◆お金と会計:エピソード12 (2016/07/01)
IKCメールマガジンの「お金と会計」のコマが今回から当ブログに移動しました。
これからは文字数を気にせずに好きなことが書けます。.....どうぞお付き合いください。
◆1個を作るのに10万のコストが必要な製品Aがあったとします。製品1個にかかるコストは(変動費=6万円、固定費=4万円)だったとします。ここに、ある製造工場があって、毎日100個の製品Aを作っています。ある日、その工場に社長の友人が現れ、自分のために1個の製品を作って譲ってほしい....と言うのです。その工場は、毎日製品Aを100個作っていれば十分に採算が取れていました。その工場の社長は、昼休みに自ら作業して製品Aを1個作り上げて友人に渡したのです。
友人『無理言ってすまないなぁ、これって幾らだ?掛かっただけ支払うよ』と言いました。
さて、この場合、社長自らが昼休みに作業をしなくったっていいわけなのですが、おそらく製品Aを作るのにかかった費用は変動費(主に材料費)の6万円だけでしょう。
変動費のことを別の言い方で『製品をもう一個余分に作るための費用』と言い換えることができます。これを管理会計では『追加コスト』と言います。追加で掛かるコストは変動費だけで、固定費には影響しない場合に適合します。
この工場の社長は、友人に製品Aの代金として6万円以上のお金を貰えば、採算は合うはずです。5月のメルマガで書いた「1個作るのに10万円掛かる製品を、9万円で売る」とはこの『追加コスト』の範囲内で行うビジネスだというのが回答です。
この『追加コスト』戦略で最もポピュラーなのがPB(プライベート・ブランド)商品です。全国規模で店舗を展開するスーパーなどが、有名ブランドの洗剤などを自社ブランドなどとしてネーミングして、安価で消費者に提供できるのも、この『追加コスト』を利用していて、1日10万個の製品を作っている有名メーカーに「あと200個余分に作ってよ!」って言って製品を譲ってもらっているのです。
一見『行掛けの駄賃』と言ったイメージですが、ビジネスとして十分成り立つのですが、あくまでも正規の製品の製造で全ての固定費が賄えている場合にのみ成り立つ原理ですので、赤字会社がこれをやるとますます赤字が膨らんでしまいますのでご注意ください。