アトピー性皮膚炎 | 飯塚病院 漢方診療科のブログ

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Hです。
暑い日が続きますが、当科を受診する方には身体が冷えている方が多く、夏場でも附子や烏頭を使っての温補治療が必要になる方がおられます。今回は、最重症のアトピー性皮膚炎で長年苦しまれてステロイド剤も効かなくなっていた方が、当科を知って受診・入院されました。電気温鍼(でんきおんしん)という冷えの検査兼治療機器によって、身体の中心部の冷えが強いことがわかり、附子(トリカブトの根、強力に温める作用がある)を用いた方剤で治療することで急激に皮膚の状態がよくなりましたのでご紹介します。

30代の女性。幼少時から全身性のアトピー性皮膚炎を指摘されていましたが、仕事のストレス等でさらに悪化しました。顔面は全体が赤く、全身に苔癬化(皮膚に苔が生えたように厚くなった状態)がみられ掻痒感が強い。倦怠感も相当に強く、日中休憩して息を整えないと働くことができません。入院後は附子を用いた倦怠感の強い方に用いる煎じ薬を内服いただきました。冷えが強く冷房にあたれないほどなので通常よりも附子を増量して使いました。ステロイド軟膏は入院中も続けてもらいました。
1週間後 顔面の赤みが薄くなり、顔の中心、口周りが正常色になりました。
     足の腫れが引きました。
     皮膚回復と水分代謝を改善させる散剤(生薬を粉末にして服用)を追加しました。
2週間後 顔は全体が正常色で、うっすら赤みが散在する程度に改善しました。
     電気温鍼で熱さを感じ冷えの改善が示唆されました。
     退院して外来治療へ切り替え。
これまで、あまりに冷えていたためステロイド剤を塗布しても改善しなかったものが、深部を温めることで治癒促進しステロイドにも反応するようになったものと考えられます。