心理カウンセラー・公認心理師の
栗林あや(いがぐりこ)です。
先日開催された『マスターコース卒業生のためのカウンセリング・起業フォローセミナー』で、とても興味深い話題が出ました。
それは、「商品サービスに価格をつけることは(とくに高額をつけることは)怖くないんですか?」というものです。
これに対して、講師の うえさまが回答された言葉が、私の心に深く響きました。
「それよりも、全部自分で決めて、自分でその責任を負える喜びがある」と。
起業して、フリーランスで活動するということは、「自分の商品やサービスに価格を設定する」という大きな責任を伴います。
価格をつける時、多くの人が、市場価格や、競合他社の価格設定を参考にすることが、一般的だと思います。
そして、特に価格を高めに設定した場合、その分、責任感も高まると考えることが多いと思います。
例えば、ボディーメイクのインストラクターとして、「ダイエットのためのエクササイズ動画」を3000円で提供するのと、
「ダイエットのための3ヶ月パーソナルトレーニングコース」を100万円で提供するのでは、責任の度合いが全く異なります。
もちろん、どちらにも責任は伴いますが、価格が高いほど、それに見合う効果や成果を、期待される傾向があると思うのです。
高額な商品やサービスを提供する場合、その価格に見合う責任を感じるのは、自然なことではないでしょうか。
ビジネスマーケティングの世界では、よく「高額商品を用意しよう」と言われますが、それには「責任」が伴うことから、多くの人が躊躇します。
だから、「商品サービスに価格をつけることは(とくに高額をつけることは)怖くないんですか?」と思ってしまうのも、無理はありません。
うえさまから
「それよりも、全部自分で決めて、自分でその責任を負える喜びがある」
という考え方を聞いて、
「おお!男性的だねえ!」と思いました。
漢だね!
うえさまの中身は、そのクールな外見からは想像もつかないくらい「漢」なのかもしれません
さてさて、私が今日書きたいのは、女性向けの起業についてです。
一般的に、男性性の特徴として「責任」や「能動性」というのがありますから、
「全部自分で決められて、誰にも何も口出しされない喜びがある」
というのは、まさに男性性を象徴しているとも言えます。
起業すれば、すべてを自分で決めていかなければいけませんから、
うえさまのように、「全て自分で決めて、その責任を負う」ことに喜びを見いだせるかが、
起業家としての成長につながるかどうかの鍵になりそうです。
そして、同じように男性(男性性が強い状態の人)にとっては、
この「責任」や「能動性」が、活動を続ける上での「メリット」として、感じられやすいのだと思います。
一方で、女性(や女性性が強い状態の人)は、この考え方をどう活かせるでしょうか。
女性性には「安心感」「委ねる」「流動性」などの特徴があります。
これらは起業においても重要な要素です。
この観点からすると、「自分で決めて責任を負う」という男性性のアプローチは、
女性性にとっては「不安」や「恐怖」を感じる要因になり得ます。
女性(や女性性が強い状態の人)は、「安心できない状況」では、なかなか行動に移せないものです。
一歩踏み出すには「安心」を満たすことが、何よりも大切なのです。
言い換えると、男性性にとって起業する「メリット」に感じられる
「全部自分で決められて、誰にも何も口出しされない」ことが、
女性性にとっては「大きなデメリット」として浮かび上がってしまうことがあるのです。
つまり、女性性にとっては、自分で決めて進んでいくことよりも、
「誰かにアドバイスをもらって、誰かに決めてもらう」ことの方が、安心をもたらし、のびのびと行動できるようになります。
(あくまで「傾向」としての話です。)
でも、その一方で、起業というものは「すべてを自分で決めていくこと」でもありますから、
ここで「怖くて動けない!」という、女性性特有のジレンマが生じてしまうわけです。
この女性性特有のジレンマを解決するためには、どうしたらいいでしょうか。
私の経験から言うと、「信頼できる人に相談できる環境をつくっておくこと」が重要だと思います。
私自身も、起業して10年間、このアプローチを意識して取り組んできました。
そして、今も、なにかあったら信頼できる方に相談やアドバイスをもらえる環境を作っています。
これにより、安心感が大きく違ってきます。
それほど、「責任の重圧」というのは「女性性が弱る直接的な原因」になるのです。
それから「一人で活動せずに、仲間とやる」ことも、責任を分散し、安心感を持って行動するための一つの方法です。
もちろん、男性性が強い状態の人にとっては、逆にこれが制約となって、息苦しく感じられることもあるでしょう。
わたしも、男性性に傾いてワンマンな精神状態になった時には、
「何かに所属していること」や「自分のペースで動けないこと」が、ものすごく息苦しく苦痛に感じる時があります。
なので、解決策としては、
「自分の中の女性性と男性性のバランスを取り、現状を見ながら調整し、心地よさを追求する」
ということが大切なのです。
高額商品を扱う際も、「挑戦してみよう」という日もあれば、「怖いっ
」と感じる日もあるでしょう。
そうして「ゆらぎ」ながら進んでいけばいいのです。
まさに女性性の特徴が「流動性」ですから、心は揺れ動いて当然だし、それでいいのです。
まずはそんな自分を許すことからですね。
また、自分一人で挑戦する必要はなく、誰かと協力して取り組むことも可能です。
自分のペースで歩んでいくことが大事なのだと思います。
女性で起業されている皆さんの参考になったら嬉しいです。
=====お知らせ=====
「公認心理師が教える、大人女子のための『不安を力に変える心理戦略』セミナー」と題して、
今年最後の特別なオンラインセミナーを開催することにしました。
このセミナーでは、認知行動療法とナラティブセラピーの考え方をベースに、
日々の生活で感じる不安や心配を、自分自身の成長と幸福への糧に変えるための戦略を学びます。
不安や心配に襲われて前に進めなくなっている時に、
現状突破のためにどうアプローチしたらいいのか、どうやって不安の感情とうまく付き合えばいいのか、心理学の視点から、紐解くセミナーです。
12/28(木)20時オンラインZOOMにて開催します。
参加受付中です
>>12/28(木)20時オンラインZOOM「公認心理師が教える大人女子のための『不安を力に変える心理戦略』セミナー」申し込みはこちらです。
何度も繰り返して抜け出せない悩みに