ブログ用原稿
テーマ:和漢食料理教室
Gです。
7月26日に和漢食料理教室がありました。
今回は、このときのことについて書かせていただこうと思います。
献立は
・玄米ごはん
・なすのあんかけ(なす、人参、とうもろこし、大豆、なめこ、ピーマン、割り醤油、昆布だし、片栗粉)
・卯の花(おから、小松菜、干し椎茸、人参、ごま、割り醤油、昆布だし)
・かぼちゃサラダ(かぼちゃ、干しブドウ、梅ぼし)
・味噌和え(刺身こんにゃく、海藻サラダ、オクラ、片栗粉、味噌、酒)
です。
和漢食とは、日本伝統の精進料理や漢方医学的な考え方をもとに、昭和の漢方医である小倉重成先生が考案された食事です。
その考え方は以下の通り。
1.体を温める食材を使う
食材を体を冷やす陰性食品と体を温める陽性食品に分類します。
陰性食品は生もの、冷たいもの、砂糖、酢
陽性食品は火を通した食べ物、天日に干したもの、漬物(古漬)、温かいもの
2.菜食(動物性食品を避ける)
3.精製したもの、精白したもの、加工食品は避ける。精製油は使わない。
4.少食が基本
以上の考え方に基づいて調理し、以下の点に気をつけながら食べます。
・咀嚼玩味(よく噛む)
・玄米ご飯とおかずは別々に食べる
・汁まで飲む
これらのことに気をつけながら食べると案外満腹感があるので驚きます。
また、料理教室や治療食の検食で食べる和漢食は味付けや彩りに気を配ってあり、私個人としては「美味しい」と思います。
食材が限られてきますので、調理の腕と献立の立案が重要です。
興味がある方は小倉重成先生の著書
・無病息災の食べ方(緑書房)
・自然治癒力を活かせ(創元社)
を読んでみられてはいかがでしょうか。
私はこの2冊を読んでみて、気合の入った食事だと感じました。そして、
これを「自分で」、「おいしく」作るのは難しいと思いました。
病気で苦しんでいる方で、食事が病態に悪影響を及ぼしている方には良い「治療食」だといえます。
調理のコツを知るには定期的に和漢食の作り方を教えてくれる料理教室があれば良いのですが、当科の料理教室は年4回のみです。参加人数も限られるためお断りすることもあり、一般的な料理教室と比べると手の届かないところもあるのかなと思います。
ここでおススメなのが、DVDの映像資料です。
全4巻で季節に合った和漢食作り方が学べます。
http://aih-net.com/activity/associa/wakansyoku/wakandvd.html
ご興味があるかたはお問い合わせ下さい。
さて、料理教室では色んな質問を受けます。
よくあるのが「先生はいつもこのような食事を心がけられているのでしょ?」です。
これはお坊さんに対する「酒肉を断って精進料理で生活をされているのですね?」という質問に近いでしょうか。
「和漢食は治療食なので、厳密に実践するのは覚悟と根気が必要です。現在、治療食が必要なほどまでは病気でお困り出ない方は、そのコンセプトを理解していただき、日頃の料理に活かしていただければ健康的な食事に少し近づくのではないでしょうか。」と苦いお答えをしています。
今回はこのような質問もいただきました。
「貧血の人は玄米を食べてはいけないといわれましたが、そうなんですか?」
これについてはちまたでは次のような意見があります。
「玄米や大豆に多く含まれるフィチン酸という成分が、体内では鉄やカルシウムなどのミネラルと結合して、これらのミネラルを体外に排泄してしまうのではないか。もしそうであれば鉄不足を招き、貧血が進行するかもしれない。」というもの。
しかし、次のような反対の研究結果もあるようです。
「若い女性を対象として、フィチン酸を多く摂取すると、対照群と比べて血中鉄濃度が増加した。」というもの。
玄米と貧血の関係については今後の研究を待つほかないでしょう。
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