十月の献立 魚介類編 その2 | 蝶に魅せられた旅人

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蝶と食いもんの話しが主です。


魚介編の第二弾である。

【アオリイカの刺身】


前回にも登場したが、前は刺身として売っていたものだが、今回は丸々1杯である。
さばいたら、先ずは刺身である。甲の部分を縦に切った。オラは歯応え重視だからね。だから包丁で細かく切れ目も入れていない。切れ目を入れて横に切ると、食感が柔らかくて甘みが強くなる。でも、あまりにも柔らか過ぎると、口の中で直ぐに溶けて無くなってしまう。一方、口の中でよく噛んで食べると、歯応えも楽しめるし、甘みも長く味わえるのだ。

塩をつけ、カボスを絞って食う。
😍甘〜い。やっぱアオリイカこそが、イカの王者だ。


ゲソと烏口、耳も刺身で食う。
それぞれに食感が違い、楽しい。


イカ墨と頭の軟骨をオリーブオイルでサッと炒めてみた。旨いねぇー。白ワインが欲しくなる。

量が多かったので、翌日も食った。



今度は、やや細く切ってみた。
その分、舌が甘みを感じるのは早い気がする。


コレは甲と耳をミックスしたものだね。
途中から混ぜて食う。噛み始めると、色んな食感が混じり合って楽しい。

 
【シビマグロの塩締め】

まだまだ塩締めブームは続いている。
鹿児島産シビマグロとパッケージには書いてあったが、このシビと云うのが未だによく解らない。正式名としてのシビマグロと云う種類はいないようで、キハダマグロの幼魚をそう呼んだり、はたまたクロマグロの幼魚の事を呼んだりもするみたいなのだ。ワケわからん。謂わばマグロ界のヌエ(鵺)みたいな存在なのだ。そもそも江戸時代には、マグロ類をひっくるめて「シビ(紫尾)」と呼んでいた。だから、その呼称が地方にも波及し、このように各地方で独自の呼び名として残ったらしい。

今回は、薬味として山ワサビを添えた。
味は普通に旨い。赤身だから、キバタかクロマグロの幼魚だか判りにくいが、たぶん色は少し濃いめで旨みがあるので、クロマグロの方だろう。
でも、更にややこしいかったりもする。クロマグロの幼魚をメジマグロ(主に関東)と呼んだり、ヨコワ、ヒッサゲマグロとも呼んだりするから、もう混迷の極みだ。自分的には、メジとかヨコワ、ヒッサゲよりも小さいのをシビと定義してくれたら、解りやすいと思うんだけれどもね。それと関西ならば、小さいものから大きい順にシビ➡️ヨコワ➡️ヒッサゲ➡️クロマグロ(本マグロ)で固定して欲しい。幼魚ではヒッサゲクラスが一番旨いからね。それが幼魚全てをひっくるめてヨコワになってるケースが多いから、そのへんをシッカリ見極めなくてはならんのだ。マグロ類やカツオは、小さいのは美味くないんである。

 
【焼き塩サバ】


昆布鯖ではなく、普通の塩サバを焼いたもの。
普通の塩サバの方が、サバらしい風味がある。昨今の昆布鯖ブームって、如何なものか❓別に昆布鯖が悪いって言ってるワケではない。それはそれで有りだとは思うからだ。でも、最近は昆布鯖に陣地を取られて、あんまり普通の塩サバが売ってないのである。

 
【サンマのなめろう】

小さいサンマだったので、おろしたら、身がグチャグチャになった。小さいサンマなんて買うもんじゃない。
なので、包丁で叩いて、生姜、味噌、醤油、ネギを加えて混ぜた。
けど脂が無くて、いっこも旨ない。

なので、オリーブオイルを加えて、一味をかけてみた。


が、ちっとも旨くない。
ならばと、焼いてポン酢をカケてやった。


どうにか食える代物になったが、けっして褒められたモノではない。
ホンマ、小さいサンマは二度と買わん💢❗

 
【天然ブリの塩締め】


旨みがあって、臭みもない。養殖は脂が乗っているけど、臭いのだ。あの妙に白いのは、天然では寒ブリ以外ではないのだと思う。本来は赤みがあって然りなのだろう。

途中から、柚子胡椒と醤油で食べた。旨い。コッチの方が良いかも。見た目よりも脂があるのだ。この時期のブリは、筋肉(赤身)と脂身のバランスが一番良い時期なのかもしれない。

 
【蛸の塩かぼす】

お笑いコンビの、かまいたちの濱家が通っていた店のメニューがヒントになった。茹で蛸を塩締めして、レモンを添えたものだった。でも、塩締めそのままだと、やや生臭みを感じた。レモンをかけて⭕。
なので、できるだけ鮮度の良い茹で蛸を選び、塩をしてカボスをかけた。
正解だった。有りそうで思いつかなかった御手本に感謝である。

 
【マグロのツラ身の塩締め】


大国町は摂津卸売市場で見つけた食材である。マグロの頭の身ですな。
鮮度は良さそうだったし、刺身用とは書いていなかったけれども加熱用とも書いていなかったので生使いにした。
見た目、脂が乗っていそうだったが、意外とアッサリ味だった。味にパンチがないのだ。食感は肉っぽい。

飽きたので、酒と味醂と薄口醤油とで、ヅケにした。



良くはなったが、特筆する程のものではない。
でも、辛子をつけて食ったら、格段に良くなった。薬味は大事だよね。


頭に残る僅かな身を、出汁でサッと炊いた。
旨い。もしかしたら、火を入れた方が美味い部位なのかもね。

 
【八角の刺身】

主に北海道で漁獲される八角形の細長い魚。見た目は結構グロい。

ハッカクの刺身は何度か食った事があるから、旨いとは知っていた。けど、値引きになっていても如何せん高額だ。


元値1800円だったと思う。
それが半額以下になっていた。それでも高い。けど関西では滅多に見られない魚なだけに、抗えなかった。

先ずは、塩で食う。続いて醤油。



どちらも旨いが、醤油の方が合うと思う。
身に独特のプリプリ弾力があり、旨みが強い。やはり、ハッカクは一級の旨い魚である。見た目はグロいけど、見つけたら買うべし。

中骨が入っていたので、骨せんべいにした。


特別に他の魚の骨との違いはないけれど、ビールのアテには、うってつけだね。

 
【セイコ蟹】

いわゆるメスのカニですな。


セコ蟹は身よりも卵、それも外子ではなく、内子が美味。

 
【渡り蟹のメス】

この時期の渡り蟹のメスは旨くないとは知ってはいたが、安かったので買った。
結果、やはりダメだった。なので結局、カニちらし寿司にした。

 
【鱈の白子ポン酢】


北海道産の、この時期にしては良い状態の白子である。極上のモノは、もっと太い。つまり、まだコレは未成熟なのだ。
サッと酒で茹で、ポン酢をかける。歯を入れると、プチッと弾けて、旨味が口中にフワッと広がる。 

 
【鱧の自家製梅肉添え】


初夏に自分で梅干しを初めて作った。
色が黄色いのは、あえて白干しにしたからである。出来はまずまず。梅干しって、作るのが大変だと思い知ったよ。

ハモは、夏が旬だと思われているが、実をいうと脂が乗る秋がホントの旬である。このハモも滋味溢れるものだった。

鱧に梅干しと云うのは定番だが、ホントのところは、あまり好きではない。梅干しの自己主張が強過ぎるからだ。でも、初心者が作ったゆえの怪我の功名か、結果的には塩を控えた形になって、上品に仕上がった。日本酒と、めちゃめちゃマッチじゃけん。

 
【太刀魚の醤油焼き】

又やらかしてしまった。
バター焼きにすりゃあ良かったのに、やった事もない醤油と味醂を混ぜた液を刷毛で塗って焼いた。でも、仕上がりは今イチ。中途半端な出来になった。こうゆうモノは、もう少し甘めの味付けにした方がいいのかもしれない。

 
【イカ明太】

市販のモノである。
マズイのでオリーブオイルを加えた。


マシにはなったが、そもそもの素材のポテンシャルが低いから、それなりにしかならない。

 
【足赤海老の霜降り造り】


大阪湾産の新鮮なアシアカが安く売っていた。
滅多に見ないし、即買い。


車海老の仲間で、脚が赤いからアシアカなのだ。
関西ではアシアカエビ、単にアシアカと呼ばれることも多いが、正式和名はクマエビ。由来は熊みたいに獰猛で、共喰いするからだそうである。えっ❓、でも熊って基本的に共喰いなんかしないよね。
関東以西の、主に内湾に生息する。国外には広く分布し、台湾・中国から熱帯太平洋域やインド洋、アフリカ東岸まで見られる。インドやインドネシアなどで養殖も盛んに行われており、フラワー海老(花海老・華海老)、ブラウンタイガー、グリーンタイガー、イリアンタイガーの名で冷凍輸入されている。また、ブラックタイガーと表示されて売っているモノも結構見かける。
すしネタ、天ぷら、フライなど用途は広く、熱を通すと赤の発色が強くて味が良い。しかし国産天然物の流通量は少なく、高値で取引されている。味も別物と考えてもいいくらい違うと思う。

殻を剥き、サッと湯通しした。
切って盛りつけ、海老のミソを添える。

美味いけど、思っていたほど甘みは強くなかった。もうちょい火を通した方が甘みアップになったかな。いや、半生くらいまで火を通した方が良かったと思う。いやいや、そもそも鮮度が良過ぎたから甘みが足りなかったのかもしれない。忘れていたけど、生の海老は死後硬直が取れないと、甘みが増さないのだ。だから、寿司屋で珠に見かける水槽に入った生きている車海老なんぞ、思った程には美味くないのだ。甘みが足りない。

 
【スマの刺身】


全身トロとも言われるくらい、巷では美味として知られる魚である。高島屋で見つけたのだが、値段もさして高くないし、ソッコー買ったね。


けど、今まで食ってきたスマの中では、最も期待ハズレであった。見た目ほど、脂が乗ってないのである。それでも下手なマグロよりも旨い。たぶん旬は晩秋から冬で、これから脂が乗るんだと思う。

 
【熟成キビレの刺身】

キビレ(キチヌ)の刺身がサクで売っていたので買う。
正式和名は「キチヌ」だが、市場ではキビレと書かれている方が多いかなあ…。見た目がチヌ(クロダイ)とソックリなので、昔はチヌ、クロダイと表示して売っていたケースが多かったようだ。チヌとの違いは、やや黒みが薄く、名前の通りヒレが黄色い。また体型は、ほぼ同じだが、やや頭が小さい。旬は、冬が旬のチヌとは反対の晩春から夏とされている。

さすがに塩締めにも飽きてきた。なので、熟成させることを思いついた。
先ずは塩を振る。塩締めだと割りとキッチリと塩をして長めに締めるが、今回は薄く塩を振って10分だけおき、水で洗い流した。あとは水気を拭き、キッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて口を縛る。してからに、毎日キッチンペーパーを取り替え、2日間おいた。

削ぎ切りにして、茗荷をあしらった。
味わいはタイやクロダイに近いが、熟成している分、味に奥行きがある。


【熟成サワラの刺身】

切身として売っていたが、刺身でイケる鮮度だと思ったので、熟成させて生で食べることにした。
今回も軽めの塩締めにするが、放置時間は30分にした。キビレよりも身が厚いからね。尚、熟成期間は3日間と長め。キッチンペーパーを変える毎に匂いを嗅いで、傷んでないかを確かめた。とはいえ、熟成が進むに連れて香りが良くなっていった。

それを金串に刺し、皮目を炙って焼霜作りにする。
一応、同じく一口目は塩で食うが、直ぐに醤油に変更。脂が乗ってバリ旨である。熟成したせいか、味わいが凝縮された感じだ。
薬味は茗荷の他に山葵と柚子胡椒を用意したが、どちらも合う。

 
【熟成カンパチ】


手順は同じだが、放置した時間は20分。熟成期間は3日間。

淡いピンク色が美しい。味のバランスが良く、脂の乗りも丁度いい。コチラも矢張り醤油の方が旨し。

 
【熟成コシナガマグロの刺身】

主に日本海西部で漁獲されている小型のマグロ。
魚体が細身なので、この名がついたものと思われる。
マグロ類の中では最も入荷量の少ない種のようで、スーパーでも滅多に見掛けない。たぶん自分も過去2度くらいしか見たことがない。知らない人が少ないから、市場価格は安いそうだ。実際、サクで買って五百円以内だったと思う。旬は夏から冬とされる。

今回も手順は同じで、おいた時間は25分、熟成期間は4日間である。
同じく先ずは塩で食べ、途中から醤油をつけて食べた。今回も醤油で食った方が美味しかった。やはり熟成したものは、塩よりも醤油の方が合うのだと思う。
味は本マグロの幼魚であるヨコワ(メジマグロ)に近い。旨味と仄かな酸味があるが、あっさりしている。

 
【玉ねぎ天】

焼いて食った。
玉ねぎ天は、火を入れ直した方が旨い。玉ねぎの甘みが増すからね。