ふと思い出した。ずいぶん前のこと。
42歳の女性が「耳が痛くて…」と来院された。
耳鼻科では特に何も異常はないと言われたが
ということ。
その耳の痛みは、耳介筋の筋肉ロックだったので
ものの数分で無くなった。
「他に何か気になることは?」とお聞きすると
「実は右の肩が下がり切らなくて…」と。
見てみると、確かに右の腕が脇にくっつかず
45度ぐらい間が開いている。
2歳ぐらいの時に階段から落ちて肩を強打。
それ以来らしい。病院では何も出来ることはない
と言われて40年間その状態が続いている。
街を歩く時には右手にセカンドバックを持って
少しでも不自然さを隠すことをずっとしてきた
と話された。
詳しくは聞かなかったが、学生時代にはそれをいじられたりして辛い目にあったこともあるかもしれない。
「その肩、良くなるかもしれませんよ」
「本当ですか?」
「ちょっとやってみますね」
と、腕を持ち上げる筋肉の、三角筋、棘上筋
などの筋肉ロックを外してみた。
すると、腕と脇の間隔が少し近づいた。
「希望ありそうですね」
「ですね。嬉しい!」
流石に40年間拘縮=筋肉ロックしてきた筋肉は
簡単には緩んではくれない。
5〜6回は通ってもらっただろうか。
その頃には、ほぼ気づかないぐらいに
腕と脇の間が無くなっていた。
「ありがとうございます。本当はもう諦めていました。
でも、プールで水着になるのがずっと夢だったんです。水着だと手に何も持てないのでごまかせないから」
次に来院されたのは
ほぼその後の報告のためだったようで
「この前スポーツジムに入会して、プールに行ってきました。夢が叶いました」
と、本当に嬉しそうに話してくれた。
余計なお世話だとは思うが
上品で人柄も良いあの女性が、当時まだ独身だったのは、もしかすると腕肩に関するコンプレックスが
理由としてあったのかもしれない。
今頃どうしておられるのか。
幸せな人生を掴んでくださっていたら何よりだが
大切なのは、諦めない心。
それこそが、自らを助ける出会いを引き寄せる。
頭では諦めているようでも、心の奥底では
求め続けていたからこそ得られたものがある。
























