イースターが間近になっている。
季節は暗い冬から春に向かって急速に足を速める。
日に日に太陽は高くなり、草花も芽吹き始める。
昆虫も地から這いだすこの季節。
自分たちの王となるはずだったイエスキリストが、十字架で死んだのを目の当たりにした弟子たちは、どんなにか失望したことだろう。病人を癒し、盲目の人の目を開け、死人を生き返らすほどの力を持つイエス。ローマ帝国の植民地となっていたイスラエルで、イエスはさらに大きな奇跡でもって理想の王国を建て上げてくれるはずだ、弟子たちはそう思っていたし、そればかりではなく、そのあかつきには自分たちも王国の権力者となることを夢見ていた。
しかしイエスは死んでしまった。
「失望」
まさにそれは失望そのものだった。イエスが生きている時は勇気百倍だった弟子たちも、頼みの親分が死んでしまったら、権力を恐れてこそこそと隠れるしかない弱い存在だった。真闇だった。何の希望もなかった。
そこにもたらされたイエスの復活の知らせ。にわかには信じられなかった。とうてい信じられることではなかった。しかし主イエスは甦られた。
私たちが生きていくのに支障となる敵は多い。戦争になれば敵国。財産争いでは骨肉の争いになることもある。私たちは幼いころより多くの人と争って育つ。しかし私たちにとって最大の敵とは何だろうか。人と争って勝っても、戦争で勝利を収めたとしても、私たち人間はいつかすべて死ぬのである。死は誰にも避けられない。死こそ最終最大の敵なのだ。誰がこの死に打ち勝つことが出来るだろうか。
イエスキリストはこの死に勝利をした。死からのよみがえり。誰にも成し得ることが出来なかった死に対する勝利を我々に示してくださった。
聖書は私たちクリスチャンも、再び主イエスキリストがこの地上に姿を現す時、イエスのように死に打ち勝つことが出来ると約束している。私たちの最後の敵である死に対する勝利。それを示してくれた最初の復活がイースターなのである。
レンテンローズ
イースター前のひと月間を「レント」と呼ぶ。由来は省略するが、このレントの時期に咲く可憐な花。店頭では「クリスマスローズ」という名で販売されている。でも、実際のクリスマスローズ(ヘレボルス・ニゲル)は12月~1月にかけて開花する一種類のみ。レントの時期に咲くものは別種のレンテンローズ(ヘレボルス・オリエンタリス)である。クリスマスローズが白一色なのに対して、レンテンローズは様々な色合いが品種改良によってなされている。うつむいた咲き方が、失望し、うなだれていたイエスの弟子たちの姿を現しているような風情である。



