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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はLancet Haematologyからで、再発難治性DLBCLに対する新規レジメンの第Ⅰb/Ⅱ相試験結果をお伝えします。

 

Polatuzumab vedotin plus rituximab and lenalidomide in patients with relapsed or refractory diffuse large B-cell lymphoma: a cohort of a multicentre, single-arm, phase 1b/2 study
Abrisqueta P et al, Lancet Haematol 2024, doi: 10.1016/S2352-3026(23)00345-9

 

【背景】

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は非ホジキンリンパ腫の30%近くを占め、造血幹細胞移植に非適応の再発難治性患者には治療選択肢がほとんどなく、予後不良である。本研究は新規のプラツズマブ・ベドチンにリツキシマブとレナリドミド併用療法(Pola+R+Len)が再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者において、増強された抗腫瘍反応とともに忍容性のある治療選択肢であるかどうかを決定することを目的とした。

 

【方法】

今回の完了した第Ⅰb/Ⅱ相非盲検多施設共同単群試験では、3カ国(米国、スペイン、英国)19施設で再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対するPola+R+Lenの有効性および安全性を評価した。組織学的に確定したCD20陽性再発難治性B細胞性リンパ腫で、ECOG PSが2以下、抗CD20薬を含む少なくとも1ラインの免疫化学療法歴、移植非適応の18歳以上の患者が適格とされた。


用量漸増相(Ⅰb相)は、第Ⅱ相試験の推奨用量を決定するためにレナリドミドの漸増が行われた。患者は28日サイクルの導入治療を6コース受けた。導入治療は経静脈的リツキシマブ 375mg/m2、ポラツズマブ・ベドチン 1.8mg/kg(全コホート)に経口レナリドミドを以下の用量で併用した。コホートA 10mg;コホートB 15mg;コホートC 20mg。28日サイクルの中で、リツキシマブとポラツズマブ・ベドチンはday 1、レナリドミドはday 1-21に投与された。用量拡大層(Ⅱ相)の期間は、患者は用量漸増相で確立した第Ⅱ相試験に推奨された用量での28日サイクルのPola+R+Lenを6コースを受けた。どちらの相でも導入治療終了時に完全寛解もしくは部分寛解が得られた患者は、リツキシマブ 375mg/m2をday 1、レナリドミド 10mg/日をday 1-21に投与される28日サイクルの導入後療法を最大6サイクル受けた。

 

用量漸増相での主要安全性評価項目は用量制限毒性インシデンスによる最大耐容量の同定であった。用量拡大層での主要有効性アウトカムは、独立した評価委員会による導入療法終了時のPET-CTに基づいた完全寛解率だった。試験薬を少なくとも1回投与された全ての患者からなる安全性集団、第Ⅱ相試験の推奨用量の投与を受けた全ての患者からなる有効性集団においてそれぞれの解析が行われた。

 

【結果】

2017年7月11日から2020年2月3日の間に、57人が参加した(年齢中央値 71歳[四分位範囲 60-75];38人[67%]が男性、19人[33%]が女性;47人[82%]が非ヒスパニックもしくはラテン;前治療ライン数中央値 2[四分位範囲 1-3])。18人が第Ⅰb相試験に、39人が第Ⅱ相試験に組み入れられた。第Ⅰb相試験により20mgが第Ⅱ相試験におけるレナリドミドの推奨用量となった。フォローアップ期間中央値11.8カ月後(四分位範囲 4.7-25.8)、独立した評価委員会による完全寛解率は31%であった(90% CI 20-43)。最も頻度の高いグレード 3から4の有害事象は、好中球減少症(57人中35人[61%])、血小板減少症(57人中8人[14%])であった。重篤な有害事象は57人中23人(40%)で報告され、1人が治療関連有害事象により死亡した(好中球減少性敗血症)。

 

【解釈】

Pola+R+Lenは事前に設定された有効性閾値にメットしなかったが、一部の患者で臨床的な有益性を示し、この治療レジメンは再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者で許容できる安全性プロファイルを示した。

 

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現在Pola-R-CHP療法で猛威を振るっているポラツズマブ・ベドチンですが、既存のリツキシマブ・レナリドミドに組み合わせて再発難治DLBCLでどうか?という試験です。目の覚めるような劇的な結果ではありませんが、高齢者中心の厳しい患者群において一定の有効性と安全性を示しました。用量をうまく調整したら、良い治療選択肢の一つになるかもしれませんね。

 

おまけ

 

 

鶏胸肉を茹でた茹で汁を二次利用して作った年越し蕎麦です!何となく自家製の実山椒の塩漬けを乗せてみましたが、こちらはあまり蕎麦には合わなかったです。