「こてっちゃんはそれでどうしたん?」

「便所に連れてかれたよ」

「ビビった?」

「俺がビビるわけねーだろ
…ウソ(笑)
便所に入ったら
やんちゃな先輩方が
たむろしてたよ。
やっちまうしかねー
と思ったよ。
ニヤニヤしながら俺を見てたしよ」

「そういうのイライラする」

「ああ。何か用スか?
なんて言ったらよぉ、
いきなり髪の毛掴まれてよぉ、
ナメてんのか!?
なんて言われちまったよ(笑)
ヤっちまおうと思ったけどよぉ、
アカシとも
喧嘩しなくちゃいけねーからよ、
俺は聞いたんだよ。
ここシメてんの誰だ?
そいつとやらせろよってな。
どうせなら
一番上をブっ叩きたいだろ?」

「こてっちゃん…
やっぱずるい(笑)」

「そしたらよぉ、
赤髪野郎を
シメに行ったとか言うわけ。
オイオイ待て待て。
俺は眼中に無いんか?
って思ったらよぉ、
イライラして…」

「やっちまった?」

「ムフフ(笑)
俺を掴んでた奴を
思いっきりブっ叩いたよ。
そしたら前から後ろから
殴られるは蹴られるはで
散々だったよ(笑)
新しい制服がボロボロ(笑)」

「やられたの?」

「ボロクソにされながら
ボロクソにしてやったよ(笑)
勝ったと思って
便所を出ようとしたらよぉ、
生き残りが居てよぉ…
思いっきり便所のブラシで
頭ブン殴られるしよぉ(笑)
ほんと散々だった」

「勝ったんだ?」

「ああ。意地だよ意地。
そのまま屋上に向かったよ」

俺は拍手しながら
「さすが!」
と言った。

ワン公は完全に
羨望の眼差しで
こてっちゃんを見ていた。

「そんでそんで?」

「こっからがおもしれーんだよ。
ボロボロになった俺が
便所を出たら
人だかりになってたんだよ。
んで、
俺の様子を見るなり
人の波がサーっと
真ん中を空けるように引いてよぉ、道が出来た!」

「かっけー!」

「ムフフ(笑)
鼻血垂れ流しながら
堂々と真ん中を歩いたよ」

「皆汚くてよけただけじゃん(笑)?」

「お前はいちいち一言多いんだよ達也ぁ(笑)」

「そんでそんで?」

「屋上に着いた」

「お!いよいよ!」

「俺は一つ深呼吸して屋上のドアを開けたんだ」

次回
つづく