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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

台風が近づいていて、何だか病院内も慌ただしい空気を感じます。天候の変化にはお気を付け下さいね。

 

さて、今回はLancet Haematologyより、骨髄線維症に対するmomelotinibの第Ⅲ相試験であるMOMENTUM試験の続報をご紹介いたします。

 

Momelotinib versus danazol in symptomatic patients with anaemia and myelofibrosis previously treated with a JAK inhibitor (MOMENTUM): an updated analysis of an international, double-blind, randomised phase 3 study

Gerds AT et al, Lancet Haematol 2023, doi: 10.1016/S2352-3026(23)00174-6

 

【背景】

MOMENTUM試験は24週時点での全ての主要評価項目にメットし、骨髄線維症患者においてmomelotinibはダナゾールと比較して症状、脾臓サイズ、貧血に対する利益があることが示された。今回のアップデートされた解析で、24週での反応の持続期間と、48週にかけてのmomelotinibの新たな治療反応について報告する。

 

【方法】

MOMENTUM試験は21ヶ国の107施設で実施された、国際二重盲検ランダム化第Ⅲ相試験である。参加患者は18歳以上の原発性、真性多血症後、本態性血小板血症後の骨髄線維症で、承認されたJAK阻害剤により90日以上の治療歴(または血液学的な治療合併症が28日以上)があり、ECOG PSが2以下であった。患者はnon-deterministic biased coin minimisationと自動応答システムによりmomelotinib群(1日あたり経口で200mgを1回)もしくはダナゾール群(1日あたり経口で300mgを2回)に2:1の割合でランダム化割り付けされた。層別化因子はTotal Symptom Score(TSS 22未満 vs 22以上)、脾臓サイズ(12cm未満 vs 12cm以上)、輸血負担(0単位 vs 1-4単位 vs 5単位以上)、治療施設だった。24週後、最初にランダム化を受けて試験に参加したままの患者は、どちらの群の患者も盲検化されていないmomelotinibの投与を受けた。主要評価項目は既に報告されているが、24週時点でのMyelofibrosis Symptom Assessment Form(MFSAF)TSSの反応率である。事前に定義された副次評価項目は24週でのTSSおよび輸血非依存反応の持続期間、安全性、生存であり、これらは48週のデータカットオフ時に事後的にまとめられた(2022年5月17日)。48週時点のTSS、輸血非依存、脾臓反応は事後的に定義され、非盲検期間に入り充分なデータが得られた評価可能な全ての患者において評価された。ほとんどの患者は48週後にmomelotinibのextended access studyに参加したことから、今回のアップデータされた解析のタイミングは、全ての患者が48週での評価を完了する機会が得られた後に事後的に定義された。

 

【結果】

2020年4月24日から2021年12月3日の間に、195人の患者がランダム化を受けた(130人[67%]がmomelotinib群、65人[33%]がダナゾール群)。Momelotinib群130人中93人(72%)とダナゾール群65人中41人(63%)がmomelotinibの非盲検拡張期間に参加した。フォローアップ期間中央値は48.4週間であった(四分位範囲 40.6-55.7)。48週時点でTSSが評価可能患者のうち、momelotinibu群で治療を継続していた67人中30人(45%)とダナゾール群からクロスオーバーした30人中15人(50%)で治療反応が得られていた。48週までの非盲検期間のいずれかの時点でTSS反応が得られた患者は、momelotinib群で治療を継続した評価可能な75人中46人(61%)と、ダナゾール群でクロスオーバーした32人中19人(59%)で、24週時点で反応していた患者に、24週以後に新たに治療反応が得られた患者が含まれた。新たな安全性の懸念は長期フォローアップでも認められなかった。データカットオフ時にmomelotinibで治療した患者の試験期間全体で認められた最も頻度の高い非血液治療関連有害事象は、下痢(171人中45人[26%])、無力症(28人[16%])であった。グレード 3~4の治療関連有害事象で最も頻度の高かったものは血小板減少症(33人[19%])と貧血(19人[11%])であった。重篤な治療関連有害事象は171人中79人(46%)、生命を脅かす治療関連有害事象は30人(18%)で報告された。2件の致死的治療関連有害事象は、momelotinibとの関連性が考えられた(ロタウィルス腸炎とブドウ球菌性肺炎)。

 

【解釈】

Momelotinibは24週後において持続する症状、脾臓サイズ、貧血の改善と関連死、48週にかけて良好な安全性を示した。これらの結果から、骨髄線維症で特に貧血のある患者において、momelotinib治療が潜在的に利益があることが強調される。

 

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MOMENTUM試験の結果はつい最近記事にしましたので、そちらもご参照ください。

 

 

今回は48週後の長期フォローアップデータとなります。24週後にダナゾール群の患者さんはmomelotinibにクロスオーバーし、さらに48週後はほとんどの患者さんがextended access study(代替薬のない患者さんに未承認薬が提供される)に進んでいます。長期フォローにおいてもmomelotinibは優れた有効性と安全性を示し、症状のある骨髄線維症患者さんでは期待される薬剤であることがさらにはっきりしてきました。

 

おまけ

 

 

丸ごとピーマンの焼き浸しです(超山盛り)。先日の茹で豚で取れたスープを有効活用しました!