前回の順位75位から10位上がったとして、政府関係者は現政権の成果を強調しています。
しかしながら、他の東南アジア主要国と比べると、ベトナム(75位)やカンボジア(85位)より順位は高いものの、マレーシア(25位)、タイ(38位)、インドネシア(50位)と比べると依然低く、まだまだ改善が必要と言えそうです。
同報告書によると、確かにフィリピンでは汚職やマクロ経済環境の改善では目立った改善が見られたものの、依然として労働市場の効率性やインフラ整備等の分野では弱さが見られます。
今回は、このうち労働市場の効率性に焦点を当てて詳しく見てみましょう。
雇用主と労働者との関係で言うと、東南アジア諸国の中ではシンガポール、マレーシアに次いで良く、ベトナムやインドネシアを上回る順位となっています。144カ国の平均値よりも良い数字であり、フィリピンにおける雇用主と労働者の関係は相対的に良いと言えるのかもしれません。
出典:World Economic Forum, "The Global Competitiveness Report 2012-2013"を元に作成
「一般的に対立的」:1、「一般的に協力的」:7としたインデックス値
一方、賃金設定の柔軟性、採用・解雇の柔軟性は他の東南アジア主要国と比較して、最も低い順位となっています。いずれも144カ国の平均値よりも悪い数字であり、賃金や解雇等に関する雇用主側の裁量の余地は、相対的に少ないことがわかります。
一度従業員を正社員として雇用すると、基本的に解雇することはできないといったように、労働者保護に関する規制は強いのですが、そのことが逆に多くの非正規労働者を生み、雇用が安定しない状況も作り出しています。
出典:World Economic Forum, "The Global Competitiveness Report 2012-2013"を元に作成
「中央集権的な交渉プロセスによる」:1、「各企業次第」:7としたインデックス値
出典:World Economic Forum, "The Global Competitiveness Report 2012-2013"を元に作成
「規制により妨げられる」:1、「雇用主によって柔軟に決定される」:7としたインデックス値
また、労働者の生産性に対してどの程度まで報酬に反映されているかということについては、144カ国の平均値はかろうじて上回るものの、東南アジア主要国の中ではバングラディッシュを除き、最下位です。
フィリピンで労働者の生産性が低いのは、それがしっかりと報酬や評価の体系等に反映されていないことが大きいのかもしれません。
出典:World Economic Forum, "The Global Competitiveness Report 2012-2013"を元に作成
「労働者の生産性には関係ない」:1、「労働者の生産性に強く関係する」:7としたインデックス値
優秀な人材を惹きつけるかどうかという点においても、フィリピンの順位は低く、144カ国の平均値を下回り、東南アジア主要国の中ではベトナムとバングラディッシュに次いで低くなっています。
優秀な人材は数多く輩出していますが、そういった人材はより良い機会を求めて他の国々に出て行ってしまうことが多いのです。
国の経済発展のためには、国内外の優秀な人材を惹きつけることが必要ですが、現時点ではなかなか難しいのも事実です。
海外に出ていき、海外で経験を積んだ優秀な人材が、母国の発展に貢献したいと強く思い、再びフィリピンに戻って産業の発展に貢献してくれることを切に願いますし、政府はそのような環境整備をするべきだと思います。
汚職やインフラの未整備等、様々な課題はありますが、フィリピンには既存の国内事業者を守るための規制も数多くあります。
フィリピン政府には、優秀な人材が国内で新しいことを始められる環境整備をより包括的に進めてほしいと思います。
出典:World Economic Forum, "The Global Competitiveness Report 2012-2013"を元に作成
「優秀な人材は通常、機会を求めて他国に行く」:1、「国内に優秀な人材を惹きつける多くの機会がある」:7としたインデックス値