★「天木直人氏の視点ー(2013/04/02)」★  :本音言いまっせー!


 私はきのう4月1日のメルマガ第231号で書いた。憲法を否定する
ような下克上の法律を決して安倍政権につくらせてはいけないと。

 しかも議員立法で作るという。とんでもない話だ。

 しかしそれに劣らず作らせてはいけない法案がある。それが秘密保全法
という名の言論封殺法だ。

 きのう4月1日の毎日新聞が報じていた。政府は3月31日、外交や
公共の安全などに関する機密情報を漏洩した公務員を処罰する秘密保全
法案を今秋の臨時国会に提出する方針を固めたと。

 参院選後の安定政権を見越した上での強硬突破である。

 そもそもこの法案は2010年9月に起きた中国漁船衝突事件の
ビデオ映像流出がきっかけで民主党政権がつくろうとしたものだ。

 それが政権交代によって立ち消えになった。

 安倍自公政権がそれを行なおうとしても民主党は反対できない。

 自民党はもともと民主党がつくろうとしたものだと言い訳すればいい。

 だからこの動きは止められない。

 それをいい事に安倍首相は参院選の勝利の余勢をかって、一気に成立
させようとしているのだ。

 しかしこれがまたとんでもない悪法なのだ。

 これもまた9条連ニュース3月20日号で知ったのだが、日本体育大学
の清水雅彦准教授が語っていた。

 公務員の機密漏洩防止が目的だというが、公務員の安全保障上の機密
保持については国家公務員法や自衛隊法、日米相互防衛援助協定などの
現行法によって既に法制は整備されており、あらたな秘密保護法を制定
しなければならない理由はない、と。

 漏洩を防止しなければならない国家秘密とは防衛と外交に関するもの
であるはずなのに、今度の法案は「公共の安全と秩序の維持」が明記
されており、これでは放射線汚染情報やTPPの交渉情報など、何でも
漏洩防止の対象になる、と。


 公務員の秘密漏洩防止なのに、法案の適用対象が民間事業者・大学に
まで拡大しており、処罰対象が公務員に限らず広く民間人に及ぶことに
なる、と。「国民の知る権利」に応えて取材・報道活動を行なうメディア
さえも処罰される可能性がでてくる、と。

 罰則が強化されれば、この秘密保全法の存在自体が国民の表現活動を
萎縮させる効果を持つ、と。


 その他問題点は数え挙げればキリが無いが、極めつけは清水准教授が
指摘する次のような権力関係の倒錯である。

 すなわち秘密保全法は、マイナンバー制度の導入と相俟って、
『国家』の知る権利をどんどん拡大、保障する一方で、『国民』

知る権利や国民のプライバシーを侵害する法案だ、と。

 こんな稀代の悪法がこのまま行けば通ってしまう。

 野党が機能していない政治とは、かくも危険であるかということで
ある。

 


週刊朝日 2013年4月5日号


 昨年末、米空母ロナルド・レーガン乗組員ら9人が「嘘の情報で被曝した」として東京電力を訴えた。3月14日の段階で、その原告数は115人を超えたという。こうした報道を知った作家の室井佑月氏は、怒りをあらわにしてこういう。

*  *  *

 我々日本人に対する放射性物質の影響の説明とおなじく、アメリカ人にも胸を張って、「因果関係は認められない」といい切れよ。

 山下俊一教授あたりを証人に立てて、「せっかくのトモダチ作戦、ニコニコ笑っていれば放射能の被害は受けなかったはず」などといわせてみ?

 みなさんは覚えているだろうか。以前、福島第一原発から45キロほど離れた二本松市のゴルフ場が、東京電力に汚染の除去を求め、東京地裁に仮処分を申し立てた。その時の東電側の主張は、「原発から飛び散った放射性物質は、東電の所有物ではない」というものだった。

 たしか「無主物」という言葉を使ったんだ。無主物とは、ただよう霧や、海で泳ぐ魚のように、だれのものでもない、という意味だ。そして、東京地裁ではそのとんでもない東電の言い分が認められた。

 米連邦地裁にも、その言い分が通じるかしらね。「被曝したっていわれてもさ、事故で飛び散った放射性物質は無主物で、東電のものではないんだもん」って。

 ま、認められるか認められないかは置いといて、とにかくおなじことをいってみろというのだ。でないと、アメリカ人の命や健康の価値と、日本人の命や健康の価値に違いがあるみたいで、あたしは面白くない。

 トモダチ作戦で太平洋沖の船に数週間いた米兵より、福島第一原発周辺に住む人たちや福島県以外のホットスポットに住みつづけている人のほうが、どう考えても被曝してる。日本人には「大丈夫」といい、アメリカ人には賠償金を払うようなことがあったら、あたしは許せない。

自由貿易条約ラッシュが止まらない。
日本でTPP(環太平洋連携協定)交渉参加の是非に関する国内議論が白熱する中、海の向こうでは世界最大規模となるであろう、もう一つの〈自由貿易協定(FTA)交渉〉が着々と進められていた。
 2013年2月に米国のオバマ大統領が一般教書演説の中で発表した、EUと米国の2国間包括的自由貿易協定だ。
 上院議員時代、「NAFTA(北米自由貿易協定)は国内雇用を拡大するどころか激減させた」と声高に批判したオバマ大統領は、今回の演説で自信たっぷりにこう力説した。
「この条約が実現すれば、アメリカ国内に多くの高賃金雇用を生み出すだろう」。交渉は今年6月に開始され、遅くても2年以内の締結を目指す。
 米国内でTPPを強力に推進するUSTR(米国通商代表部)や、欧州委員会およびEU内の多国籍企業・投資家たちはこの〈米欧FTA〉を双方に大きなメリットがあるとして歓迎している。
 GDPシェアでは世界の半分、2国間貿易高では世界の3分の1をも占める両国のFTA締結は、史上最大の〈単一自由貿易圏〉を生み出すからだ。
 内容はTPPと同様、投資、関税、非関税障壁、知的財産権、サービス、司法、環境・労働・健康分野における規制撤廃が含まれる。EU側からは米国の金融規制緩和が、米国側からはEUの厳しい食品安全基準や食材成分表示義務の撤廃が要求されるだろう。
 一方、同条約に反対する国民の声も少なくない。 ドイツ在住のエマ・バルテンは、同条約はEUで否決されたACTA(偽造品の取引防止に関する協定)の焼き直しだと指摘する。
「ACTAは定義が広範囲すぎる〈知的財産権〉項目や、ネット規制、言論統制につながるリスクに危機感を感じた人々が猛烈に反対し、EU議会が否決しました。ところがその直後に出てきたCETA(EU・カナダ間自由貿易協定)の中に、〈知的財産権〉その他のACTA条項がしっかり入れられていたのです」
 ACTA条項の導入はリーク文書によって暴露され、両国内では再び反対が拡大、CETAは最終段階で暗礁に乗り上げた。
 カナダ市民評議会のモード・バーロウ会長は、CETAへの懸念をこう語る。
「この条約はカナダの国内農業や医療保険制度を崩壊させます。知財保護強化で薬価は数十億ドル高騰し、ジェネリック薬は手に入りにくくなる。国内法を超越する国際条約は、慎重にみないと後で取り返しがつかなくなるのです」
 もたつくCETAを追い越すように、速度を増してきたのがTPPと米欧FTAだ。 
かつての貿易や関税における合意から、世界はあらゆる分野の広範囲な規制撤廃で市場拡大を目指す流れに向かっている。
NAFTAやCETA、TAFTAにTPP…条約名や頭文字は違えど目指す方向が同じ今、TPPだけ見ているうちに別なもので外堀を埋められぬよう、私たちは注視すべきだろう。
〈自由貿易協定〉に含まれる貿易以外の項目や、それが一体、誰にとっての〈自由〉をさしているのかを。
北海道新聞3月15日付「各自核論」掲載記事