「ポケモンGO」が超人気です。企業の中には任天堂のように『うちは本当はそれほど儲からないんです』と正直に発表してしまう企業や、その裏では充電器メーカーが儲かっていたりしたりもしました。


昔のアメリカのゴールドラッシュ時にいちばん儲けた会社は、当時ジーンズを流行させた「リーバイス」だった、と言う話は有名です。漁夫の利というやつですね。




今回は、会社の儲けを企業価値から見てみたいと思います。まず、よく経営資源という言葉が使われます。「ヒト・モノ・カネ」+「時間・情報」がそれに当たります。これを念頭において続きをお読みください。




突然ですが問題です。


『東京銀座の一等地にあるレストランのコーヒーはなぜ高い?』を答えてみてください。




そりゃー、銀座の一等地ですから土地の値段が高いから、家賃も高くなる。コーヒー一杯が1,000円したって不思議じゃないでしょう。という回答が必ず帰ってきます。高く売らないと、家賃が払えない。




今の話を見る角度を変えるとこのようにも言えます。


『コーヒー一杯が1,000円で売れるから、銀座に出店を希望する事業者が殺到して、その結果として土地の値段が高くなる』......いかがでしょうか。銀座という土地が持つブランド力が1,000円の価格をつけているという解釈ができると思います。銀座が持つ歴史や立地という目に見えないものがブランド力です。




話をさらに展開していきます。会社の決算書の貸借対照表を見てください。貸借対照表の資産の部(左側)には上から、「現金預金」から始まる流動資産が計上され、次に「建物」や「機械」などの固定資産の順に並んでいます。




この並び順は、万国共通で、現金化しやすい、別の言い方で流動性が高いモノの順に並んでいます。この並び方を銀座のコーヒーの値段のように、角度を変えてみてみます。


結論から言えば、利益を生まないモノ順に並んでいるのです。「現金預金」は最終到達点で、それ自体はもう利益は生みません。「受取手形」や「売掛金」は、貸し倒れなどで利益を毀損することはあっても、それ以上の利益は生みません。次に「たな卸資産」です。今の在庫は、今後の売り方次第では利益に貢献できそうです。以上が流動資産。




その下の固定資産に移ると、将来の利益の塊が見えてきます。工場や機械装置、営業車輛やトラックなどが並びます。これらの資産をフルに活用して会社は将来の利益を生み出します。




では、最初の話に戻します。会社の経営資源は「ヒト・モノ・カネ」の順に並んでいました。利益を生む順番がこの順番なのです。会社の貸借対照表の資産の部は並び順が逆だということに気付きませんか。


会社の貸借対照表は上から「カネ・モノ」の順に並んでいるのです。利益を生まない資産順に並んでいるのです。「会社資産で現金が増えた」のは過去の利益の結果であって、将来の利益を保証するものではないということです。




もうひとつ、経営資源のうちいちばん利益を生む「ヒト」が貸借対照表では現れていません。これが会計の限界だと言い方もできるのですが、その他にも「会社が持つ技術」なども貸借対照表に現れません。




会社が持つ企業価値って何でしょうか。銀座の土地が持つブランド力と同じで貸借対照表に現れていないものを視なければなりません。もう一歩踏み込んで、貸借対照表の固定資産の部のその下に『我が社のブランド力(ヒト・歴史・信用力・技術力)』の欄を自分で勝手に作って、そこに適当な金額を入れて見ませんか。




そうすると、我が社の経営資源が網羅された貸借対照表が出来上がります。おそらく貸借対照表の右側にある「純資産の部」が大きく改善された貸借対照表が出来上がっているはずです。




未来の利益を確保する方法は、自社のブランド力を継ぎ足した貸借対照表の下から、ヒト・モノ・カネの順に適切な運用を行うことなのです。どのような会社でもコーヒーを1,000円で売る力を持つことは可能です。そうでない会社は、力の入れ方が逆で(カネ・モノ・ヒト)の順になっているケースが多いのです。



◆お金と会計:エピソード12   (2016/07/01)

IKCメールマガジンの「お金と会計」のコマが今回から当ブログに移動しました。

これからは文字数を気にせずに好きなことが書けます。.....どうぞお付き合いください。


◆1個を作るのに10万のコストが必要な製品Aがあったとします。製品1個にかかるコストは(変動費=6万円、固定費=4万円)だったとします。ここに、ある製造工場があって、毎日100個の製品Aを作っています。ある日、その工場に社長の友人が現れ、自分のために1個の製品を作って譲ってほしい....と言うのです。その工場は、毎日製品Aを100個作っていれば十分に採算が取れていました。その工場の社長は、昼休みに自ら作業して製品Aを1個作り上げて友人に渡したのです。

友人『無理言ってすまないなぁ、これって幾らだ?掛かっただけ支払うよ』と言いました。


さて、この場合、社長自らが昼休みに作業をしなくったっていいわけなのですが、おそらく製品Aを作るのにかかった費用は変動費(主に材料費)の6万円だけでしょう。

変動費のことを別の言い方で『製品をもう一個余分に作るための費用』と言い換えることができます。これを管理会計では『追加コスト』と言います。追加で掛かるコストは変動費だけで、固定費には影響しない場合に適合します。


この工場の社長は、友人に製品Aの代金として6万円以上のお金を貰えば、採算は合うはずです。5月のメルマガで書いた「1個作るのに10万円掛かる製品を、9万円で売る」とはこの『追加コスト』の範囲内で行うビジネスだというのが回答です。


この『追加コスト』戦略で最もポピュラーなのがPB(プライベート・ブランド)商品です。全国規模で店舗を展開するスーパーなどが、有名ブランドの洗剤などを自社ブランドなどとしてネーミングして、安価で消費者に提供できるのも、この『追加コスト』を利用していて、1日10万個の製品を作っている有名メーカーに「あと200個余分に作ってよ!」って言って製品を譲ってもらっているのです。


一見『行掛けの駄賃』と言ったイメージですが、ビジネスとして十分成り立つのですが、あくまでも正規の製品の製造で全ての固定費が賄えている場合にのみ成り立つ原理ですので、赤字会社がこれをやるとますます赤字が膨らんでしまいますのでご注意ください。

ブログはじめました。

理由は、弊社が月1回発行しているメルマガに問題が発生したことです。


問題とは、「メルマガ長っ!」です。

1.弊社が発信しようとする会計ネタですが、わかりやすく表現しようとすると、どんどん長くなっていってしまうこと。

2.お客様が、メルマガを途中で読み疲れ、最後までゴールできないこと。

ブログで会計などの知識ネタを、ていねいにわかり易く書いていこうと思います。

よろしくお願いします。