こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回は、7月7日に行われる、第35回内科認定医試験の予想をしようと思います。

 

血液領域は苦手意識を持たれている先生方が多いらしく、いわゆる「捨て問」の代表格かと思います。専門でないと血液疾患の患者さんに出会うこと自体が少ないですしね。

 

以前の記事でも触れましたが、内科学会HPで公開されている過去問集によると、非専門医の先生方でも比較的診る機会が多めで、かつ見逃してはいけない疾患が重視される傾向にあります。

 

このブログを目にする受験生がどのような層なのかがちょっと読めませんが、血液が得意な先生の方が多いんでしょうか?そういう先生にとっては問題は多分簡単だと思うので、他の分野を勉強したほうがいいです。

 

もし非血液志望で、血液が分からなすぎてフラフラと検索して当ブログに迷い込んで来た方は、今更重箱の隅を勉強するよりも血液疾患のcommon diseaseを勉強しておくことをお勧めします。

 

それでは、予想問題を出題します。

 

現病歴:68歳の女性。高血圧と脂質異常症とで近医に通院していた。2ヶ月前より倦怠感と鼠径部の腫瘤を自覚したため受診した。その際の血液検査で汎血球減少を指摘されたため、紹介となった。

現症:意識は清明.脈拍 80/分,整.血圧 112/78 mmHg.眼瞼結膜に貧血を認める.鼠径リンパ節腫大を認める.
検査所見:血液所見:赤血球 320 万/μl,Hb 9.5 g/dl,白血球 1,550/μl(好中球 60%,好酸球 3%,リンパ球 37%),血小板 8.3 万/μl.血液生化学所見;総蛋白 12.0 g/dl,アルブミン 2.8 g/dl,尿素窒素 20mg/dl,クレアチニン 1.0 mg/dl,総ビリルビン 0.8 mg/dl,AST 20 IU/l,ALT 30 IU/l,Na 136 mEq/l,K 3.5 mEq/l,Cl 103 mEq/l,Ca 8.7 mg/dl.IgG 595mg/dl(基準 860~1740), IgA 27mg/dl(基準 90~390), IgM 8125mg/dl(基準 30~180)

 

問1 この疾患で通常認められないものはどれか。

(a) 血清M蛋白の検出

(b) 赤血球の連銭形成

(c) 溶骨性病変

(d) 自己免疫疾患の合併

(e) アミロイドーシス

 

問2 まず行うべき治療として最も適切なものは何か。

(a) 副腎皮質ステロイドの投与

(b) 血漿交換療法

(c) 免疫グロブリン製剤の静注

(d) エリスロポエチン製剤の投与

(e) 自家末梢血幹細胞移植

 

問3 コンサルテーションが勧められる診療科はどれか。

(a) 泌尿器科

(b) 消化管外科

(c) 整形外科

(d)  眼科

(e) 耳鼻科

 

↓解

↓説

↓で

↓す

 

以前の卒業生T(男)先生の記事を参考にしてみました。

 

診断は、原発性マクログロブリン血症ですね!IgMが著明高値のため、診断はそんなに難しくないのではないでしょうか。問1は多発性骨髄腫との引っかけ(のつもり)です。どちらも免疫グロブリンが上昇するため共通する検査所見も多いですが、原発性マクログロブリン血症では通常溶骨性病変は見られないため、問1の正解は(c)です。

 

IgMが5g/dlを超えていたり、過粘稠症候群の症状を伴う場合は血漿交換療法の適応となりますので、問2の正解は(b)です。また、過粘稠症候群が疑われる症例の場合は眼底のチェックが必要です。ソーセージ状と言われる網膜静脈の怒張、出血、白斑、乳頭浮腫などの所見が確認されます。従って問3の正解は(d)です。

 

いかがでしたでしょうか?自信を失わせてしまったらすみません。総蛋白上昇と言えば多発性骨髄腫ですが、原発性マクログロブリン血症も重要な鑑別診断ですので、忘れていたら是非試験前にチェックしてみてください。試験まであとわずかですが、前日はしっかり休んで、頑張ってください。

 

試験とは関係ないおまけ

 

 

先日の半休で、病院の近くにあるカフェに行ってきました。ここは元飯塚病院の職員の方が運営されていて、がん患者さん向けのサロンを定期的に開催されています。以前から気になっていたので、今回初めて訪れました。写真は地元の素材を使ったサラダですが、大変美味しかったです!