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こんにちは。スタッフTです。今回ご紹介する論文はこちらです。
 

Venous and arterial thrombosis in patients with VEXAS syndrome
Kusne Y et al, Blood 2024, doi:  10.1182/blood.2023022329

VEXAS症候群は体細胞UBA1遺伝子変異による、全身症状を伴った炎症性疾患です。血栓症が出現しますが、そのリスクファクターや頻度は、その疾患概念の新しさや数の少なさからわかっていませんでした。


筆者らはNIHの臨床試験に入っている/Mayoクリニックで通常の診察を受けている119人のVEXAS症候群患者さんを対象に、動静脈血栓の発現と臨床的結果、生存率を電子カルテから調べました。

結果です。

  • 血栓症は49%の患者で出現した。ほとんどが静脈血栓だった(VTE)。
  • VTEの3分の2は特に誘因がなく、41%は再発性で、20%は抗凝固薬を使用していたにもかかわらず起こった。
  • VTEの累積罹患率は、症状が出てから1年で17%、5年で40%だった。
  • 心臓と肺の炎症所見が、VTEが出現するまでの時間と相関していた。
  • 動脈血栓の累積罹患率は1年で6%、5年で11%だった。
  • このコホートの全生存率は、フォローアップ中央値4.8年で88%で、血栓症の有無は予後に影響しなかった。


結論として、VEXAS症候群はVTEのハイリスクであり、血栓症ハイリスク症例において血栓予防は禁忌でない限り考慮すべきだろうと筆者らは述べています。

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約半数の患者さんに血栓症が出現するという驚きの結果でした。抗凝固薬を内服していても起きる場合があるというのを心に留めておきたいと思いました。

おまけ

 

 

筑豊ラーメンです。卵が良い色してます。