小豆(丹波大納言) | 侘寂伝文(わさびやブログ)

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小豆 荅  (アズキ Vigna angularis) 

 

マメ科ササゲ属の一年草 原産は東アジア(中国) 日本には紀元607年/推古天皇期に隋朝から伝来されたといわれる作物で(縄文遺跡から発掘されていますが) 古事記や日本書紀でもその存在を確認できます “小豆”という漢字が充てられていますが読みは“ショウズ”ではなく“アズキ” この事から大和言葉(和名)であると考えられています 当時のアズキは霜害を非常に嫌うため作付が難しく 限られた地域でしか栽培が出来なかったそうです 

 

他の豆類同様“高蛋白低脂質”で 良質な蛋白質の他に亜鉛などのミネラル分 豊富なビタミン類(B1/B2)やカリウム/リン/鉄/食物繊維 表皮にアントシアニンと幅広く栄養価を含んでいます 

 

ビタミンB1/B2は“ビタミンB複合体”と呼ばれ 体内で糖質(でんぷん)や脂肪を分解しカロリーに変換するのに不可欠な栄養素で これが不足すると体がだるくなったり無気力になったりするため ビタミンB複合体に富むアズキは心身にとって元気の素ともいえます この他“サポニン”という独特の成分が含まれ 咳を鎮めたり痰をとる作用/二日酔い/利尿作用によるむくみ防止/便秘/母乳の分泌増進などに効果があると言われています 

 

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アズキに含まれる豊富な食物繊維は食物の腸内滞留時間を短くしたり インシュリン分泌を正常化するなど 肥満や糖尿病/大腸ガンなどの予防に効果があるといわれています 便秘には“バナナのフン型便秘”と“ウサギのフン型便秘”という2つのタイプがあります バナナ型便秘は胃腸のぜんどう運動が低下した時におこる便秘で ウサギ型便秘は神経性/ストレスが原因とされています 野菜サラダは便秘に効くといわれていますが それは居眠りしていた腸を呼びさますというバナナ型便秘の解消法 逆にストレスで充満した胃を抱えたウサギ型便秘にはかえって逆効果です ウサギ型便秘には生の食物ではなく加熱したものをとる必要があるので アズキは両方の便秘に効果的です 

 
これまで食物繊維は人間の消化酵素で分解できない食物中成分で 栄養面ではあまり重視されませんでした 近年食生活変化によって繊維質の摂取量は減少傾向にあります 昭和26年当時と比較すると約23%も減少した調査結果もあります 現在は食物繊維が人体に有効な働きを齎す事が見直され アズキの効用が注目されています 

 
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古代には食物より寧ろ薬として重宝されていました アズキ外皮に存在する“サポニン”成分は溶血作用があり 血栓を溶解する働きがあります 昔の人はお産時に出来た血栓が体内を巡って心臓や脳でつまらないよう 産後の肥立ちが悪い女性に“あずきがゆ”を食べさせるのが慣習化していました また多く含まれる鉄分は血液の原料でもあるので その供給にも有効でした 他成分としてカリウムに利尿作用/便通/緩下剤としての効果があります またアズキの煮汁には紅茶の色素と同様の“D-カテキン”が含まれ 体内の過酸化脂質を抑え 発ガン抑制効果もあります D-カテキンはポリフェノールの代表種でポリフェノールと言い換える事もできます サポニンにも抗酸化力があるといわれています 

 
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丹波大納言小豆 

丹波大納言小豆は兵庫県/京都府で古くから栽培される 在来希少品種の大粒小豆です 収穫期の豆莢色にその特徴があり それぞれ“白さや/茶さや/黒さや”と地元で呼ばれ それらを“丹波大納言小豆”と総称しています 年間収穫量は600㌧以下で大産地/北海道の年間収穫量6万㌧に対し1%未満と僅かです 北海道大納言小豆が量産型で寒中で育つよう豆皮が厚いのに対し 丹波大納言小豆は小収量型で豆皮が薄く大粒なのが特徴です 実際単価も倍ほど違います 

 

全国の老舗和菓子専門店は丹波大納言小豆が大粒で風味/香りの点で優れている事から 年によって収量と価格に多少の変動があっても 変わらず丹波大納言小豆を原料として使用する所が多いそうです 

 
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大納言小豆発祥之地 

宝永二年(1705) 石碑が建つ地(現在の兵庫県丹波市春日町東中)で採れる高品質の小豆に着目した亀山藩主/青山下野守が(後に篠山藩に移封) 精選した小豆一石(粒15㌔)を幕府に献納したところ 幕府はそれを京都御所に献上したそうです 「丹波産の小豆は形が崩れ難い 皮(腹)が割れ難い」 御所のやんごとなきお方はその特徴を見て“大納言小豆”と命名されたそうです 大納言は天皇の政務を助ける正三位の高位階級で 「殿中で抜刀しても切腹は免れた」という役職の特権が命名の由来になっています 

 

以来 明治維新に至るまで御所に献上された小豆はこの地で産するものでした 明治20年代には丹波大納言小豆の組合が出来 合資会社で販売した時代もありましたが綿花栽培に押され次第に衰退し 自家用として細々と栽培されていたそうです 終戦後“大納言”を冠した小豆は全国各地で生産されるようになり 現在は北海道が全収穫量の8割と相場を左右する大産地になりました 
 
丹波大納言のあずきー   丹波小豆マスコットもちゃんとあるんですね…