【お知らせ】
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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はBloodより、ダラツムマブベースの第Ⅲ相試験から得られたデータを統合し、微小残存病変の意義を解析した研究です。

 

Prognostic value of minimal residual disease negativity in myeloma: combined analysis of POLLUX, CASTOR, ALCYONE, and MAIA

Cavo M et al, Blood 2022, doi: 10.1182/blood.2021011101

 

【要旨】

我々は、4つの第Ⅲ相試験(POLLUX、CASTOR、ALCYONE、MAIA)から得られたデータを用いて、再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)および移植非適応(TIE)の新規診断多発性骨髄腫(NDMM)における微小残存病変(MRD)を調査した。それぞれの臨床試験は、以前にダラツムマブをベースとした治療がMRD陰性率を改善させ、標準的な治療と比較して疾患進行や死亡のリスクを約半分に減少させることを示した。

 

我々は大規模なプール分析を行い、完全寛解以上(≧ CR)を達成した患者とMRD陰性状態および無増悪生存(PFS)との関連性について解析を行った。MRDは次世代シークエンス(感度閾値 10-5)を用いて評価された。個人レベルのデータは4つ全ての臨床試験から統合され、TIE NDMMおよび前治療ライン数2以下(≦2 PL)のRRMM患者から集められた。PFSは治療反応とMRDステータスによって評価された。

 

フォローアップ期間の中央値はPOLLUX試験 54.8ヶ月、CASTOR試験 50.2ヶ月、ALCYONE試験 40.1ヶ月、MAIA試験 36.4ヶ月であった。CR以上およびMRD陰性を達成した患者は、そうでない患者と比較してPFSが改善していた(TIE NDMMとRRMMのハザード比[HR] 0.20、P < 0.0001;TIE NDMMとRRMM ≦2 PLのHR 0.20、P < 0.0001)。この利益は治療や骨髄腫の状況とは無関係に得られるものであった。時変コックス回帰分析により、MRD陰性を伴うCR以上の患者はPFSの改善が確認された。

 

ダラツムマブベースの治療はCRおよびMRD陰性をより多くの患者で達成させることができる。MRD陰性を伴うCR以上の状態が、RRMMおよびTIE NDMMにおけるPFSを予測する因子として適切であることを支持する、精密な方法で行われた初めての大規模解析である。

 

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ダラツムマブは、特に移植非適応や再発難治多発性骨髄腫の治療として広く用いられています。今回の試験は代表的な第Ⅱ相試験結果を統合し、微小残存病変の意義について解析した貴重なデータとなります。ダラツムマブにより深い奏効が得られた場合、その後それがさらに長期間維持されることが期待できる結果となりました。CRが達成された後、積極的にMRDを測定していきたいですね。

 

おまけ

 

 

梅の写真をいただきました!季節の写真は心が和みますね。