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こんにちは。スタッフTです。今回ご紹介するのはこちらの論文です。
 

Lenalidomide and dexamethasone maintenance with or without ixazomib, tailored by residual disease status in myeloma
Rosiñol L et al, Blood 2023, doi: 10.1182/blood.2022019531

VRd療法(ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメサゾン)後に自家造血幹細胞移植を受けた322人の多発性骨髄腫患者さんを、維持療法としてRd(レナリドミド・デキサメサゾン)療法を行う群(161人)と、Rd療法にイキサゾミブを加えるIRd群(171人)にランダム化して組み込んだという報告です。
 

Rd群は1コースを28日間として、レナリドミドを15mg/day day 1~21、デキサメサゾンを20mg/day day 1~4、9~12に投与しました。IRd群はRd群にイキサゾミブを4mg/day day 1、8、15で追加しました。維持療法を24サイクル受けたところで微小残存病変(MRD)を測定し、MRD陰性の場合は維持療法を終了し、MRD陽性の場合はRdを36コース追加しました。

結果です。
追跡期間中央値は維持療法開始後69ヶ月でした。無増悪生存期間(PFS)は両群とも差がなく、6年PFSがRdで61.3%、IRd群で55.6%でした。2年間の維持療法後、163人がMRD陰性で維持療法を終了し、63人がMPD陽性のためRd療法を継続しました。MRD陰性で維持療法を終了した群では4年間で17.2% と低い再燃率を認めました(いわゆるハイリスク症例においてもです)。

結論として、Rd維持療法はIRd療法と比べて遜色なく、2年間の治療後にMRD陰性になった場合には治療を終了しても安全だろうと筆者らは述べていました。

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維持療法というと、いつまで続けたら良いのかが問題になることがありますが、MRD陰性の場合は安全にやめられるかもしれないという希望のある論文でした。やや余談的ではありますが、経過中、8%の方に二次がんが出現しているのには留意しておくべきかもしれません。

おまけ
 

 

ドライブ先で見かけたコスモスの写真です。すっかり秋ですね。