ビルにはエレベーターが二台しかなく、今ではこの二台のエレベーターでは間に合わなくなってしまいました。朝夕にはエレベータホールは人盛りとなり、苦情が頻繁に聞かれるようになったのです。

 あなたがもしこのビルのオーナーだったとしたら、なにをどう考えて改善するでしょうか。

 ・エレベーターの台数を増やす

 ・高速の最新鋭のエレベーターに取り換える

 ・階段をエスカレーターに付け替える

 様々なアイデア?が出て来そうですが、実際にあった解決策をご紹介しましょう。

その解決策とは『各階のエレベータホールの壁の全面に鏡を取り付ける』というものでした。

 このビルのオーナーは、問題を次のように変えてその解答を考えたのです。

「どうしたらエレベーターの待ち時間のイライラを解消することができるだろうか」とね。自分の姿を鏡で見ていれば、待ち時間もそれほど苦にならないだろうと考えたわけです。エレベーターと鏡を組み合わせたわけですね。♪エレベーター+ミラー♪

 

 難問に直面したら、取り敢えず「質問を変えて見る」ことも全く違ったアイデアにつながるかも知れません。

 

 また、アイデアとは『既存の要素の新しい組み合わせ』。料理で言えば、新作料理のレシピを作るようなものだと言われます。すでに知っている材料を、これまでとは違った方法で組み合わせて作り出すものだと教えられました。

 その時必要な事柄は、その材料をどれだけ熟知しているかによるのだそうです。

 

 普段、自分が取り扱っている商品やお客様に提供しているサービスは自分が一番熟知しています。それに、自分がよく知っている別の何かと常識に捕らわれずに組み合わせてみると、新しい何かが生まれるかもしれません。

 アイデアとは何かと何かを組み合わせる「足し算」なのです。

 

 ペンとアップルとパイナップルの足し算が、昔学習したことを思い出させてくれました。

 「誰にでも使って頂きたい」「たくさんのお客様に食べていただきたい」「より多くの人に....をしたい」などと言われる社長様とよくお会い致します。みんなに愛される商品やサービスをお考えになっているのでしょう。

売上高を少しでも増やしたいという気持ちもあり、無理からぬことなのだろうと思います。さまざまな人に自社製品やサービスを選んでもらいたいという気持ちはわかるのですが。

 

 商品企画を行うと、あれも付け加えなくては...、そして、これも必要。こんなお客様の場合はこれで対応。とか考えてしまうものです。

 

 しかし、『八方美人は誰からも好かれない』と言われます。誰からも愛されるモノとは幻想に過ぎない、という明確な意見もあるのです。

 

 以前読んだのですが、ケビン・メイニーという米国ビジネス誌のコラムニストが書いた「トレードオフ」という書籍があります。この本の印象がすごく強く、時折弊社のお客様に内容をご紹介しています。

 

 かいつまんで内容をご紹介すると、『世の中のヒット商品は全て、上質と手軽に大別できる』というものです。さらに、上質と手軽の両方を追求した領域を「不毛地帯」と呼び、決して成り立たないのです。

     ・「上質」= 経験+オーラ+個性 (価格ではなく経験にまつわるコンセプト)

     ・「手軽」= 入手しやすさ+安さ (簡便性と経済性がコンセプト)

 簡単なたとえをあげてみると、

              「上質」⇒ モスバーガー (ライバルはファミリーレストラン)

              「手軽」⇒ マクドナルド (ライバルは駅そば)

 

 もっとあげると、スターバックス・コーヒー⇒「上質」、コンビニ・コーヒー⇒「手軽」

 

 そもそも、「上質」であるべきはずの商品が、「手軽」に手を出した途端にその会社の営業成績が急降下した例はたくさんあります。たとえば、ブランドメーカーがアウトレットに出品したり、極端な値引き販売を行った例が挙げられるのです。具体的には、帝国ホテルで昼にワンコインのランチメニューを売り出した場合を想像してみて下さい。低単価の客が増え、高単価の客が減ります。全体としての営業成績は低下するでしょう。

 

 結論として、顧客に愛される商品やサービスは、「上質」もしくは「手軽」のうちどちらかを選択し、そして、どちらかを必ず捨て去らなければならないということです。「上質」と「手軽」はトレードオフ(両立しない)なのです。

 このように価値の創造とは、いろんな要素を加えるのではなく、ある特定の要素を捨てることから始まるのではないでしょうか。

 

 まず、『誰に愛してもらいたいか』と顧客を選択することがコンセプトとして必要だということです。さらに、「長~く愛し続けてもらうこと」も大切です。

 

 「安くて、美味くて、ゴージャス」なお店は、幻なのですよ。

 突然ですが「損益分岐点図表」をご覧になったことはありますか。売上高が増加すれば、利益が無限大に確保できる...といった図表なのですが、まことしやかに会計事務所ではよく用いられています。


 売上高が増えて行けば、本当に利益は確保されるのでしょうか? こんな素朴な疑問を持った経験はありませんか。


例を上げてみましょう。分かりやすくするために、簡単なケースを考えてみます。


1人の作業員が1日に3個しか作れない製品があったとします。現在2名の作業員が働いていて、1日6個の製品を作っています。

そこへある日、1日製品7個の注文があった場合を考えてみて下さい。当然製品6個を売り上げていた時から比べれば売上高は増えますが、単純に考えて、製品1個のためにもう1人作業員を雇わなくてはならなくなります。コストが急激に増加してしまいます。


「そんなこと、当たり前じゃん!」と言われればそれまでなのですが、実際の現場では知らず知らずのうちによく似たケースが起こっています。


ミクロ経済学では、このような現象を「収穫逓減法則」として説明しています。


簡単に言えば、生産量が増えれば、だんだんと製品1単位の費用の増加率が上昇していくという法則です。

これを「1」「3」「7」の壁と呼ぶことがあります。


いままで、売上高2億円で充分な利益を上げていた会社が、売上高3億円に近づくにつれて赤字体質となって行くのです。また、売上高5億円の会社が7億円に近づくにつれ同じような現象が起きてしまうのです。

「1」「3」「7」の壁とは、単位は何でもいいのですが、売上高が1千万円・1億円、3千万円・3億円、7千万円・7億円という数字に近づくと赤字が待っているというジンクスです。


無理に売上高を増やすのではなく、その売上高に見合った組織力や設備を持ったうえで経営に望まなくてはならないといった「戒め」の言葉なのです。