減り行く料理の“さしすせそ”消費 | 侘寂伝文(わさびやブログ)

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外食の普及や共働きの増加を背景に 料理の五味「さしすせそ(砂糖.塩.酢.しょうゆ.みそ)」消費量が減っている 食酢最大手のミツカンでは食酢の売上げが納豆に抜かれたほど 各メーカーは味付けの済んだ「つゆ」やレトルト調味料で消費者離れを防ぐのに苦心している 
  
納豆に抜かれた食酢  
  
ミツカングループ本社(愛知県半田市)2011年度決算で「世代交代」が起きた 1804年の創業以来200年以上に亘って同社の売上げを引っ張り 代名詞的存在だった家庭用食酢の売上げを後発の納豆が初めて超えたのだ 

   

創業者の初代中野又左衛門氏が江戸でブームの兆しがあった握り寿司に目を付け 半田市で酢造りを始めたのがミツカンの始まり 他社を買収して納豆事業に本格的に参入したのはそれから190年近く経った1997年だった 
  
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創業以来初めて食酢の売上げを超えたヒット商品の納豆「金のつぶ」 
    
納豆事業では「金のつぶ」ブランドなどを展開 酢の発酵技術を生かして“におわない”をアピールし人気商品となり 2011年度の売上げは前年度比11%増の235億円で過去最高を記録した 一方家庭用食酢や飲用酢などの関連商品は6%減の220億円だった 
  
外食や共働きが影響  

味付けの「さしすせそ」と呼ばれる砂糖.塩.酢.しょうゆ.みそは何れもも大きく消費量が減少 基本的な調味料の売上げが後発の商品に抜かれる逆転現象は他の調味料メーカーでも起きている 
 
しょうゆ業界最大手のキッコーマン(本社/千葉県野田市)の2011年度国内売上高は 本業のしょうゆが464億円に対しつゆやたれなどの食品事業が563億円と上回る 愛知県岡崎市に本社を構えるみそメーカー/マルサンアイでは2011年決算でみそ事業の売上高が57億円なのに対し 豆乳飲料事業は135億円と倍以上になっている 
  
「外食や弁当.お総菜が普及した」「共働きの家庭が増えて調理簡易化の要望が強い」「減塩や甘さ控えめのヘルシー志向が強まった」と各メーカーの意見 その結果 調味料を買っても使い切れない複数の調味料を使う味付けのあんばいが分からないといった人も増えますます基本の調味料離れが進む悪循環だ  
  
「さしすせそ」に代わって年々売上げを伸ばしているのが砂糖.しょうゆ.だしなどを混ぜた「つゆ」.焼き肉やしょうが焼きなどの「たれ」.各種の「スープのもと」といった味付けの済んだレトルト調味料だ ミツカンは鶏肉や豚肉と一緒に煮たり焼いたりするだけで完成する酢入り調味料「酢こやかキッチン」シリーズを今春発売した 
    
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左)肉の脂っこさを和らげ旨味を引立てる肉料理用に特化した食用酢  
右)ミツカンの代名詞的存在 食酢の一つ“穀物酢”
  
   
とはいえメーカーも食酢そのものに手を抜いている訳ではない 最近力を入れているのはTVCMや会社HPでのメニュー提案 「しょうゆやみりんに比べ お酢をどう使えばいいかわからない人が多い」ため 酢の使用例を紹介して消費を喚起したい考えだ  
  
基本の味も大事にして  
  
「手前みそ」と言う様に 同じ料理でもちょっとした匙加減の違いで各家庭の味が存在した 

料理を教える時 「我が家は全部めんつゆなのですき焼きも肉じゃがも同じ味でした」という意見が増え 砂糖の甘さと酢の酸っぱさの違いが分からない 若い世代の人達が多いのには危機感を覚える 味付けされている調味料は確かに便利だが 基本となる味も大事にして貰えればと切に願う