「しばらくはいいよ(笑)」

「だな」

「でもそういう出会いは
なんかうらやましい」

「お前達位やんちゃならよぉ、
これからそういう出会いが
山ほどあるよ」

「だといいけど(笑)」

「次の日俺を見たアカシは
ビックリしてたよ」

「なんで?」

「俺が坊主にしてたからだよ。
決意の証だよ。
気持ちも一から
やり直さないと
アカシには勝てねーって
思ったしな。
俺の頭を見てニッコリしてた」

「モテる計画台無しだね…」

「バカヤロウ(笑)
この頭でも意外とモテるんだよ」

「え!マジ?」

そう聞くと
こてっちゃんは堂々と言った。

「スマン。嘘だ」

俺はテーブルから肘を滑らせた。

「よし!
今日はこの辺にしとこうか。
寝る!」

「だね。こてっちゃん、
また話聞かせてな?」

「オウ!」

またゴミが溜まらないように
俺とワン公は
弁当のカラを袋に詰めて
玄関に向かった。

するとこてっちゃんが
寝転がりながら言った。

「そうだ!秀樹!
エロ本もっと持っていっていいぞー?」

こてっちゃんは
ワン公が服の下に
エロ本を隠し持っている事を
見破っていた。

「ヒョ…す、すいません」

「いいよいいよ(笑)持ってけ」

そう言って
むっくり起き上がると、
部屋の端に
積み上げられたエロ本を
スーパーの袋に詰め込んだ。

俺たちは
こてっちゃんの家を出て帰路についた。

「なぁワン公」

「なんだぁ?」

「腕…早く治るといいな」

「毎日煮干し食うから大丈夫だよ」

「俺らもよぉ、強くなろうぜ」

「強くなりてーよ。鉄矢さんみてーに」

「坊主もエロいところも
似てるんだからよぉ、
強さも似てくるよ(笑)」

「一言多いっつーの(笑)」

そのまま俺の家に帰った。
親父は居なかった。
ワン公は
ランドセルにエロ本をしまった。

今日は
何をして遊ぼうかと
ワン公に目をやると、
エロ本が読みたいのか、
腕が痛むのか
落ち着きがない様子だったので、

「今日は俺も寝るからよぉ、明日また学校でな!」

そう言った。

「わかったー!」

そう言うとワン公は
嬉しそうに出て行った。

エロ本が見たかっただけらしい。

俺はやる事が無くなったので
頭のポマードを洗い落とし、
腹が減ったので
冷蔵庫を開けた。

その時、
団地のすぐ下から

「フォン!」

という
バイクのアクセルを
鳴らす音がしたので
窓から顔を出してみた。


そこに居たのは美咲だった。

次回