漢方をやっている医者って,
やっぱりヒゲ生やした仙人みたいな人が多いの?
自分で薬草をゴリゴリすってるの?
こんな質問を受けることが時々ありますが,
いや,さすがに,それはないです

そんなわけで,漢方診療科をもっと身近に感じていただくために,
漢方診療科スタッフに不定期でインタビューをして行こうと思います
初回は,田原部長です
画:大田先生
―まず,漢方を志そうとしたきっかけを教えて下さい。
まずは,これから高齢化社会だから,お年寄りを診ようと思ったんです。
で,学生時代に部活の先輩から,バイトをしないかって言われて,行った先が和漢診療部で。
当時コンピューターが普及していなかったから,腎不全のお年寄りの,採血のデータをプロットしていくわけ。すると,悪くなっていっているデータが,漢方薬を入れた瞬間から,グーッと良くなってたりする。もうあと数ヶ月で透析だって人が,7年間くらい透析しないで済む。
よくわからないけど,何か漢方薬って効くんだなっていうふうにインプットされたんです。
それからしばらくして、その時の先生から、4人目の子供が生まれて大変だから夏休みにベビーシッターのバイトに来てくれ、と。家事やったり子供と遊んだり、先生から漢方の話を聞いたりして過ごして。
卒業する時に、進路の相談をその先生にして、お年寄りを診たいんならやっぱり漢方がいいんじゃないかって話になった。ちなみにその先生が、(前部長の)三潴先生。
―実際に漢方医になってみて、良かったと思う瞬間を教えて下さい。 この患者さんにはこの処方が良いかなって、悩んで考えた処方で、患者さんが劇的に良くなることがある。それが嬉しい。
―では逆にツライと感じるときは?
うーん、やっぱりアトピーとかでなかなか治らないのはツライよね。でも治らないアトピーは無いので。和洋折衷の治療をするときもあるし。漢方だけで良くなる人もいるし。ケースバイケースですね。
―先生の、好きな漢方薬を教えてください。 五苓散(ごれいさん)、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)です。
―座右の銘はありますか? 考えて解決することは一生懸命考えるけど、考えても変わらないことは考えない。
―趣味はありますか? 読書、特に歴史ものが昔から好きでした。
―では、尊敬する漢方の偉人は? 吉益東洞のような、新しい考えを引き込んだような人は尊敬に値すると思います。それまでの考えをぶっ壊した人なので、それが良いかどうかは別にして。ぶっ壊した人っていうのは、それなりに土台があるわけで。土台が何にもない人がむやみやたらにやったら混沌ですよ。自分の中にその処方の基本形がしっかりあって、そのうえで壊した時に新しいものが生まれるんじゃないかな。
そういう意味で言うと、正当な漢方を、いつまでも突き詰めていく。困ったときに、他の物に走っているとダメなんだろうなと思います。他のものは得意な人にお任せするっていう立場はあっていいと思います。
自分自身は漢方を推し進めていくっていうのが一つの使命。もう一つは、教わったものを、さらに自分の経験を上乗せして、後世に伝えて行くことかな。
―なるほど、どうも貴重なお時間をどうもありがとうございました。 急に言われて真面目に考えてしまいました(笑)
以上、田原部長へのインタビューでした。
突然だったにも関わらず、快く、そして真剣に答えてくださいました
普段はギャクで人を笑わせることが大好きな部長ですが、内に秘めている情熱が伝わってくるお話でした