心理カウンセラー・公認心理師の
栗林あや(いがぐりこ)です。
私たちの日常には、「NO」と断る勇気が必要な時があります。
特に、大切な家族や身近な人に対して断る時、心は罪悪感との葛藤でいっぱいになりますよね。
断った時の罪悪感に向き合うことは、心理的な負担になることがあります。
そんな時、どのように対処すれば良いのでしょうか。
私の経験をもとに、少しでも皆さんのお役に立てればと思います。
私の母は介護施設に入居していて、通院の際には、精神訪問看護の看護師さんが介助してくれています。
そして通院の際に、病院の公衆電話を使って、母が私に電話をかけてくるのです。
通話の内容は、介護施設での持ち込みが禁止されているものを、
母が「あやさ〜ん、〇〇持ってきてぇ〜」とねだるものです。
明らかにルール違反であるにも関わらず、
「大丈夫だからぁ〜バレないようにするからぁ〜あやさんには迷惑かけないからぁ〜〜」とゴリ押しで母は言います。
私はその度に心が重く、母に言い聞かせることに疲れ果ててしまいました。
(もちろん施設の方には報告と相談済です。)
そしてだんだん、公衆電話からの母の着信が怖くなってしまったのです。
そこで、私はある決断をすることにしました。
次回の面会まで、母からの電話には出ないことにしたのです。
もちろん、何か必要な連絡があれば、介護施設の担当の方からこまめに連絡をくださるので、心配はいりません。
私は次の面会予定日まで、母の通院日に限り、公衆電話からの着信を消音設定にしました。
こう決めたことで、私は心の重荷を少し軽くすることができました。
結果的に私は、やっとこの決断でベッドで安らかに眠ることができました。
この経験から気づいたことは、時には「NO」と言うことが、自分を守るために大切だってことです。
その相手が、たとえ大切な人であっても、自分の心の平穏を守るためには、時には「断る勇気」が必要なのです。
自分の精神的健康を守るためには、適切な距離を保つことが重要です。
では、罪悪感を乗り越え、断る勇気を持つには、どうすればいいのでしょうか。
大事なのは「自分の感情を大切にすること」です。
他人を思いやったり優先することは素晴らしいですが、自分の感情を無視してまで、それをする必要はありません。
自分の心の声に耳を傾けて、自分の気持ちを尊重することが大切です。
次に、罪悪感に支配されないための具体的な対処法として、自分自身に問いかけることです。
「相手のこの要求に応えることは、本当に自分にとって大切なことなのか?」
「断ることで、本当に誰かが物理的に傷ついたり、困ったことが起きるのか?」
この自問自答が、心の重荷を軽くする手助けになります。
また、断るときは、現実的に、相手が困らないような代替案を考えることも一つの方法です。
例えば、
「持ち込みが禁止されているものは持っていけないけれど、必要なものがあったら施設の職員さんに言ってね。次に会う時に持っていくからね。」
といった形です。
これによって、相手も受け入れやすくなるかもしれないし、自分自身も罪悪感を軽減できます。
私たちの日常生活の中で、「断る」という行為は、自分自身を大事にするための重要なポイントです。
大切な人であっても、自分の限界を理解して、適切なバランスを見つけること。
罪悪感に負けず、自分自身の心の声に耳を傾け、自分を大切にすること。
それが、私たちの心が元気でいられる秘訣です。
何度も繰り返して抜け出せない悩みに