英国アンティーク好きにとっては見逃せない、パブについて。
 

イギリスに五万軒あると言われるパブ、都会にはもちろんのこと、田舎の小さな村に行っても、ちょっと探せば一軒や二軒すぐに見つかるほど。ちょっと一杯と言ってはパブに行き、何はなくともパブに行く、英国人の暮らしにパブは欠かせません。
 

そして昔からの歴史あるお店が今でもたくさん残っていて、パブは生きた英国アンティークとも言えるのです。

ロンドンから北東へ約100kmのサフォーク州にあるアンティークなパブを二つご紹介しましょう。
 

ストーク バイ ネイランド村は風景画家コンスタブルが愛したデナム峡谷の美しい自然の中にあり、広がるフィールドの向こうに遠方からでも見えるセントメアリー教会の高い塔が目印になります。

 

中世ティンバー様式の家屋が多い村のほぼ真中にあるパブ「エンジェルイン」は16世紀の建物です。歴史を感じさせる天井の大きな梁、使い込まれたテーブルや椅子、そして壁にはヴィクトリアン ペインティングが飾られています。

 

落ちついた雰囲気の中で薪が音をたてる暖炉の火を眺めていると、私はとてもアンティークな気分になります。

もう一軒のお薦めは同じくサフォーク州、チルスフォード村にあるパブ「フローズイン」です。こちらは静かな街道沿いに立つ、紅いチルスフォード煉瓦が特徴の15世紀後半の建物です。

 

中世のチルスフォードは巡礼者で賑わう二つの修道院の中間地点に位置していました。この旅篭が旅人に供した「フローズ」と言うパンケーキが評判で、いつしか旅篭の、そしてパブの名前になったのです。


【雪景色のフローズイン】


ご紹介したのはアンティークなパブだからと言うだけではありません、実は美味しいパブとして有名でもあるのです。英国では少し前までパブは飲む処であって、食べる処ではないと思われていたふしがあります。ところが近年は、アルコールばかりでは良くないというヘルシー志向の高まりや、食事も出した方がパブの経営上よいとの判断もあって、美味しいパブが増えてきました。

 

と言う訳でご紹介したパブはサフォーク州でもシーフードが美味しいと評判の二軒なのです。
 

この辺り一帯は海を隔てて隣接するオランダから、かつて移民を受け入れた影響で、地元では今も魚を好む方が多いようです。おかげでロンドンよりも手ごろな値段でおいしいシーフードが食べられるのです。 

またフローズインは二部屋だけのB&Bも兼ねていて宿泊も出来ます。パブマスターであるご夫婦はとても良い方たちで、気持ち良く過ごすことが出来ました。朝は鶏の鳴く声で目覚め、たっぷりのイングリッシュ ブレックファストを食べて英気を養いました。 
 

帰りがけになぜか色々な形のきれいなかぼちゃを御主人からもらったのには驚きましたが、(なぜ?と思わず聞いたら、照れくさそうにされて理由は分からずじまいでした。)これも田舎の人ならではのおもてなしなのでしょう。

 

御主人に聞いたレシピで、帰ってから家族で食べたら、お腹も心も暖まりました。
 

 

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