5月3日に府中市民球場で行われた都市対抗野球大会東京都1次予選、REVENGE99×西多摩倶楽部の観戦記です。
Hondaの東京移籍に伴い、都市対抗東京予選の方式も変更となり、企業登録8チームは1次予選を完全免除、1次予選はクラブチームのみで行われ、2次予選に2チームが進出できることになります。
観戦した試合はどちらも初見のチーム。筆者の備忘録も兼ねてまずは両チームの紹介を。
REVENGE99は東京都足立区の自動車整備工場が運営母体のクラブチーム。社長自身が修徳高から実業団までプレーし、プロ球団の入団テストも2次テストを通過した実力を持ちながら、実父が病気で倒れたため家業の自動車工場を継いだ経歴を持っており、1998年にチームを創設。当時の流行語だった「リベンジ」をチーム名に冠し、「REVENGE『再び挑戦する』」を合言葉に活動し野球で挫折を味わった選手が所属することも多いようです。
対する西多摩倶楽部は1998年の創部。2004年からは元ドラゴンズの谷沢健一氏を監督に迎え、同年の都市対抗2次予選では明治安田生命を降す金星を挙げる活躍をしました。その後谷沢氏は故郷の柏市にYBC柏を立ち上げるためにチームを離れましたが西多摩地区の硬式野球継続先として、拠点のあきる野市で大会を開催するなど東京都のクラブチームを引っ張る存在です。
<スタメン>
【先攻:REVENGE99】
①ショート 日小田
②レフト 菅藤
③ライト 三井
④セカンド 髙田
⑤センター 水野
⑥サード 小林
⑦キャッチャー 門間
⑧ファースト 三上
⑨DH 津川
先発ピッチャー 石川
【後攻:西多摩倶楽部】
①ショート 石井
②ライト 伊藤
③ファースト 佐藤(大)
④DH 片居木
⑤センター 鈴木(翔)
⑥サード 宮寺
⑦レフト 下田
⑧セカンド 武元
⑨キャッチャー 楠木
先発ピッチャー 甲斐
<試合概況>
先制したのはREVENGE。1回日小田、三井のヒットでチャンスを作ると、4番髙田が三塁線を破る適時打を放ち、2点を先制します。
REVENGEは3回にも敵失で1点を追加しますが、西多摩は4回に反撃。1番石井が内野安打で出塁、盗塁を決めると2番伊藤に適時二塁打が出てまず1点。
さらに6番宮寺にも適時打が出て、1点差に詰め寄ります。
しかしここからREVENGEが地力の違いをみせます。
5回表、先頭の代打山﨑、1番日小田の連打でチャンスを作ると、2番菅藤がライトへ適時三塁打を放ち2点を追加。
さらに7番門間にも適時二塁打が出てこの回4点のビッグイニングとします。
REVENGEは6回、7回にも加点しコールド要件が成立。5回以降は継投で西多摩打線を寄せ付けず10-2の7回コールドで勝利しました。
<注目選手など雑感>
チーム名の通り「再び挑戦する」選手が多いREVENGE。先制打の4番髙田は神奈川大→日立製作所とプレーしていた経歴を持つ選手。
日立でのプレーは2018年までの3年間でしたが、クラブチームで「REVENGE」。企業チームでプレーした経験が生きているように思います。REVENGEには水野(トヨタ)、三上(パナソニック)など強豪企業チームでプレーした選手が多く、他のクラブチームに比べて実力が高い要因になってますね。
この試合3安打をマークした門間も企業チームからの転籍組ですが、こちらは苦労人。
千葉の清和大から深谷組でプレーしていましたが、深谷組が休部となりREVENGEへ。内野手もこなすようですが、下位打線に勝負強い打者がいることは心強いですね。
そしてチーム名を最も体現しているのが2番手で登板したこの投手。
小屋裕という名前を憶えているアマ野球ファンの方もいらっしゃるのではないでしょうか?162㎝と小柄ながら150キロ近いボールを投げ込み、大商大→パナソニックとプレーしドラフト候補にも挙がった投手。2020年の都市対抗野球を最後にボートレーサーを目指し、パナソニックを退社。最後の都市対抗登板試合は筆者も観戦し、その際にはボートレーサーへの転身が報道されていたため印象に残っていましたが、その後が波乱万丈だったようで…。
パナソニック退社後に受験したボートレーサー養成所の試験は最終試験で不合格、半年後のチャレンジも失敗に終わり、次に目指したのがジョッキー。乗馬経験もなかったにもかかわらず兵庫園田競馬の厩舎で調教厩務員として働きながらジョッキーを目指しましたが、ヘルニアを発症しジョッキーの夢を諦めざるを得なくなってしまったとのこと。そして現在では野球教室の講師として働きながら、クラブチームで野球を再開しているとのこと。まさに「REVENGE」人生ですね。
REVENGEはその後も勝ち抜き、2次予選の進出を決めました。2次予選ではHondaと対戦することになりますが、小屋を中心とした「リベンジャーズ」たちが企業チーム相手にジャイキリを果たすことに期待したいですね。
敗れた西多摩倶楽部は地力の差を見せつけられた形になりましたが、印象に残る選手もいました。
1番の石井は俊足を活かし3安打をマーク。
得点にはなかなかつながりませんでしたが斬り込み隊長として役目を果たしました。
ベテラン選手がプレーを継続するのもクラブチームの大きな特徴。4回に適時打を放った宮寺は今年38歳のベテラン。
まだまだベテラン健在をアピールするかのバッティングを見せてくれました。西多摩は都市対抗予選は敗退となりましたが、クラブ選手権予選では準決勝まで勝ち残っていますので、関東最終予選、本大会出場目指してほしいですね。
REVENGE992010412=10
西多摩倶楽部0002000=2
<7回コールド>
(R)石川、小屋、北出―門間
(西)甲斐、山下、川島(慶)-楠木
【勝利投手】小屋
【敗戦投手】甲斐
【三塁打】
(R)菅藤
【二塁打】
(R)髙田、門間
(西)伊藤