新型コロナ感染症もいよいよワクチン接種者の拡大が続く中、その終息の時期が待たれるようになってきました。しかし、まだまだ様々な規制などが続いているのも現実でありまして、以前のような活発な経済活動がいつどのように復活するのかの見通しが立たないのも事実でしょう。

 

 この感染症の影響が出だして、足掛け2年目、その間企業は様々な方法で生き残りを模索しています。中には不運にも廃業に追い込まれた者もいます。

 

 前々回ブログで取り上げた、ユダヤ人の聖典である「タルムードの教え」から、今一つのお話をここでは差し上げようかと思います。

『昔のこと、エジプトの王ファラオはこのような夢を見た。

草原に7匹の太った牛がいて、草を食べている。そこへ、7匹の痩せた牛が現れて、草原の草と一緒に7匹の太った牛も食べてしまった。

 ファラオは、この夢がどのようなお告げなのかを、国中の預言者に聞いたが、誰もわからなかった。

 ある家臣が、牢に閉じ込めているヘブライ人が夢をよく当てるという噂をファラオに話したところ、そのヘブライ人に尋ねて見ることになった。

 そのヘブライ人はファラオに向かってこう言った。

「7匹の太った牛は、これから7年間エジプトに大豊作をもたらすことを表します。7匹の痩せた牛は、大豊作でエジプトが潤った後、7年間の大飢饉が訪れることを意味するのです。」

そして、7年間の大豊作の間に、全ての収穫を食べ尽くすのではなく、その後の7年間の大飢饉に備えて、収穫の中から可能な限り貯蓄しておくことをファラオに進めたのです。

その後、予言した通り大豊作が訪れ、7年間続いたのです。ファラオは言われた通り、可能な限り収穫を貯蔵しました。そして8年目、予言通りの大飢饉です。大飢饉はエジプトだけではなく、全世界に及び、7年の間人々を苦しめたのです。

世界の国々は大飢饉により全てを失ったのですが、エジプトだけは、蓄えていた穀物のおかげで、この災難を乗り越えることができたのです。』

 

 【奢れるものは久しからず】....栄枯盛衰。

 

 このような話は、時代を問わず語られる話ではないでしょうか。何故、時代を問わず...なのかと言えば、年月が経てば、どのような教訓も風化し、忘れ去られるものだからです。

 

 好い時の後は、必ず悪い時が来る。好い時には、その後に来るだろう悪い時に備えておくことが大切だという簡単な戒めですが、誰もまともにできないのです。

 

 

スティーブ・ジョブズやラリー・ペイジ、マーク・ザッカーバーグなどのユダヤ出身者にとっての戒めのお話しを彼らは、しっかりと守ったのでしょう。

 

コロナ禍、人類がこの感染症を克服する時も近いと思います。「リベンジ消費」「リベンジ旅行」などと謳われ消費の爆発が予想されるようです。

 

好調な時代になり、その中で何人の企業経営者が、その7年後に訪れるだろう大不況に備えた貯蓄を完成させることができるでしょうか。

 

 ITバブルの崩壊、同時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災、コロナショックと「100年に一度の....」が10年を待たずして起きる時代です。

 

 アフターコロナで景気回復が現実のものとなったとき、まさに「次の7年の間の不況に備えよ」という戒めを噛みしめることが最も重要だと思います。

 

 ユダヤ人のための「タルムードの教え」ですが、日本人も学んでみても良いのかもしれません。

 

 

 

 ブランドと言う言葉があります。語源は欧州で昔使われていた『brander;焼き印を押す道具』だそうです。自分の家畜を他の家畜と区別するための道具だとかで、他と区別するための道具が転じてブランドとなったみたいです。

 

 近頃「ブランディングデザイン」という言葉を頻繁に聞く機会が多くなりました。3年前に経産省と特許庁が「デザイン経営」という概念を打ち立てて以来、自社ブランドをデザインすることの意義が浸透しだしてきたように見えます。

 

 そして、「ブランディング」を少しかじって見ると、様々なところで“デザイン”という言葉が出て来るのです。

 そこで、重要となるのが、上記、経産省・特許庁の「デザイン経営」宣言の文章なのだと思うようになりました。

 

(以下引用)

 ~『デザインは、企業が⼤切にしている価値、それを実現しようとする意志を

表現する営みである。.....(中略)....その価値や意志を徹底させ、それが⼀貫したメッセージとして伝わることで、他の企業では代替できないと顧客が思うブランド価値が⽣まれる。』~

(引用終わり)

 

 ブランドを簡単に定義して見ると、「お客様が時間や対価を支払ってでも買いたいと思う“意味のある差”」とでも言えるでしょうか。これがブランド価値なのだと思います。何も高価なものだけをいうのではなく、牛丼チェーンなどに見られるように「安さ」も一つのブランド価値となり得るのです。

 

 そして、ブランディングです。簡単に言えば「ブランドを“かたち”にする活動」を差します。

 

 ブランディングを学んでみると、一般的に言われているマーケティングと混同しがちになります。

ブランディングとマーケティングは根っこの部分で大きく違うわけで、例えば、様々な経営資源を「売る」という目的に向かうようにコントロールする技術がマーケティングです。言い換えると、マーケティングとは、「売れる仕組み」を作ることだと言えます。

 

 しかし、ブランディングはというと、『価値や意志を徹底させ、それを⼀貫したメッセージとして伝わるようにすること』です。目的は、お客様に「意味のある差を伝えてあげること」になるのではないでしょうか。言い換えると、統一されたメッセージを伝えることで「売れ続ける仕組み」を作ることだと思います。

 

 

 企業の繁栄は、商品やサービスが売り続けることが必要となります。

 

2018年に経産省などが策定した「デザイン経営」宣言、もっともっと我が国の企業に根付くことを期待したいです。

 上の問いですが、有名人で金持ちというのも答えとしては正解ですが、この四人に共通する事実は、ユダヤ人であるという事です。

 

 ユダヤには、とても強力なビジネス教本があります。ユダヤ人に金持ちや学者が多いのは、この教本があるからだと言われているものです。

 その教本の名は『タルムード』。ダルムード無くして、ユダヤ人無し!というくらい重要なものです。ユダヤ教の伝承によれば、「神はモーセに聖書以外に口伝で語り継ぐべき法律を下さった」。これがタルムードです。

 

 普通の人は、もし最悪のことが起きたら、たぶん、すごく落ち込むと思います。しかし、『悪いことが重なって起きているように見えても、もしかすると、人知の及ばないところで、もっと悪いことから救われているかもしれないのだ』というのがタルムードの教えなのです。

 

 たとえば、突然のトラブルに見舞われでも、そこに新たなビジネスチャンスが必ずあるはずだと、考えなければならないという意味にも捉えることができます。

 

 タルムードは、お金など「数えることができるもの」には幸せは宿らないとしています。物の数量を数えて「これだけ儲けた!」と思ったその瞬間に、神の加護が無くなるという教えです。

 

 簡単に言えば、金儲けに一喜一憂するなという戒めなのです。

 

 

 また、タルムードには様々な小話があります。その中の一つをご紹介します。

 

【難破船と三人の乗客】

 むかし、帆船が嵐に遭遇して難破してしまいました。流れ着いたのは、フルーツがたわわに実る無人島でした。

 船は、その島で修理を済ませてから、再び出航することになりました。

 

 その船には三人の乗客がいました。

まず、乗客Aは、

 いつ修理が終わって船が出てしまうかわからないので、島に取り残されてしまっては大変だと船から降りませんでした。嵐にあってからの空腹は我慢することにしました。

 

次に、乗客Bは、

 島には降りたのですが、船が出てもわかるようにいつでも船が見える位置にいたのです。その範囲内のフルーツは食べるとこができ、ある程度の空腹とのどの渇きは満たすことができたのです。

 

最後に乗客Cは、

 そんなに簡単には船の修理は終わらないとして、島の奥まで入って行きました。次から次へとフルーツをおなか一杯に食べることができました。その後戻って見ると、船は出てしまった後で、ひとり島に取り残されたのです。

 

 乗客Aは、その後の航海で空腹とのどの渇きに耐え切れず死んでしまいました。無人島に取り残された乗客Cは、そこから脱出することなく一生を終えたのです。生き残ったのは、乗客Bだけでした。

 

 この話は、ビジネスについてこう教えています。

 コロナ禍で、ビジネスがうまくいかない中、目の前のことだけを考えるのではなく、最終的にはどうあるべきか、目的をしっかりと持ち適切に行動することが、生き延びる方法だという事をこの小話は教えているように思えます。

 

 しかし、ユダヤ人の教科書であるタルムードのこの小話ですが、最初に上げた、ペイジもザッカーバーグもソロスも、無茶苦茶なリスクを取った乗客Cのように思えてならないのですが、彼らにとっては、適度なリスクであったという事なのでしょうか。“畏るべし!タルムード”です。