外はすごい雨。
なにかを洗い流すかのような
勢いのある雨。
傘に当たる雨の音にも
張りがあります。
電車の中は湿気てる。
スーツを着たお兄さんがぐっすり眠りこけていて
お兄さんが床に落っことしたままの傘を
ランドセルを背負った2人組の片っぽの少年が
そぉっと拾って席に置いてくれた。
お兄さんは変わらず眠ったままだったので
ありがとう。
と、代わりにお礼しました。
それからしばらくして
なにか話し合っていた少年たちが
お姉さんに聞いてみよう。
と言って、
いま何時?
と尋ねてきたので、
お伝えしました。
2人の少年は自分たちのちょうどいい車両に移動していきました。
やさしい時間だこと。
それからまたしばらくして
お兄さんが眠りから覚め
傘を自分の方に引き寄せました。
そうしてちょっと携帯をチェックして
電車を降りて行きました。
何事もなかったような
ものすごく何事もあった時間。
室内は いたって穏やか。