こんにちは。血液内科スタッフKです。
お盆だからという訳でもないのですが、たまには論文紹介以外のことも書いてみようかと思います。論文紹介を期待してこられた方は、申し訳ありませんがスルーしてくださいね。
随分前の話になるのですが、学会出張で東京行きの飛行機に乗っていた時のことです。
離陸して数分後、突然後ろから「バーン!」という大きな音がしたんです。
咄嗟には何が起こったのか分からなかったのですが、何故かその時操縦席と管制官との交信が一瞬機内に流れました。英語で数秒だったので詳細は分からなかったのですが、emergency(緊急事態)という単語ははっきりと聞き取れました。
機体に何かが起こったのだと分かりました。
CAさんから「先程後方で爆発音がございました。現在原因を調べております。(うろ覚え)」とアナウンスがありましたが、その頃には機内の空気は異常なほど緊張していて、水を打ったように静まりかえっていました。パニックになるという感じでは全然なかったです(全員固まっていた)。
自分はと言うと、「あーもうこれで人生終わりだな。意外と早かったな」とか、「こんな事になるなら部屋を掃除してから来れば良かったな」とか、「遺書って書いた方がいいのかな?でも筆記用具を上の棚に置いてしまったな」とか、「墜落って痛いのかな?それならひと思いに落ちて欲しいな」とか考えていました。人間こういう時、割とどうでもいいことを考えるものなのですかね。
しばらくして、機長さんからアナウンスがありました。調べてみたらYoutubeに実際の音声が報道されたものがあったので、リンクを貼ります。記憶をたどって内容を書こうかと思ったのですが、本物は記憶よりずっと素晴らしかったので、良ければ聞いてみて下さい。そのアナウンスでエンジンから出火し、消火出来たと思われること、今から福岡空港に緊急着陸するが、正常な着陸になるだろうということが知らされました。「そう言うところまでが訓練なんだろうな」と思いながらも(ひねくれ過ぎ)、「機長さんがこういうのだから、大丈夫なんだ。」と安心したのを覚えています。
その後、無事着陸して事なきを得たのですが、ふと気付いたんです。
「これって病状説明に似てるな」って。
人生というフライトで、無事に目的地に向かっていることを疑ってもいなかったのに、突然機体にトラブル(病気)が発生して・・・もしかしたら墜落してしまうかもしれない。
病気と比べることは適切でないかもしれませんが、それまで大病になることもなく過ごしてきた私にとって、今回の出来事は突然、自分の「死」に否応なく選択の余地なしに直面させられた出来事でした。その時に乗客は何を思うのか、機長の言葉がどんな意味を持つのか。少なくとも私にとって、機長さんが緊迫した中で機体の状況を教えてくれたこと、今後の見通しを話してくれたことは、大きな救いになりました。
もちろん病気なので、皆が常に無事に着陸できるというわけではありませんが、機長の言葉で機内の空気は変えられる。
それから、自分の言葉の重さを少しだけ意識出来るようになった気がする、そんな出来事の話でした。
おまけ
びっくりするほど本文と関係ありませんが、最近作った余り野菜のローストです!