Gです。
今回はY先生の症例です。
症例は30歳代女性です。ある年の9月に漢方外来を受診されました。
頭痛は、20歳頃からあり、市販の鎮痛剤を服用していましたが、9年前から病院を受診して治療を受けています。
頭痛は片側性でこめかみがギューッと痛くなり吐き気を伴う、拍動性ではない、睡眠不足や寝過ぎで増悪する、天気とは関係しない、疲れや人混み、人の体臭や香水を嗅いだときや月経時に増悪する、1ヶ月にトリプタン製剤を6回、解熱鎮痛剤を週に2~3日服用するとのことでした。現在は頭痛時のトリプタン製剤や鎮痛剤の他、予防薬を1日に3種類、7錠の薬を服用されていました。
痩せ型で顔色は青白く、首や肩の凝りがあり、手足は冷たい。漢方の診察では、手首の脈と舌とお腹を診ます。脈は橈骨動脈の幅は細く、舌は浮腫んでいて辺縁に歯型がついて波型をしていました。腹部は上腹部を軽く叩くとチャポチャポと水の音がしました。また左のふくらはぎに内出血の青あざがありました。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯を処方したところ以下のような経過となりました。
・4週間後、頭痛が少し減り、トリプタン製剤が6回から2,3回に減少
・8週間後、落ち着いている、解熱鎮痛剤を飲む頻度が減った
・12週間後、普通の頭痛はほとんどない、これまでは頭痛は3日間続いたが持続しなくなった
・翌年の6月は漢方薬だけで解熱鎮痛剤やトリプタン製剤は飲んでいない
・その年の9月は漢方薬を飲まなかったところ、処方してもらったトリプタン製剤を全部服用しなくてはならなかった
当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、漢方薬の中で一番名前が長いのと苦くて飲みづらいものです。頭痛に効果のある呉茱萸が配合してあります。手足が氷のようにつめたく、冬にしもやけが出来たり、レイノー症状と言って指先の色が変わったりするときに処方します。また月経痛に頓服でも使用します。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯で、調子の良いときはその他の薬を飲まなくてもよいくらいになりました。