知性を磨くことの大切さ | igetahisayukiのブログ

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その人の知性が浮き彫りになりやすい時代になって来たなと感じる。
そして知性がないと大きなミスを誘発しかねない。
日頃から絶えず知性を磨いておけば、咄嗟の事態が起きても、誰かに頼ったりせずに自力で最悪な選択からは逃れることが出来るようになる。
 
ところが昨今の実態は、便利な時代になり過ぎただからだろうか。
個性や多様性を求めているにも関わらず、自分では選べないからと影響力の高い人の意見に頼る。
上手く行かなければ他責にする悲しい「依存」の状態でもある。
 
そんな輩にはなりたくないよね。
 
ただしここで言う「知性」とは、勉学で好成績を上げたり、高いIQを出すことを指しているわけではない。
端的に言えば、苦境に陥った時でもリーズナブルな行動の選択肢を列挙し、最適な判断をする能力のことである。
これからの人生は、間違いなく判断の連続となる。
 
人間は感情に支配されやすく、目の前の勝ち負けや損得で心が動揺し、その後の判断や行動まで影響されがちだが、そうなっても瞬時に理性を取り戻せる冷静さが大事である。
● ふと我に返り、俯瞰して見ることで目の前の出来事の大小を悟り、大勢に影響がないとか、ここは影響が大きいから慎重になろうとか、大局的に考えられる力
● 絶えず優先順位付けを行って整理された状態にしておき、何か変動が起きた時でも正しく優先順位の入れ替えが出来る力
● 最善と最悪のケースをいつも想定し、想定外を出来るだけ減らして、冷静な判断を維持する力
これが知性というものだろう。
 
 
つい数日前に、識者の間で面白い討論があった。
東京の「合計特殊出生率」(女性1人が生涯に産む子どもの推定人数)が0.99と1人を割ってしまい、47都道府県の中でも最低となってしまったことに対して、どう対処したら良いかというテーマだった。
日本に住む身としては、20年以上も前から言われていた少子高齢化の課題が数字となって顕著に現れた象徴的な出来事である。
 
ある3人の識者は、それなりの対策を一所懸命に述べていた。
ところが4人目の識者が、次元の違う発言をした。
東京の出生率にフォーカスして考えると対策を見誤るから、もっと俯瞰して日本全体で見る必要があると。
メディアに対しても、二度とこのような偏向的なテーマで質問を投げかけないで欲しいときつく言っていた。
 
データを見て判断する時、「絶対数」で見るべきか、「率」で見るべきか、またはその両方を加味して見るべきか、知性を持って判断せねばならない。
この出生率のテーマのケースでは、「率」で都道府県別に比較してしまった。
首都の出生率が1を切ってしまったことは、危機意識を強める意味でとても大切な指標になるが、対策を練る際には、もっと俯瞰して見る必要がある。
東京都の人口は他県と比較するには母数が圧倒的に多いので、単純に「率」で比較するには危険である。(母数が圧倒的に少ない他県では、率のブレ幅も大きくなり精度も下がる。)
母数が極端に違うものを「率」で比較すると有意性が下がる。
そして子供を産んだ女性はその地域に残りやすく、そうでない女性達が東京に移住する傾向があることから、出生率の低下を東京都だけの切り口で考えてしまうと、判断を誤ることになる。
 
新聞や雑誌、ニュースでこういう煽りネタを見ても、流されずに独自に判断出来る知性を備えたいものだ。
 
逆に「絶対数」ではなく「率」で見るべき時もある。
 
私が最近の講演ネタでよく使う例え話だ。
1万人の村があったとして、ある感染症が流行ってしまったとする。
残念ながら3,000人が感染してしまったとして、内訳がそのうち1,000人がワクチンをまだ打っていなかった人、2,000人がワクチンを打ったにも関わらず感染したとする。
この時、このワクチンはこの感染症に効かなかったと判断すべきか、有効だったと判断すべきか。
知性がある人は、この数字を見た時に、そのまま鵜呑みにせずにまず母数を気にする。
例えばワクチンを打った人が8割だったとする。
そうすると感染率は、ワクチンを打たなかった人2,000人に対して1,000人の感染だから、2人に1人は感染したことになり、ワクチンを打った人8,000人に対して2,000人の感染だから、4人に1人が感染したことになり、このワクチンは有効だったと結論付けることが出来る。
同じ数字でも見方で結論は真逆となる。
 
 
知性は、人を見る目にも影響する。
信頼すべき人を間違えたり、加入するコミュニティを間違えたりすると、未来においてとんでもないしっぺ返しを食らうことになる。
そしてここが大事なのだが、見る目がないことは、周りから「知性がない人」と見破られてしまうことにもなる。
 
だから普段から怠けず、知性を磨こう。
幸運なことに、体力と違って、年齢に相関せずに能はずっと成長させることが出来ると最近言われている。
依存、群れる、他責といった「楽」な体質から抜け出して、自分から常に能動的になれるよう精進しよう。
 
大事なことは、人に流されずに自分なりに納得出来るロジックを立てて選択することだ。
こうすることで応用が利くようになる。
咄嗟の時に間違えない判断が出来るようになる。
 
 
話が脱線するが、実は「知性」の他にも、「品格」と「忍耐力」も大切だ。
 
せっかくの知性を我欲のためにしか使わない人もいるからだ。
品格を言葉で説明するのは難しい。
私なりに敢えて定義するならば、品格は、周りへの配慮や気遣い、優しさが自然と出る人が持つ、雰囲気みたいなものだ。
 
知性があって品格もあるのに、達成前に挫折する人も多い。
「若いうちの苦労は買ってでもせよ」とよく言われるが、忍耐力を養っておけば苦境で大いなる武器になる。
逆境への耐性を日頃からつけておきたいものだ。
 
さてこちらの話をするとさらに長文になるので、また別の機会にでも。