突然ですが「損益分岐点図表」をご覧になったことはありますか。売上高が増加すれば、利益が無限大に確保できる...といった図表なのですが、まことしやかに会計事務所ではよく用いられています。
売上高が増えて行けば、本当に利益は確保されるのでしょうか? こんな素朴な疑問を持った経験はありませんか。
例を上げてみましょう。分かりやすくするために、簡単なケースを考えてみます。
1人の作業員が1日に3個しか作れない製品があったとします。現在2名の作業員が働いていて、1日6個の製品を作っています。
そこへある日、1日製品7個の注文があった場合を考えてみて下さい。当然製品6個を売り上げていた時から比べれば売上高は増えますが、単純に考えて、製品1個のためにもう1人作業員を雇わなくてはならなくなります。コストが急激に増加してしまいます。
「そんなこと、当たり前じゃん!」と言われればそれまでなのですが、実際の現場では知らず知らずのうちによく似たケースが起こっています。
ミクロ経済学では、このような現象を「収穫逓減法則」として説明しています。
簡単に言えば、生産量が増えれば、だんだんと製品1単位の費用の増加率が上昇していくという法則です。
これを「1」「3」「7」の壁と呼ぶことがあります。
いままで、売上高2億円で充分な利益を上げていた会社が、売上高3億円に近づくにつれて赤字体質となって行くのです。また、売上高5億円の会社が7億円に近づくにつれ同じような現象が起きてしまうのです。
「1」「3」「7」の壁とは、単位は何でもいいのですが、売上高が1千万円・1億円、3千万円・3億円、7千万円・7億円という数字に近づくと赤字が待っているというジンクスです。
無理に売上高を増やすのではなく、その売上高に見合った組織力や設備を持ったうえで経営に望まなくてはならないといった「戒め」の言葉なのです。