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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はBritish journal of Hematologyからで、免疫性血小板減少症と認知機能障害の関連を検証した論文です。

 

Cognitive impairment among patients with chronic immune thrombocytopenia

Kuter DJ et al, Br J Haematol 2024, doi: 10.1111/bjh.19495

 

【要旨】

免疫性血小板減少症(ITP)は自己免疫疾患であり、典型的には著明に減少した血小板数を認める。しかし、付加的な症状(例:疲労の増加、記憶/集中力障害)が患者の生活の質に大きく影響している可能性がある。ITPにおける認知機能障害の性質や重症度、そして患者/疾患特性との潜在的な関連性が、49人の再発難治性ITP患者において評価された。

 

Cogstate Brief Batteryによって定量的に精神運動機能(DET)、注意力(IDN)、視覚学習(OCL)、作業記憶(ONB)を独立して、同様にDET/IDNとOCL/ONBの複合により評価した。

 

29人(59%)の患者で、2つ以上のテストで臨床的に重要な認知機能障害(z-score ≤ −1と定義)が観察された。障害はIDNで最も高く(患者の67%)、次いでDET(53%)、ONB(39%)、OCL(16%)だった。DET/IDNの複合(平均 z-score −1.54;95% CI −1.94~−1.13)が、OCL/ONB(平均 z-score −0.21;95% CI −0.49~0.07)と比較して障害の程度が深刻だった。認知機能障害の重症度は軽度の外傷性脳損傷に匹敵し、加齢と疲労に相関したが、血小板数やステロイド使用とは関連しなかった。

 

全体として、これらの結果はITP患者の評価における潜在的な認知機能障害をさらに考慮する臨床的必要性を正当化するものである。

 

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ITPでは血小板減少だけでなく、全身倦怠感などの症状も増加していることが過去の研究で指摘されていました。今回の研究は持続性・慢性ITP患者を対象に、認知機能を評価した研究となります。患者数は少なめなのですが、DET(検出)やIDN(識別)に関する能力が有意に低下していることが示されており、これは血小板数とは関連がないようです。この結果を臨床にどのように活かしていくかは今後の課題ですが、認識することは重要だと思いました。

 

おまけ

 

 

春にしか食べられない、新じゃがと新玉ねぎの蒸し焼きです。醤油を少したらして食べたら最高でした!