鮟鱇(あんこう) | 侘寂伝文(わさびやブログ)

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本鮟鱇 (キアンコウ/ホンアンコウ Lophius litulon)山口県下関漁港 60㌢/7㌔ 

世界中に分布する16科300種のうち 太平洋や日本近海で水揚げされ食用とされてきた“キアンコウ” 一般には“アンコウ”の呼称でお馴染みです 少しややこしいですね アンコウ類はタラの近縁種で水深500㍍までの深海に生息する深海魚 擬餌状体という誘引突起による待伏せ型の摂餌法をとる魚です 

 
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河岸では通常 写真のように腹を上にして売られています これは肝が重宝されている故 

 

江戸時代は“三鳥二魚(鶴/雲雀/鷭/鯛/鮟鱇)”と呼ばれる5大珍味の1つに数えられ 歴史的にも名高い高級食材でした 当時から鮟鱇は七つ道具[身肉.頬肉/皮/水袋(胃)/肝臓/ヌノ(卵巣)/えら/トモ(ヒレ)]が鍋料理として食されています 淡白で低カロリーですが 特に肝はビタミンA/ビタミンB12/ビタミンD/DHA/EPAなど豊富で栄養価が高い事で知られています 

 
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「アンコウは吊るして捌く」とよく言われますが 骨や関節が柔らかく刃が入れ易いので10㌔までの個体ならまな板で捌いた方が仕事が早くスムーズです 鮮度の良いものほど表面のぬめりがきついので手袋必須 

 

冬季の魚介はとらふぐや本くえなど脂を豊富に持ち 仕入れ後下処理し調熟(身を寝かす事)する素材が

多い中 マダラやこのアンコウは鮮度落ちが早いため迅速な水洗い/下処理が必要不可欠です 

 
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わさびやでは割鮮で食せるアンコウのみを取り扱うので 肝も割鮮で提供します 

 
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身質は柔らかいながらも噛み応えある上味部 湯引きした皮とのアクセントも美味 

 
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さっぱりした感触は油に通しても楽しめます 酢立より檸檬の酸味の方が愛称良いようです 

 
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あんこうの“七つ道具”と野菜類 嘴(くちばし)は食するというよりお客様へのパフォーマンスで 

 
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勿論 締めの雑炊も美味 アンコウの淡泊な身質を考慮して昆布は控えめに挽いています 

 

底曳網漁の最盛期が毎年1月~2月下旬で 春前には肝が縮小するため春にはあまりお勧めはしません 

国内水揚ものは通年で食せますが 産卵前の7~9月辺りは禁漁期間になっています