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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はBritish journal of Haematologyからで、FLT3変異を有する再発難治性AMLに対するギルテリチニブとベネトクラックスの併用療法についてご紹介いたします。

 

Gilteritinib with or without venetoclax for relapsed/refractory FLT3-mutated acute myeloid leukaemia

Kugler E et al, Br J Haematol 2024, doi: 10.1111/bjh.19548

 

【要旨】

強力な寛解導入療法後に再発もしくは不応(R/R)のFLT3変異を有する急性骨髄性白血病(AML)患者は予後不良である。ギルテリチニブは近年R/R FLT-3変異AML患者の標準的な治療薬となった。今回の研究では、ギルテリチニブにベネトクラックスを上乗せした治療(gilt-ven)が、ギルテリチニブ単剤治療と比較してアウトカムを改善するかどうかを検証した。

 

強力化学療法後のR/R AMLに対してギルテリチニブ(n=19)またはgilt-ven(n=17)で治療された患者を組み入れた。ギルテリチニブとgilt-venはmCRc率(53% vs 65%、p=0.51)および同種造血幹細胞移植(HSCT)の実現(47% vs 35%、p=0.5)に差を認めなかった。全生存率(OS)は両群で同等であったが、ギルテリチニブ(12カ月OS 42.1%[95% CI 24.9%-71.3%])に対してgilt-venが良好な傾向が見られた(58.8%[95% CI 39.5%-87.6%])。早期のgilt-venによる救援療法とその他のギルテリチニブベースの治療アプローチを比較すると、gilt-venが最も良好なアウトカムと関連していた(p=0.031)。併用療法は血液毒性の増加と関連した。

 

結論として、R/R FLT-3変異AML患者において、ギルテリチニブと比較してgilt-venにより寛解やHSCT実現は改善されず、血液学的毒性の増加と関連した。OSは変わらなかったが、gilt-venにより生存が良好な傾向を認め、早期救援化学療法として連続的に実施するとgilt-venで良好な生存が認められた。

 

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今回の試験は後方視的解析で症例も少ないためエビデンスレベルが高いとは言えないのですが、皆が知りたがっていそうな貴重な報告だと思います。再発難治のFLT3変異のあるAMLに対し、ギルテリチニブとベネトクラックスという2つの内服薬を組み合わせた治療になります。年齢中央値は56歳と比較的若年者が対象ですが、半数が造血幹細胞移植歴のある再発難治症例で、厳しい患者群となります。劇的な奏効ではありませんが、早期のラインで使用するとベネトクラックス単剤よりもアウトカムが良さそうな結果となっていました。移植へのブリッジングとしても考えられそうですし、内服薬の強みを活かして(毒性も強そうなので何とも言えませんが)もしかしたらQOL改善を期待して、外来での疾患コントロールにも使えるかもしれないと思いました。

 

おまけ

 

 

トマトとキャベツが安かったので、鶏肉と煮込みました!