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フィリピンの人材市場と日本のこれから

iforceマニラ拠点から、フィリピンにおける「人」に関する話題や現地での気づき、日本のこれからについて、考えたこと、感じたことを発信していきます。

フィリピン国家経済開発庁(NEDA)が発表したところによると、ここ数年、フィリピン経済における、OFW(海外出稼ぎフィリピン人労働者)からの海外送金への依存度は下がってきているということです。しかし一方で、OFWからの送金は今後もフィリピンの重要な収入源であり続けるだとうと。

依存度が下がってきていると言っているのは、ここ数年、フィリピン経済すなわちGDPの成長率が、OFWからの海外送金を含む海外からの純所得(NPI)の成長率より高い状態が続いているためです。

フィリピン国家統計調整委員会(NSCB)によると、2010年のGDP成長率7.6%に対してNPI成長率は10%でした。

それが2011年には逆転し、2012年も第1四半期のGDP成長率6.3%に対しNPI成長率は1.7%、第2四半期のGDP成長率5.9%に対しNPI成長率は4.5%となっています。

OFWからの海外送金への依存度が低くなることは良いことだとしながらも、海外の先進諸国でのOFWの需要は今後も底堅く続くと予想されるため、海外からの送金は今後もフィリピン経済において重要な役割を果たすと考えられています。

実際、OFWからの海外送金額はGDPの約1割、輸出額の30~40%、直接投資受入額の3~4倍といったように、額として非常に大きなものですし、なによりその額が安定していることが非常に重要です。

輸出や海外からの直接投資受入額は、世界経済や相手国の経済情勢等に大きく影響されますが、OFWからの海外送金額は安定しています。

例えば、リーマンショック後の2009年の輸出額は前年比22%減、海外からの直接投資受入額は同38%減と大きく落ち込みましたが、OFWの海外送金額は同5.6%増と逆に伸びています(下図参照)。

家政婦等の需要は景気動向によらず底堅いものがありますし、世界的にOFWが分散していることも安定の要因として挙げられるのかもしれません。

いずれにせよ、額が大きく安定的な収入源としてのOFWからの海外送金が、フィリピン経済にとって重要な役割を果たしているという事実には疑いの余地はありません。

今後、日本や欧米といった先進諸国やアジアの近隣諸国では高齢化が進むため、労働力となる若い人的資源は、より一層世界中で必要とされます。

フィリピンは、英語ができ、性格的にもまじめな若年労働人口を豊富に供給できます。国家としても長年に渡ってそれを推進、サポートする体制を整えてきており、OFWによる人的資源の供給は、ある意味、グローバルで見て非常に競争力のあるフィリピンの産業であると言えるのではないでしょうか。他の国がこれに取って代わることは難しいと思います。

こうしたことから、OFWの海外送金は、今後も長期に渡ってこの国の経済を支えることになると思います。

OFW送金額と輸出額、直接投資受入額の推移(単位:百万US$)
出典:フィリピン国家統計調整委員会(NSCB)、フィリピン国家統計局(NSO)、フィリピン中央銀行(BSP)資料を元に作成