
著者: 大前 研一
タイトル: チャイナ・インパクト
今月中旬に上海に旅行に行くので、気になっていた大前研一氏の「チャイナ・インパクト」を読みました。2002年の3月に出版されたものです。
製造業はもちろん、ソフトウェア開発会社のクライアント先の多くもいまや当たり前のように中国に進出しています。
私は、中国のことはまったく知識がなかったので、かなり勉強になりました。
2000年ごろ市場にMade in China製品が溢れ返り、日本産業の空洞化や中国が脅威であるという危惧が叫ばれていた。しかし、恐れられている中国の本当の姿を見つめ、逆に中国を利用しないと日本は生き残れないと説いています。
現在の中国の現状は、かつての共産党が主導する中央集権国家である巨大国家たる中国はもはや崩壊し、朱鎔基が首相になってから始めた改革により、経済面では地方に権限が委譲され、実質的には連邦制の統治機構になってしまっているのだ。
その中でも特に発展し、経済的な自立を果たしてるのが以下の6つの地域であり、それぞれが独自性を持っている。そもそも大国である中国を一つの国と思ってはいけないのである。これらの地域は互いに競争しながら、外資系企業を呼び込み、その力を借りながら経済発展するという、いわゆる貸席経済で伸びてきたのである。
<中国経済を牽引する六地域の特徴>
『東北三省(大連、瀋陽等がある遼東半島地域)』
国有企業を中心とした重工業地帯、日系メーカーの誘致が盛ん。地理的要因や過去の歴史から朝鮮半島や日本との関係が深く、日本語を話せる中国人が7万人もいる。最近では日本語を武器としたコールセンター業務、ハイテク分野へシフト。
『北京・天津回廊(北京、天津)』
ソフトを中心としたIT分野の研究・開発拠点の集積地域。有名大学が多く、米国留学帰りの創業者も多いことから、最も優秀なエンジニアが集まる。IBM、マイクロソフトなどの世界の最先端企業の研究所がある。
『山東半島(青島)』
冷凍野菜、加工食品の産地。日本向けの野菜の栽培に適し、日本商社による計画栽培が盛ん。加ト吉も冷凍食品工場を多く持っている。
『長江デルタ(上海、蘇州)』
いわずと知れた中国の金融、商業の中心地。携帯電話、ノートPCの半導体製造業など技術力の高い製造業が集積。エリクソン、シーメンス、NEC、日立、SONY、松下、東芝なども工場や拠点を構えている。
『福建省(アモイ、福州)』
台湾との結びつきが強い。工業製品だけではなく山東省に並び農産物(中国茶)の輸出拠点となっている。ナイキやデルの工場がある。広東省に次いで華僑を多く排出した地域でもある。
『珠江デルタ(広州、香港、深圳、東莞)』
香港島とその裏側に位置する地域。世界最大のパソコン産業集積地であり、IBMやデルなどの世界の主要メーカーが出揃っている。また、香港や台湾系企業を中心に6万社もの下請部品加工業者を有し、電子部品、機械部品の一大サプライチェーン地域となっている。すべてがここで揃うのだ。華僑の故郷でもあるため、華僑資本がかなり入っている。
上記の6つの地域にはそれぞれ6000万人から1億4000万人ほどの人口規模があり、近い将来個々の地域だけでも日本を脅かすほどの経済成長を遂げるであろう。
東京⇔北京と言う現状の国レベルの外交をやめ、地域レベルでの交流を深めていかないと日本の将来はない。そのためには日本も東京一極集中の中央集権管理を捨て、道州制へと移行すべきと説いている。