視察報告(東京都稲城市:介護支援ボランティア制度について) | 岡崎市議会議員 井町よしたか  いいまちつくる 井町です!! 

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みなさん、こんにちは。

岡崎市議会議員の 井町よしたか です。

 

先日、東京都稲城市に視察に行ってきましたので、その内容について簡単に報告します。

 

  稲城市について

人口:93,486人 高齢者人口:20,452人 高齢化率:21.9% 要介護認定者数3,368人 認定率:16.5%

 

  介護支援ボランティア制度の特徴

① 高齢者の社会参加を支援し、介護予防の効果を期待するものであり、元気な高齢者を増やす取りくみで、65歳以上の方が介護支援ボランティアに登録(社会福祉協議会)でき、あわせてボランティア保険(300円)に加入してもらっている。

② 介護支援ボランティアは受入機関等の通年の活動がほとんどで、登録したボランティアに気軽に参加できる

③ 介護支援ボランティア活動でスタンプをもらう(1時間以上で1スタンプ、Max2スタンプ/日)

④ スタンプを集めてポイントに換える

⑤ 申請によりポイントの交付金(最大5,000円)を受け取る

 

  介護支援ボランティアの対象事業

対象事業については、社会福祉協議会と連携して実態を把握し、活動が行われている①~⑦に加え⑧のその他を付け加えた。

① レクリエーションなどの指導、参加支援

② お茶出しや食堂内での配膳、下膳等の補助

③ 喫茶などの運営補助(経営的な観点がないボランティアとしての参加)

④ 散歩、外出、館内移動の補助

⑤ 模擬店、会場設営、利用者の移動補助、芸能披露などの行事の手伝い

⑥ 話し相手

⑦ その他施設職員と共に行う軽微かつ補助的な活動(草刈り、洗濯物の整理、シーツ交換など)

⑧ その他(在宅高齢者のゴミ出しなど)

 

  介護支援ボランティアの対象となる事業及び活動の指定要件

現在行われている介護保険事業に関する活動であり、かつ民業を圧迫したり、安い賃金の都合の良い人にさせないために、以下の5つの要件が定められている。特に③においては、事業内容の発表当初に仕事が奪われるという懸念を持たれ、理解してもらえるの苦労したとのこと。

① 稲城市内の施設又は場所における活動であること

② 介護保険事業に関する活動であること

③ ホームヘルプサービスで行うべき業務の代替でないこと

④ 事業所等が本来行うべき業務の代替ではないこと

⑤ 活動の結果、一定の介護予防効果が見込まれること

 

  評価ポイント制度

ポイントは、管理の都合も考え1,000ポイント単位で管理し、1,000ポイント(=1,000円)単位で換金して交付金を支払う。交付金は年額最大5,000円まで。

また、5,000ポイントを獲得した人には、Jリーグ東京ヴェルディ観戦ツアーやよみうりランド招待などのインセンティブが設けられている。

 

活動実績  付与する評価ポイント
10回から19回 1,000ポイント
20回から29回  2,000ポイント
30回から39回      3,000ポイント
40回から49回 4,000ポイント
50回以上 5,000ポイント

 

  令和4年度介護支援ボランティア制度の実績

  • 介護支援ボランティア登録者数:735名(高齢者の3.59%)
  • ポイント獲得者数:179名(令和3年度中に10回以上の活動した人数)
  • ポイント費用:514,000円
  • 受入機関等:25団体
  • 事業費(社協への管理委託料):1,005,812円(ポイント費用も含む)
  • 介護予防効果(粗い試算):抑制人数2名、保険料抑制効果1.8円/年・人(1.9百万円)

 

  質疑応答

Q シルバー人材センターとの棲み分けは?

A こちらの制度はあくまでボランティアなので、対価が欲しい人はシルバー人材センターに行っている。

Q 市の職員の負担は?

A 市の職員の負担は年1回の意見交換会(社協、受け入れ施設の方々)、アンケート集計ぐらいで、やらされ感はない。社協の方が大変だと思うが、社協も本来業務とマッチしているので良い活動が出来ていると思う。アンケート集計は応援メッセージが多いが、何年に1回か意見をもとに制度の変更を行っている。

Q 稲城市は介護予防全般的に素晴らしい活動をしていると認識しているが、スペシャリストがいるのでしょうか?

A 介護支援ボランティア制度は副市長が当時部長だった時に立ち上げた制度であり、副市長の強い思いがあるし、副市長の思いとして『高齢者をもっと褒めてあげたい』という思いが根底にあるため、介護予防に関する提案はやりやすい環境がある。

Q 5,000円が上限の理由

A 当時コミュニティバスの乗車賃が200円、活動にかかる交通費が往復で400円、ポイントをもらえるのに10回/年の活動が必要であるが、年間交通費ぐらいにはなるという考えから。

Q 社協にボランティア登録するとのことだが、ボランティアが必要な時に社協から連絡するのか?

A 基本的には定期的なボランティアであり、単発のボランティアはほとんどない。ほとんどが施設の定期的なボランティアのため行けるときに行ってもらっている。

Q ポイントの管理はどこが行っている?

A 社協がエクセルで管理している。ポイント換金、振込などの情報が必要であり、ポイントの管理は必要。

 

  所感

制度を構築した当時の担当者の介護保険料の負担を軽減したい思いや『高齢者をもっと褒めてあげたい』という思いからこの介護支援ボランティア制度ができたと伺った。寄り添う立場から生まれた素晴らしい制度であり、実際元気な高齢者がボランティアに関わり社会貢献が出来ていることは、参加者の介護予防になっているし、実際少しではあるがその効果も試算できている。
少ない予算で実施できる事業であり、このような制度を導入している自治体も現在では600を超えているという現状を考えると、多くの自治体で評価されている取り組みであり、本市も参考にしていただきたいと考え、資料及び報告書を担当部局に提供した。
 

ご指導いただいた稲城市高齢福祉係の皆様と