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こんにちは。スタッフTです。今回ご紹介する論文はこちらです。

Postinduction molecular MRD identifies patients with NPM1 AML who benefit from allogeneic transplant in first remission
Othman J et al, Blood 2024, doi: 10.1182/blood.2023023096

NPM1変異のあるAMLにおいてCR1で同種移植を行うべきかどうかはわかっていませんでした。そのため、FLT3-ITD変異があったら同種移植に舵を切る施設もあれば、微小残存病変(MRD)の状態を見て移植を検討する施設もありました。

この論文はイギリスの前向き試験(AML17とAML19)のデータを使用し、2コースの寛解導入療法(DNR/Araが60%)後にqPCRで測定されたMRDが、CR1での移植成績に及ぼす影響を調べた報告です。
 

結果です。
 

737人のCR症例のうち、MRD陽性は19%でした。CR1での同種移植はMRD陽性の46%、MRD陰性の17%で行われました。CR1での移植はMRD陽性症例においては明らかに3年OSに貢献しました(移植あり vs なし:61% vs 24%)。しかし、MRD陰性症例では3年OSに貢献しませんでした(移植あり vs なし:83% vs 76%)。FLT3変異の有無は結果に関与しませんでした。

結論として、寛解導入療法2コース後のMRDが陽性の場合、CR1での移植にはメリットがあるという結果でした。

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CR1での移植を行うかどうかはかなり悩ましいことが多いのですが(特にFLT3に関しては知りたかった!)、かなりクリアな結果だったので、臨床に直結する論文だと思いました。

おまけ

 

 

飯塚病院の植え込みに生えてるツツジです。雨に濡れて綺麗でした。