【お知らせ】
当科ではスタッフ医師を募集しています。募集要項はこちらです。当科の紹介記事はこちらから。メールでのお問い合わせはhematology@aih-net.comまでお願いいたします。

 

こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はJCOからで、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫(NLPHL)患者で新たに開発された国際予後スコアの報告をご紹介いたします。

 

International Prognostic Score for Nodular Lymphocyte–Predominant Hodgkin Lymphoma

MS Binkley et al, J Clin Oncol 2024, doi: 10.1200/JCO.23.01655

 

【目的】

結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫(NLPHL)は稀ながんであり、小児および成人NLPHL患者の全てのステージにおける臨床的な危険因子や免疫構造パターン(IAP)の重要性を評価するには大規模な国際的協力が必要である。

 

【方法】

Global nLPHL One Working Groupの後方視的研究に38の施設が参加し、1992年から2021年のNLPHL症例が含まれた。無増悪生存(PFS)、全生存(OS)、形質転換率、リンパ腫特異的な死亡率を測定した。単変量および多変量Cox回帰分析を管理別に層別化し、Lymphocyte-predominant international prognostic score(LP-IPS)のための因子を選択し、5分割交差検証によりその妥当性を検証した。

 

【結果】

年齢中央値37歳(四分位範囲 23-51)の2243人の患者を同定した。フォローアップ期間中央値は6.3年だった(四分位範囲 3.4-10.8)。ほとんどの患者はステージⅠからⅡ(72.9%)で、B症状(9.9%)もしくは脾臓浸潤(5.4%)を認めた患者はわずかだった。IAPは916人(40.8%)でスコア化された。初回の治療には化学療法のみ(32.4%)、集学的治療(30.5%)、放射線治療のみ(24.0%)、切除後経過観察(4.6%)、リツキシマブのみ(4.0%)、積極的な監視療法(3.4%)およびリツキシマブと放射線療法(1.1%)が含まれた。10年でのPFS、OS、形質転換、リンパ腫特異的死亡率は、それぞれ70.8%、91.6%、4.8%、3.3%だった。多変量解析において、IAPはPFSとOSに関連しなかったが、IAP Eは形質転換のリスクが高かった(ハザード比[HR] 1.81;P<0.05)。我々はLP-IPSを開発し、年齢45歳以上、ステージⅢ-Ⅳ、ヘモグロビン<10.5g/dL、脾臓浸潤がそれぞれ1ポイントである。LP-IPSの増加が有意にPFS悪化(HR 1.52)とOS悪化(HR 2.31)、リンパ腫特異的死亡(HR 2.63)、形質転換(HR 1.41)に関連した。

 

【結論】

全年齢のNLPHL患者による今回の包括的な研究により、我々は高リスクの患者を同定するためのLP-IPSを開発した。また、低LP-IPSスコア(<2)の患者を対象とした治療強度を低減を評価する今後の前向き臨床研究が必要であることを示している。

 

-----

 

ホジキンリンパ腫は古典的ホジキンリンパ腫と結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫(NLPHL)に大別され、同じホジキンリンパ腫という名前ですが、古典的ホジキンリンパ腫とは臨床像も治療も異なる点に注意が必要です。ホジキンリンパ腫は日本では患者数の少ないリンパ腫ですが、NLPHLとなるとさらに少なく、今回のLP-IPSが役に立つ局面はあまりないかもしれませんが、いざという時に備えてしっかり覚えておきたいと思います!

 

おまけ

 

 

週に1~2回は必ず食べているくらい好物の豆乳シチューです。山芋入りで和風に仕上げてみました。